公開日: 2020.06.02 年金

個人型確定拠出年金ってどんな制度?(1)

執筆者 : 堀内教夫

老後資金を自分で準備するための私的年金制度です。税制優遇が大きい制度なのですが、加入できる人が限定されていたこともあり、加入者数はずっと伸び悩んでいました。
 
2017年1月から、加入者となる要件が大幅に緩和されたことを背景にして、昨年、加入者数が100万人を突破しました。この個人型確定拠出年金について、まだ聞いたことがないという人へ、その背景と、どういった特徴をもつ仕組みなのかについて概要を説明します。
 

個人型確定拠出年金=iDeCo(イデコ)

「個人型」「確定」「拠出」「年金」どれもご存じの単語だと思いますが、これらの単語が組み合わさって個人型確定拠出年金となってしまうと、長くて覚えづらく、また、理解できそうで理解できない単語だと思いませんか。
 
最近、あるいは少し前から雑誌や金融機関などで、イデコまたはiDeCoという何やら商品名らしきものの広告を見かけたことがあると思います。広告の内容を子細に見られた方はお気づきだと思いますが、これは個人型確定拠出年金の愛称です。
 
正式名称では長くて普及しづらいので、もっと親しみやすいネーミングをということで、2016年に一般公募で募集され、応募総数4351件の中から選定されたものです。
 
個人型確定拠出年金の英文名称であるindividual-type Defined Contribution pension planから、individualのi、definedのDe、contributionのCoをとってiDeCo(イデコ)とされたものです。
 
2016年に新しく愛称が募集されたのは、先に個人のリスク資産に対する投資優遇制度“NISA”が始まり、民間企業も巻き込んで、この愛称を用いたPR戦略が成功し、新しい制度が一定の認知度を得られたことと、翌年初の2017年1月に大きな制度改正(加入者要件の大幅緩和)が施行されるというタイミングに合わせて、広く一般の方々に、あらためてこの制度を周知させようと愛称が募集されたものと考えられます。
 
愛称の効果があったといえるかどうかはわかりませんが、加入者数は、制度改正前の2016年12月末時点は30万人程度だったものが、改正後、3年を待たずして、2019年8月末時点で100万人を超えました。
 
制度ができたのが2001年でしたので、15年かけて増加した加入数を1年程度で達成し、そのままの勢いで増え続けていることになります。

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「個人型/確定拠出年金」

会社員の方は、社内の(企業が拠出する)年金制度としての”確定拠出年金”という制度を聞いたことがあるかもしれません。
 
そちらは、“個人型”ではなく、“企業型”確定拠出年金です。企業の年金制度の1つとしての確定拠出年金が企業型確定拠出年金で、それとは別に、個人が自分の判断で加入する窓口(運営管理機関)を選択して、自己資金を拠出するものが個人型確定拠出年金です。
 
個人型確定拠出年金のうち、“個人型”は“企業型”の対となるものですが、もう一方の“確定拠出年金”の対となるものは、拠出の反対で、“確定給付年金”です。
 
もともと、確定拠出年金制度ができる前には、企業の年金制度として確定給付型の年金制度がありました。
 
確定給付型の年金制度とは、退職時に定まった一定の金額について利率を加えた金額の給付を約束するものです。受け取る側にとっては利便性の高い制度ですが、企業にとっては給付額を約束する分、運用リスク等を負うことになります。
 
一方、確定拠出年金は、企業があらかじめ拠出する額を約束していますが、給付する額は約束しない(給付を受けられる金額は、企業が拠出する額を個々人が自分で運用した結果による)ので、企業側は運用リスク等を負いません。
 
つまり、確定拠出年金の場合には、自分の年金を自分で運用することとなります。
 
企業会計に時価の概念が持ち込まれた1990年代後半、市中金利の低下も背景として、このような年金債務に関わるリスクが認識され、米国の年金制度をモデルとして日本にも確定拠出年金制度を創設することが検討され、2001年に「確定拠出年金法」が制定されました。
 
その中で、「企業型年金」に加えて、企業に所属しない個人事業主等の加入を想定した「個人型年金」も規定され、新しくスタートした制度が、個人型確定拠出年金です。
 
執筆者:堀内教夫

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