更新日: 2020.10.30 その他年金
扶養内で働くか、扶養外で働くか。将来受け取れる年金を比べた場合、どっちがお得?
扶養内で収まるように働くのか、それとも扶養外で働くのか、選択次第で家計に大きな影響を及ぼします。
今回は主婦(夫)の働き方について、将来の年金という観点から見ていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
国民年金と厚生年金? まずは年金の種類をおさらい
日本には公的年金制度が存在しており、20歳以上60歳未満の全ての人に年金の加入義務が生じています。年金には国民年金と厚生年金とがあり、その人の属性に応じて加入する年金が異なります。
国民年金
国民年金とは、日本国内に居住する20歳以上60歳未満の全ての人に加入義務が発生する年金です。会社員はもちろん、専業主婦(夫)や無職の方も含め、国民年金に加入することになります。
国民年金には1号から3号までありますが、主婦(夫)は配偶者の扶養に入っている限り原則第3号被保険者に該当し、保険料が発生しません。
しかし、扶養から外れてしまうと第1号被保険者や第2号被保険者に該当し、保険料が発生してしまいます。
厚生年金
厚生年金は国民年金に上乗せするかたちで加入する年金になります。加入対象となるのは従業員5人以上の個人事務所や会社など、厚生年金の適用事業所において働く人です。
短時間のパートやアルバイトであれば原則として厚生年金に加入する必要はないのですが、扶養の範囲外となるほど働いていたり、法定の要件(週の労働時間が一般社員と比べて4分の3以上など)を満たす場合は主婦(夫)も厚生年金へ強制加入することになります。
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扶養内で働く場合は保険料が不要!
基本的に扶養の範囲内でパートとして働く場合は国民年金の第3号被保険者に該当し、保険料が発生しません。もちろん、国民年金には加入しているため、将来は老齢基礎年金を受け取ることができます。
ただ、その場合に受け取れる年金は最大でも月額6万5000円ほど(令和2年度の老齢基礎年金額の例)となります。配偶者が厚生年金に加入していたとしても、平均的な公的年金の収入は夫婦合わせても22万円程度にとどまります。
扶養から外れれば厚生年金に加入できる
パートであっても厚生年金の適用事業所において、フルタイムやそれに近い時間働くことで厚生年金に加入することができます。
厚生年金に加入することで、パートで働く主婦(夫)の分も厚生年金の保険料が発生してしまいますが、その分将来多くの年金を受け取ることができます。厚生年金の保険料と将来受け取れる年金額は、収入や加入期間に比例して大きくなります。
将来受け取る年金は扶養外で働いた方がお得
将来受け取れる年金額のみで考えれば、扶養外で働き、厚生年金へ加入した方がお得になります。厚生年金の保険料は半分を事業主が支払う上、労使合計で支払った保険料に応じて厚生年金を受け取ることができるからです。
また、日本の年金はマクロ経済スライド制であり、物価や賃金の変動、被保険者の減少や平均余命の伸びなどの要因を考慮して、支給される年金額も改定されます。
貯金や民間の私的年金であればそうはいきません。こうした理由から、将来受け取れる年金を重視するのであれば扶養外で働いた方が断然お得だといえるでしょう。
扶養から外れてパートをする際の注意点は?
扶養から外れてしまうと、年金の保険料だけでなく健康保険料や所得税、住民税といった税金の支払いも発生します。また、配偶者の方が受けられる配偶者控除の金額も主婦(夫)の方の収入によって減少していきます。
そのため、扶養から外れるほど一生懸命に働いたとしても、家計内の手取り額が思ったよりも増えないこともあります。特に社会保険の扶養が外れる年収130万円前後で働く場合は、強くそう感じることでしょう。
そうはいっても、厚生年金に加入して保険料を支払った分は確実に将来への備えとなります。現状は家計が楽に感じられなくなったとしても、働いた分が無駄になっているわけではないのでご安心ください。
扶養に入るか外れるかは慎重な検討が必要
扶養から外れて厚生年金に加入することで将来受け取れる年金額は多くなる一方、労働時間や支出する税金の負担が重く感じられるのも事実です。
主婦(夫)として働くというのも楽ではありません。年金が増えるからと無理に扶養の範囲外で働くのではなく、お金以外の家庭の事情についても考慮して働き方を考えるようにしてください。
出典 厚生労働省 令和2年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は昨年度から0.2%のプラス改定です~
執筆者:柘植輝
行政書士