更新日: 2020.11.24 その他年金

遺族年金や障害年金の受給者が65歳になったら、さらに老齢年金も受けられる?

執筆者 : 新美昌也

遺族年金や障害年金の受給者が65歳になったら、さらに老齢年金も受けられる?
遺族年金や障害年金を受給している人が65歳になったら、老齢年金もプラスしてもらうことができるのか疑問に思う人も少なからずいるのではないでしょうか。年金のルールはどうなっているのか、解説します。

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新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

公的年金の仕組み

公的年金は2階建てです。1階部分は全国民が加入する国民年金(基礎年金)、2階部分は会社員などが加入する厚生年金です。
 
自営業者や学生などは国民年金のみに加入しますが、会社員など被用者は、国民年金と厚生年金の両方に加入します。会社員の中には国民年金に加入した覚えがないという人が少なくありませんが、会社員は特別な手続きを経ることなく国民年金に加入するからでしょう。
 
したがって、自営業者などは国民年金から、会社員などは国民年金と厚生年金の両方から給付を受けることになります。
 
具体的には、国民年金からの給付は被保険者が老齢になったときに給付される「老齢基礎年金」、障害の状態になったときに支給される「障害基礎年金」、死亡したときに遺族に支給される「遺族基礎年金」があります。
 
その他に国民年金独自の給付として「付加年金」と「寡婦年金」「死亡一時金」があります。
 
一方、厚生年金からの給付には「特別支給の老齢厚生年金」「老齢厚生年金」「障害厚生年金」「遺族基礎年金」があります。
 
老齢給付は課税対象ですが、遺族給付、障害給付は非課税です。
 

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1人1年金の原則

公的年金の仕組みで見たように、1人に2つ以上の年金の受給権が発生する場合があります。例えば、障害厚生年金を受給している人が老齢厚生年金の受給権を得る場合がありますが、これらを同時に受けることはできるでしょうか。
 
ルールでは支給事由の異なる2つ以上の受給権が発生した場合、同時に受給することができず、どちらかを選択することになっています(1人1年金の原則)。
 
一方、同じ事由による年金の受給権を得た場合、例えば、「遺族基礎年金と遺族厚生年金」「老齢基礎年金と老齢厚生年金」「障害基礎年金と障害厚生年金」などは、1つの年金とみなされるので、あわせて受給できます。
 

「1人1年金の原則」の例外

支給事由の異なる2つ以上の受給権が発生した場合でも、65歳以後に支給される年金については次のような例外があります。
 

・遺族厚生年金(配偶以外の死亡)と老齢厚生年金(基礎)年金

例えば、2人家族で、子どもの死亡により遺族厚生年金を受給している人が65歳になって本人自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を得た場合、
(1)「老齢厚生年金+老齢基礎年金」
(2)「遺族厚生年金+老齢基礎年金」
のどちらかを選択できます。
 

・遺族厚生年金(配偶の死亡)と老齢厚生年金(基礎)年金

配偶者の死亡により遺族厚生年金を受給していた人が、65歳になって本人自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を得た場合、次のようになります。
 
例えば、妻が受給する場合、まず、次の(1)(2)で計算した金額の多いほうが年金額になります。
(1)遺族厚生年金全額(夫が受け取る老齢厚生年金の4分の3)
(2)遺族厚生年金((1)の3分の2)+ 妻の老齢厚生年金の2分の1
 
次に、妻の受け取る年金額が決まったら、妻の老齢厚生年金を全額受け取ることを基本とし、自身の老齢厚生年金が遺族厚生年金よりも少ない場合、その差額を遺族厚生年金として受け取ります。
 

・障害基礎年金と老齢厚生年金(基礎)年金

65歳以後は、障害基礎年金と老齢厚生年金、または遺族厚生年金の組み合わせを選ぶことが可能です。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。