遺族年金を受けてきた妻の今後の年金(1)65歳以降では内訳と金額が変わる!

配信日: 2019.02.25 更新日: 2019.08.27

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遺族年金を受けてきた妻の今後の年金(1)65歳以降では内訳と金額が変わる!
例えば、現在60歳で、既に会社員だった夫を亡くし、遺族年金として、100万円の遺族厚生年金と約58万円の寡婦加算を受けてきた妻。
 
60歳台になり、自身が老齢年金を受ける年齢になると、将来の年金がどうなるか気になることでしょう。今後、特に65歳を迎えると、年金の受け取り方や年金額はどのようになるか、全2回に分けて書きたいと思います。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

65歳までは老齢年金か遺族年金か選択

60歳台前半で自身の特別支給の老齢厚生年金(受けられ始める年齢は生年月日により異なります。)の受給ができるようになっても、遺族年金か老齢年金かどちらかの年金を選択して受給することになります。
 
遺族厚生年金が100万円であれば、中高齢寡婦加算585,100円(平成31年度の場合)を足して合計約158万円になりますが、妻自身に会社員期間(厚生年金加入期間)が短く、特別支給の老齢厚生年金が例えば20万円だった場合、遺族厚生年金と中高齢寡婦加算(合計約158万円)が圧倒的に高いことになります。
 
そうなると、自身の特別支給の老齢厚生年金を受け取らないことになり、65歳まで(1)遺族厚生年金+(2)中高齢寡婦加算で受け続けることになるでしょう(図表1:左側)。
 

 

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65歳以降の年金の受給方法

遺族年金を選択受給した妻が65歳を迎えると年金の内訳が変わります。65歳になると中高齢寡婦加算がなくなりますが、その代わりに、妻自身の老齢基礎年金、老齢厚生年金を遺族厚生年金と併せて受け取れることになります。
 
ただし、65歳以降の遺族厚生年金は原則、老齢厚生年金相当額を差し引いた差額分で受けることになります(【図表1】右側)。遺族厚生年金が100万円で自身の老齢厚生年金が20万円であれば、残りの80万円が遺族厚生年金となるでしょう。
 
遺族厚生年金を受ける妻が昭和31年4月1日以前生まれであれば、65歳以降の寡婦加算(経過的寡婦加算)が加算されますが、現在60歳の人など、それより後の生年月日の人には加算されません。
 
つまり、この場合、65歳前の年金は(1)遺族厚生年金と(2)中高齢寡婦加算の合計、65歳以降の年金は(3)老齢基礎年金と(4)老齢厚生年金、(5)差額支給の遺族厚生年金の合計となるでしょう。
 
そのため、65歳以降の年金が65歳前の年金より増えるか減るかは、単純に、(2)中高齢寡婦加算と(3)老齢基礎年金の差がいくらになるかで決まると言えます。中高齢寡婦加算は年間585,100円と定額ですが、では老齢基礎年金はどのように計算されるでしょう。
 

老齢基礎年金と中高齢寡婦加算との差

老齢基礎年金は【図表2】の計算式で計算され、20歳から60歳まで40年(480月)保険料納付済期間がある場合に受け取れる満額の老齢基礎年金は、年間780,100円(平成31年度の場合。780,100円×480月/480月で計算)になります。
 
会社員の扶養に入っていた国民年金第3号被保険者だった期間も保険料納付済期間に含まれることになります。
 
自営業など第1号被保険者期間中に保険料免除期間があれば、その免除の種類や月数に応じて、納付済期間より少ない割合で反映されることになります。また、保険料が未納だった期間は年金額には反映されません(未納期間は10年以上必要とされる、受給に必要な資格期間にも反映されません)。
 

 
このように計算される老齢基礎年金ですが、中高齢寡婦加算(585,100円)は満額の老齢基礎年金(780,100円)の4分の3となりますので、まず、妻自身の老齢基礎年金が満額の4分の3を超えていれば、65歳以降の年金の合計額は65歳前の年金の合計額より多くなると言えるでしょう。
 
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 


 

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