更新日: 2020.11.27 その他年金

「年金はどうせもらえないし、払ったことがない」将来どんなことが起こるのか?

執筆者 : 三藤桂子

「年金はどうせもらえないし、払ったことがない」将来どんなことが起こるのか?
若い世代、20〜30代の人の中には、「自分たちの世代は将来年金がもらえないと聞いた。払う意味がない」「お金がないから払えない」などの理由で、これまで年金保険料の未納を続けてしまっている人もいます。
 
誤った考えをもった人が年金を受け取る時期になると、どのようなことが起こるのか解説します。
三藤桂子

執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験した後、FPと社会保険労務士の資格を取得し、個人事業主から社会保険労務士法人エニシアFP を設立。

社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、会社の顧問、個別相談などを行う。

また年金・労務を強みに、セミナー講師、執筆・監修など首都圏を中心に活動中(本名は三角桂子)。

https://sr-enishiafp.com/

公的年金の仕組みを理解しよう

公的年金について確認しましょう。公的年金は2階建て年金ともいわれています。1階部分は国民年金(老齢基礎年金)です。日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人が加入する年金です。
 
国民年金(老齢基礎年金)は3つに分かれています。自営業やフリーランス、学生などが該当する第1号被保険者と、会社員、公務員などが該当する第2号被保険者と、会社員、公務員に扶養される配偶者である、専業主婦(主夫)が該当する第3号被保険者です。
 
2階部分は国民年金の第2号被保険者である会社員、公務員などの人が加入する年金、厚生年金保険(老齢厚生年金)です。
 
国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金保険(老齢厚生年金)のことを公的年金といいます。厚生年金保険は会社などで加入するため、給与から天引きされます。仮に保険料を払いたくないと思っていても強制的に加入することになります。
 

老齢年金は最低10年の資格期間が必要

65歳から受け取ることができる国民年金(老齢基礎年金)は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上必要です。20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。
 
しかし、免除申請などもせずに保険料を払うことなく、年金を受け取るための資格期間が10年満たない人、つまり「未納」となっている人は、年金を1円も受け取ることができなくなります。逆に最低でも10年の受給資格期間があれば、その分の年金を受け取ることができます。
 

年金は老後のためだけではない

原則、年金は高齢期になり働くことが難しくなったときの「長生きリスクに備える保険」といわれています。
 
しかし、高齢期までの長い人生の中には、ケガや病気になり、生活や仕事などが制限される重い障害が残ったり、亡くなってしまうこともあります。公的年金には万が一、障害や亡くなった遺族のための保障としての役割があります。
 
例えば、事故で重い障害が残ったとします。事故にあったとき(初診日)に年金保険料が「未納」となっていたら、障害年金を受け取ることができません。万が一亡くなってしまった場合、遺された家族には何も保障がないのです(障害年金、遺族年金には納付状況など一定の要件を満たす必要があります)。
 

将来の不安を解消するには

前段でお話ししましたが、公的年金は高齢期の「長生きリスクに備える保険」といわれ、高齢期に受け取る老齢年金は終身年金ともいいます。さらに万が一の保障も備わっていることを考えると、「未納」という選択肢は避けるべきだとお伝えしています。
 
日本人の平均寿命も30年、40年前と比べて5歳から8歳以上延びています。人生100年時代といわれ日本人が年金を受け取る期間が長くなることを考えると、公的年金だけではなく、私的年金や資産形成が必要な社会になってきています。しかし土台に公的年金があるからこそ安心できるのではないでしょうか。
 

まとめ

働き方改革により、多様な働き方ができるようになり、働き方の選択肢が増えています。しかし将来のことだからと、年金保険料の支払いをうっかり忘れてしまうと、万が一のとき、後から悔やんでも保障はありません。仮に「お金がないから払えない」のであれば、免除や納付猶予の制度があります。
 
人生100年時代を安心して過ごすために、年金を払わない(未納)という選択肢は捨てて、若いときから年金制度を理解することが大切です。
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士


 

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