更新日: 2020.12.11 厚生年金

将来の年金が不安です。主婦(主夫)が厚生年金に入るメリットとは?

将来の年金が不安です。主婦(主夫)が厚生年金に入るメリットとは?
専業主婦(夫)やパートタイマーとして働くメリット、とされている年金の第3号被保険者制度。この制度は、一定の受給要件を満たした会社員や公務員の配偶者の場合、配偶者本人が年金保険料を支払わずとも、将来の年金を確保できる仕組みのことです。
 
受給要件の中には所得要件があるという背景もあり、会社員などの配偶者は働き過ぎに注意するという風潮がありました。
 
とはいえ、時代は変わり、景気の悪化やコロナ禍などもあり、将来のライフプランに不安を覚える人も少なくありません。そこで今回は、主婦(夫)が厚生年金に加入する場合、どのようなメリットがあるのか。どのようにすれば損をしないのかを考えてみましょう。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

そもそも第3号被保険者ってなに?

まず、制度の確認をしてみましょう。
 

国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)が、第3号被保険者になることができます。このときの保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担するため、納める必要がないとされており、該当する場合には事業主に届け出なければなりません。
 
第3被保険者の年金額は国民年金と同額です。2020年現在、20~60歳までの40年間納付した場合の国民年金の満額支給額は78万1700円です。ひと月に換算すると、およそ6万5000円です。

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景気+ライフスタイルの変化も影響?!

ご自身の所得から保険料を納付することなく、受給できることはメリットがありますが、65歳になってから受け取ることができる年金額が、月額6万5000円では少ないと感じる方もいらっしゃいます。もちろん、以前、ご自身で厚生年金を納付していた人は、その分の年金額を受け取ることができます。
 
国民年金を含んだ厚生年金の受給平均額は、月額14万5000円。平成30年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況(※)によると、国民年金の平均受給額は5万6000円といわれていますので、夫と妻で受け取ることのできる年金額は20万1000円です。
 
今の時代は晩婚化などもあり、60歳以降も住宅ローンを支払い続けたり、セカンドライフの資金を貯めるタイミングが子供の学費が増加する時期と重なるなどして、思うように貯蓄できない人もいます。そうなると、20万1000円で住宅ローンを賄いながら、生活しなければならなくなってしまいます。
 
セカンドライフで収入を増やすためには、単純に働けば良いのですが、できるだけ若いうちに働いて、受け取る年金額そのものを増やしておきたいと考える方もいらっしゃると思います。

専業主婦(夫)が厚生年金に加入するメリットとは

専業主婦(夫)が厚生年金に加入する最大のメリットは、将来、受け取る年金額を増やすことができることです。
 
年金保険料は給料から天引きされるので、納付しなければならなくなると損をしている気持ちになることもあるかもしれません。しかし、年金保険料は労使折半です。会社が半額負担してくれますので、決して損をするわけではないのです。

150万円の壁?! お得な働き方を知っておこう

専業主婦(夫)の年収が103万円以下の場合、所得税・社会保険料ともに納付する必要はありませんが、103万円を超えると所得税を納付しなければならなくなります。
 
年収130万~150万円程度で社会保険の加入条件を満たしていれば、所得税の納付に加えて、社会保険に加入しなければなりません。103万円のときよりも収入は増えていますが、その分、支出も増えていきます。働いて収入を得ているメリットが感じにくい、という傾向にあります。
 
それならば、厚生年金の上乗せをして働くメリットを享受したいなら、年収150万円以上を目指しましょう。1カ月の収入に換算すると、12万5000円ですので、パートタイマーというよりも派遣社員や契約社員として働くイメージとなりますね。
 
派遣社員や契約社員で働く場合には、インフルエンザ予防接種の助成が受けられたり、福利厚生も充実したりしますので、年金額の上乗せプラスαの効果も期待できますよ。
 
なお、夫(妻)の会社によっては、配偶者の収入によって扶養手当を支給している会社もあります。いくら働くとそうした制度やメリットを享受できるのかは、個別の事情により違ってきます。自分の働く会社の福利厚生とともに、夫(妻)の会社の福利厚生も確認して、どれくらい働くかを考えていきましょう。
 

(※)厚生労働省年金局「平成30年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況」
 

執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
 

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