更新日: 2020.12.24 厚生年金
厚生年金保険料って、どうやって計算されているの?
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
厚生年金保険料ってなに?
厚生年金保険料とは、厚生年金保険の保険料のことです。厚生年金は日本の公的年金のうちのひとつで(その他に国民年金など)、会社などに勤務している人が加入する年金です。その保険料が厚生年金保険料です。
大学卒業後に働いている人であれば、すでに大学生のときに国民年金保険料を支払った経験があるかもしれません。国民年金保険料には、収入的に厳しい人の場合には免除制度が、大学生なら猶予制度等があります。
その一方で、厚生年金保険料の支払いは待ったなし! 保険料は月ごとに支払われる給料に対して、一定の金額を支払うことが決められています。
とはいえ、悪いことばかりでありません。国民年金保険料は全額自分で支払わなければならないのに対し、厚生年金保険料は労使折半となっており、勤務先が保険料の半分を負担してくれることになっています。つまり、実際に支払われている保険料は、給与明細に記載されている厚生年金保険料の額の倍額になります。
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保険料はいくら?
では、保険料はいくらなのでしょうか。そして、金額はどうやって決まるのでしょう。
支払うべき保険料は明確にルール化されており、毎月の給料(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に、共通の保険料率の「18.3%」をかけて計算し、勤務先と私たち従業員でその金額の半分ずつ支払う決まりになっています。
計算式は実にシンプルです。
●毎月の保険料
標準報酬月額 × 保険料率
●賞与の保険料
標準賞与額 × 保険料率
具体的な金額を当てはめてみましょう。
毎月の標準報酬月額が30万円、賞与が100万円の場合、
30万円×0.183=5万4900円
100万円×0.183=18万3000円
となります。
ただし、労使折半ですので勤務先と個人で2分の1ずつ支払うことになります。上記の例でいうと、実際に個人が支払う毎月の保険料は2万7450円、賞与の保険料は9万1500円です。
独特な単語にも注意しよう
毎月の給料から支払われるといっているのに、計算する際のベースとなるのは標準報酬月額です。よく分からない言葉が出てきましたね。
標準報酬月額とは、実際に受け取る給料の金額ではなく、私たち被保険者が受け取る基本給、残業手当、通勤手当などを含めた税引き前の給料を、一定の幅で区分したもののことをいいます。そしてこの報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料の計算に用いることになっています。
現在、標準報酬月額は1等級(8万8000円)から32等級(65万円)までの32等級に分かれており、保険料は該当する等級に基づいて、導き出されます。
(参考:日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」(※))
標準賞与額は、とてもシンプルです。
実際の税引き前の賞与の額から1000円未満の端数を切り捨て、支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)につき、150万円が上限として計算されます。つまり、賞与が150万円を超えている場合は、たとえ賞与が200万円であっても150万円で計算されます。
例えば、賞与が51万900円だった場合、27等級となり標準月額として50万円で計算します。
50万円×0.183=9万1500円 労使折半なので 9万1500円÷2=4万5750円
したがって、賞与が51万900円の人が負担する厚生年金保険料は4万5750円です。
いかがでしたか?
厚生年金保険および保険料の仕組みについて解説しました。
厚生年金保険は、将来、受け取る年金の原資となる大切なお金です。ただ漠然と支払うのではなく、保険料を意識することで、厚生年金の仕組みそのものに興味が湧いてきます。毎月支払う保険料だからこそ、しっかりと理解しておきたいですね。
(※)日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト