年金の繰下げをしたい、いつどのような手続きをすればいいの?

配信日: 2021.01.06

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年金の繰下げをしたい、いつどのような手続きをすればいいの?
老齢年金の繰下げ受給が、2022年4月から75歳まで延長できると話題になったこともあり、繰下げを検討する人が増えているようです。
 
ところが、繰下げるのに必要な手続きはあまり知られていません。繰下げをするにはいつ、どのような手続きをすればよいのかを解説します。
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

繰下げができるのは65歳以降に受け取る年金

老齢年金を受け取ることができるのは65歳からですが、男性は昭和36年4月1日、女性は昭和41年4月1日以前に生まれた人は、厚生年金に1年以上の加入期間があれば、65歳より前から特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。
 
受給開始年齢は生年月日と性別によって異なりますが、例えば、昭和33年生まれの男性は63歳から、昭和34年生まれの女性は61歳から受け取ることができます。
 
ただし、特別支給の老齢厚生年金は繰下げの対象とはなりません。繰下げを希望する場合は、65歳になるまで特別支給の年金を受け取り、65歳以降に受け取る老齢基礎年金、老齢厚生年金を繰下げることになります。
 

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繰下げをしたい人は65歳で年金請求の手続きをしない

65歳になって、老齢基礎年金を受け取る権利ができたら、その日から1年を経過した日より後に老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰下げ請求ができます。つまり、繰下げはあらかじめ「○○歳まで繰下げます」と申請するのではなく、65歳到達時に受給開始の手続きをしなければ、繰下げて受け取るができます。
 
65歳より前に特別支給の厚生年金を受け取った人も、65歳到達時に年金請求のハガキが届くので、これを郵送しなければ繰下げとなります。老齢基礎年金、老齢厚生年金のどちらか片方だけを繰下げることもできます。その場合はハガキの繰下げ希望の欄があるので、繰下げたい方に「〇」を付けて郵送すれば、片方だけの繰下げができます。
 

繰下げの手続きは年金を受け取りたいときに

年金を受け取らずに待機していて、「そろそろ受け取ろう」と思ったら、年金請求の手続きに行きます。そのとき、「繰下げによる増額請求」と「増額のない年金をさか上って受給」の2つの受け取り方のうち、どちらかを選ぶことができます。
 
例えば、老齢基礎年金と老齢厚生年金で年額100万円を受け取れる人が3年(36カ月)繰下げて、68歳から受け取るとすれば、
(1)36カ月繰下げて増額した年125.2万円を受け取る。
(2)繰下げせずに年100万円を受け取ることにして、68歳まで受け取っていない300万円をまとめて受け取る。
 
どちらか希望する方を選択して手続きをします。
 

繰下げをするときの注意点

年金の繰下げには、生きている限り増額された年金を受け取れるというメリットがありますが、いくつか注意点もあります。
 
まず、繰下げによる増額で税・社会保険料も増えて、実際に受け取れる額は期待したほどでなかったというケースが考えられます。また、配偶者が65歳未満で加給年金を受けられる人は、老齢厚生年金を繰下げてしまうと、繰下げ期間は加給年金を受け取れず、繰下げ後に加算されることもありません。
 
この他にも、自分が亡くなった後に配偶者が受け取れるはずの遺族年金は、増額された年金額でなく、もともとの年金額で算出されることに注意が必要です。
 
なお、すでに遺族年金や障害年金などを受け取っている人は繰下げをできません。繰下げ期間中に、遺族年金や障害年金の受給資格が発生した場合も、それ以降は繰下げをすることができなくなります。
 
人生100年時代といわれますが、終身で受け取れる公的年金は老後のマネープランの欠かせない柱となるでしょう。65歳到達時に資金的余裕があれば、取りあえず年金を受け取らないでおき、「繰下げ」を検討するのもよいのではないでしょうか。
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者
 

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