更新日: 2021.01.20 厚生年金

年金のキホン。夫が亡くなったときの妻が受給する遺族厚生年金

執筆者 : 新美昌也

年金のキホン。夫が亡くなったときの妻が受給する遺族厚生年金
遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者または被保険者であった人が死亡したとき、一定の範囲の遺族に支払われる年金です。会社員の夫に万一のとき、妻にとって受給できる遺族厚生年金は関心が高いと思いますが、十分、理解されているとはいえません。
 
遺族厚生年金の受給要件、遺族の範囲、年金額、寡婦加算など、ざっくり知っておきましょう。

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新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

遺族厚生年金の受給要件

遺族厚生年金は、次のどれかの要件に該当する厚生年金の被保険者または被保険者であった人が死亡したときに、その人によって生計を維持されていた一定の範囲の遺族に支給されます。
 

要件

(1)厚生年金の被保険者が死亡したとき
(2)厚生年金の被保険者資格喪失後、被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
(3)老齢厚生年金等の受給資格者または老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者が死亡したとき
(4)1級・2級の障害厚生年金等を受けられる者が死亡したとき

 
なお、上記受給要件(1)または(2)に該当する場合は、保険料納付要件を満たす必要があります。
 

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生計を維持されていたとは?

「生計を維持されていた」といえるためには、死亡した人とその死亡当時に生計を同じくし、遺族となる人が将来にわたって850万円(所得655万5000円)未満の年収であることをいいます。生命保険金を受け取った場合のように一時的な収入・所得については除外します。
 

遺族厚生年金を受給できる遺族の範囲

一定の範囲の遺族とは具体的には、配偶者または子・父母・孫・祖父母です。遺族から兄弟姉妹が除外されている点は注意しましょう。
 
なお、夫死亡時、子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付となります。
 
受給順位もこの順で上位者が受給すると、次順位以下は失権します。遺族となった夫、父母、祖父母は死亡当時55歳以上の場合に限ります。なお、支給開始は60歳からです。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中に限り、60歳より前に受給できます。
 

遺族厚生年金の金額

遺族厚生年金の額は、夫の報酬比例部分の4分の3です。夫が厚生年金の被保険者中に死亡したとき、被保険者期間が300月に満たない場合、300月とみなして年金額が計算されます。
 
・中高齢寡婦加算
遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた「子がある妻」が、子が成長して遺族基礎年金が支給停止になると、代わりに中高齢寡婦加算が支給されます。
 
たとえば、夫が死亡したときに妻が40歳以上で子がいない場合などは、40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算(58万6300円)が加算されます。ここで、子とは、婚姻していない、18歳になった年度の3月31日までの間にある子、20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある子をいいます。
 
・経過的寡婦加算(共働きの場合)
中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金を受けている妻が65歳になると、妻自身の老齢厚生年金が支給されますので打ち切られます。その代わり、妻が1956年4月1日以前生まれであるときは、65歳以降、妻の生年月日に応じた経過的寡婦加算が遺族厚生年金に加算されます。
 
・65歳以降の遺族厚生年金(共働きの場合)
65歳以降、妻が老齢厚生年金を受けられる場合は、原則として、自分自身が納めた保険料を年金額に反映させるため、妻の老齢厚生年金が優先され、妻の老齢厚生年金と夫の遺族厚生年金の差額が遺族厚生年金として支給されます。遺族厚生年金が全額、妻の老齢厚生年金に上乗せされるわけではありませんので注意しましょう。専業主婦世帯であれば全額上乗せされます。
 
つまり、共働き世帯か専業主婦世帯かによって、65歳以降に妻が受給する夫の遺族厚生年金の額が違ってきます。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。