追納すると、年金はどれくらい増やせる?

配信日: 2021.01.22

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追納すると、年金はどれくらい増やせる?
年金の追納とは、年金の後払いのことであり、保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間の国民年金保険料を、後から納付できるというものです。実際に追納した場合には、年金はどれくらい増えるのでしょうか。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

追納の基本を知っておこう

追納という制度の前に押さえておくべきポイントは、国民年金保険料(以後、保険料)の免除や納付の猶予を受けている場合であるということ。保険料免除や納付の猶予を受けるには、申請し、認められなければなりません。
 
申請せずに後から支払う場合には、単に「滞納していた」ということです。未納期間に万一のことがあったときには、保障が得られないことがありますので注意してください。
 
そもそも老齢基礎年金の年金額を計算するときに、保険料の免除や納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間があると、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が低額となります。その理由としては、納付猶予や学生納付特例の期間は、年金の受給資格期間として計算されるものの、年金額には反映されないというルールがあるからなのです。
 
ただし、保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間の保険料は、後から納付できるようになっていますので、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。これを追納といいます。
 

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猶予が認められる人はどんな人?

支払いの猶予が認められるのは、学生や一定の収入未満の人のみに限られています。
 
自営業やフリーランスなどで働いていて、収入が少なくて保険料の支払いが困難になっているのなら、免除や減額などができないか、社会保険事務所へ相談することをお勧めします。
 
必ずしも猶予が受けられるわけではありませんが、現状の収入にあった保険金額の提案を受けることも可能です。ただし、これらの決定には審査がありますので、申請すればすべてのケースで認められるというものではありません。
 
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入源となる業務の喪失や売り上げの減少などが原因で所得が減少している場合には、臨時特例措置が設けられています。
 
本人申告の所得見込額を用いた簡易な手続きで、免除猶予期間は、令和元年度分(令和2年2月分~令和2年6月分)に引き続き、令和2年度分(令和2年7月~令和3年6月分)の国民年金保険料についても免除の申請ができるようになりました。
 
学生納付特例は、令和元年度分(令和2年2月分~令和2年3月分)に引き続き、令和2年度分(令和2年4月~令和3年3月分)です。該当する場合にはそのままにせず、申請するようにしてください。
 

どれくらい増える?

追納すると年金が増えるといっても、年金額は払った分だけ増えていく仕組みですので、後払いしたことで劇的に増えるというわけではありません。追納するメリットは、税金の制度に関連しています。
 
国民年金保険料は、社会保険料控除の対象となっています。そのため、保険料を支払うことで所得税・住民税が軽減されます。
 
具体的には、課税所得金額が300万円であったときを考えてみましょう。このとき、追納として約2年分の保険料となる年間保険料として約40万円を納付すると、所得税・住民税が最大で約8万円減額されます。
 
ただし、納付しただけでは所得税・住民税の軽減を受けることはできません。適用するには、確定申告もしくは年末調整が必要になります。また、その追納した年の所得等によっては軽減されないケースもあります。
 
例えば自営業やフリーランスの場合、赤字になった翌年には保険料の免除申請をして免除や減額を受け、収入が回復した年に追納をするという方法もあります。収入がある年に社会保険控除が受けられますので、その分、税額が軽減されます。
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
 

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