更新日: 2021.01.21 その他年金

確定拠出年金と確定給付年金(DB)、似ているけどどう違うの?

執筆者 : 堀江佳久

確定拠出年金と確定給付年金(DB)、似ているけどどう違うの?
自分の将来のことを考えると、年金制度について知っておく必要があるのは言うまでもありません。金融庁の金融審査会がまとめた報告書がきっかけで、「2000万円問題」、すなわち公的年金だけでは老後の資金が2000万円ほど不足するという問題が、大きな関心を集めたのは記憶に新しいかと思います。
 
老後資金は、教育資金・住宅資金に加え、人生の3大出費の1つです。子育てが終わり、住宅を購入したと思ったら、老後の出費が待っています。この資金をきちんと準備していないと老後破産をしたり、生活に困窮したりする状況となってしまう可能性がありますので、年金制度をよく理解しておく必要があります。
 
今回は、公的年金、いわゆる国民年金と厚生年金以外に、「確定拠出年金(DC)」と「確定給付年金(DB)」について確認してみましょう。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

確定拠出年金(DC)とは

確定拠出年金とは、拠出された掛金とその運用収益とを合計し、その額から将来の給付額が決定する年金制度です。DC(Defined Contribution Plan)制度と言われています。運用は、加入者等自身が預金、投資信託、保険商品等の運用商品から選択して行います。したがって、運用リスクは加入者が負うことになります。
 

確定拠出年金には、

(1)企業型確定拠出年金=掛金を事業主が拠出
(2)個人型確定拠出年金(iDeCo)=掛金を加入者自身が拠出

があります。
 
(1)企業型確定拠出年金
実施主体は企業型年金規約の承認を受けた企業です。加入対象者は、実施している企業に勤める従業員です。掛金は事業主が拠出しますが、企業型確定拠出年金の規約に定められた人であれば、加入者でも拠出可能です。
 
拠出限度額は企業や個人によって異なるので、詳細は勤務先の担当部署に問い合わせると良いでしょう。
 
(2)個人型確定拠出年金(iDeCo)
愛称をiDeCo(イデコ)といいます。このiDeCoは、国が創設した年金制度で、実施主体は国民年金基金連合会です。
 

加入対象者は、

・自営業者
・厚生年金保険の被保険者(国民年金第2号被保険者)
・専業主婦(夫)(国民年金第3号被保険者)

などです。
 
ただし、自営業者等のうち農業者年金の被保険者の方、国民年金の保険料を免除されている方を除きます。また、企業型年金加入者においては、企業型年金の規約により個人型年金へ加入することを認められている場合に限りますので、注意が必要です。
 
掛金は、基本的には加入者が拠出します。拠出限度額は、加入対象者によって1万2000円から6万8000円の間です。詳しくは、iDeCoを取り扱っている金融機関(運営管理機関)に確認しましょう。
 

確定給付企業年金制度(DB)とは

将来の給付額をあらかじめ設定し、その給付額を補うのに必要な掛金を、予定利率や平均余命などを用いた年金数理計算により算出して、拠出する制度です。したがって、将来の給付額は、企業が保障しているため、運用リスクは企業が負います。
DB(Defined Benefit Plan)制度と言われています。
 
わが国においては、確定給付企業年金法に基づく「確定給付企業年金」を指すものとして用いられます。確定給付企業年金制度は、労使の合意で比較的柔軟な制度設計が可能であり、受給権が保護されているなどという長所があります。
 
確定給付企業年金には、以下の2種類があります。
 
(1)規約型確定給付企業年金
実施主体は、確定給付企業年金を実施する厚生年金適用事業所の事業主です。労使が合意した年金規約に基づき、企業と信託会社・生命保険会社などが契約を結び、母体企業の外で年金資金を管理・運用し、年金給付を行います。
 
(2)基金型確定給付企業年金
実施主体は企業年金基金です。母体企業とは別の法人格を持った企業年金基金を設立し、企業年金基金で年金資金を管理・運用し、年金給付を行います。
 
(出典)
厚生労働省
「確定拠出年金制度の概要」
「私的年金制度の概要(企業年金、個人年金)」
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
 

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