更新日: 2021.02.17 その他年金

事実婚の場合、遺族年金はどうなる? 内縁の配偶者、子は受け取れる?

執筆者 : 飯田道子

事実婚の場合、遺族年金はどうなる? 内縁の配偶者、子は受け取れる?
昨今、結婚のカタチそのものに変化が見られます。入籍をせず、あえて「事実婚」というカタチで結婚生活を送る人もいます。
 
ここで気になるのが、パートナーに万一のことがあった場合、事実婚でも遺族年金は受け取ることができるのかということ。いわゆる内縁の配偶者や子どもは、遺族年金を受け取ることができるのでしょうか?

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飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

遺族年金とは?

遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険に加入していた被保険者または被保険者が亡くなったときに、その人によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金のことです。
 
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。亡くなった人の加入状況によって、いずれか、もしくは両方の年金が支給されます。
 
遺族年金を受け取るには、亡くなった人の年金の納付状況とともに、遺族年金を受け取る遺族の年齢や優先順位などの条件を満たす必要があります。必ずしも「遺族だから受け取れる」というわけではありません。
 

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遺族年金の受給要件を確認しよう

入籍している法律婚の場合、遺族年金の受給要件は、被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき(ただし、死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること)とされています。
 
また、現状では、令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられるようになっています。
 
受給できるのは、死亡した者によって生計を維持されていた、1.子のある配偶者、2.子、とされています。
 
子にはさらに細かく要件があり、

(1)18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
(2)20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子

となります。
 
では、事実婚ではどうなるのでしょうか?結論から言えば、事実婚であっても、入籍しているケースと同様の要件を満たしていれば、遺族年金を受け取ることは可能です。
 

事実婚の場合の遺族年金の受給要件とは?

事実婚であっても遺族年金を受け取ることができますが、事実婚であるということを証明しなければなりません。
 
事実婚で遺族年金を受け取るための受給要件は、

(1)亡くなった人との生計維持関係が認められること
(2)事実婚として認定されること

が必要です。
 
そして認定されるためには、入籍こそしていないが、結婚する意志がある、夫婦同然の共同生活が存在していることを証明しなければなりません。事実婚を証明するためには、どのような資料が必要になるのでしょうか?
 
日本年金機構では、事実婚の証明をするための資料として、

(1)国民年金第3号であること
(2)所得税控除の対象になっていること
(3)葬儀の喪主になっていること
(4)上記に近い何か公的な証明書

としています。
 
亡くなった人から生計の維持を受けていたことの証明が必要ですので、国民年金の第3号被保険者になっていなければ不自然ですし、収入がたくさんあって所得税を納めている場合もあてはまりません。
 

結婚したくてもできなかった場合の事実婚はどうなるの?

事実婚状態にあっても、例えば以前の配偶者と入籍したままの場合は、原則、戸籍上の配偶者が優先されます。ただし、戸籍上の配偶者の生計を維持していない、婚姻関係の実体そのものが失われていると認められるときには、事実婚であっても受給できる場合があります。
 
ですが、これは可能性にすぎません。一緒に住んでいて事実婚だからといっても、必ずしも遺族年金がもらえるというわけではないので、注意しましょう。
 
「事実婚のほうが良い」とあえて選択する人もいらっしゃいます。ただし、遺された家族に対して最後まで責任が取れない可能性があるのも事実婚でもあるのです。
 
特に子どもがいる場合には、相続にも大きく影響してきます。自分たちのことだけでなく、事実婚を続けても良いのか? 入籍をして法律婚とするべきか? パートナーと話し合っておくことが欠かせませんし、さまざまな状況をしっかり理解しておくことが必要です。
 
(参考)日本年金機構「事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書」
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト