更新日: 2021.02.22 厚生年金

仕事をセーブしたら厚生年金保険の対象外に。どのような手続きが必要?

執筆者 : 中村将士

仕事をセーブしたら厚生年金保険の対象外に。どのような手続きが必要?
仕事をセーブした場合、人によっては厚生年金保険の対象外になってしまうことがあります。
 
どのような場合に厚生年金保険の対象外になり、その場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。

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中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

厚生年金の加入要件

厚生年金保険に加入するためにも、一定の要件を満たす必要があります。この要件については、「企業(=事業所)」と「人(=被保険者)」の2種類に分けることができます。
 

事業所の要件

厚生年金保険が適用される事業所のことを「適用事業所」といいます。適用事業所は(1)強制適用事業所と(2)任意適用事業所の2種類あります。
 
強制適用事業所とは、文字通り、ある条件を満たしていたら強制的に厚生年金保険が適用される事業所のことをいいます。
 
一方、任意適用事業所とは、強制適用の条件を満たしていない場合であっても、従業員の半数以上が同意することなどによって厚生年金保険が適用されるようになった事業所のことをいいます。
 
つまり、厚生年金に加入するためには、事業所が強制適用事業所または任意適用事業所である必要があるのです。
 

被保険者の要件

厚生年金保険に加入する(被保険者になる)ためには、事業所が「適用事業所」であることに加え、個人が一定の要件を満たす必要があります。その要件は、(1)常時使用されている場合と(2)パートタイマー・アルバイトなどの場合で異なります。
 
「常時使用される」とは、常にそこで働いて、お給料を受け取っていることを指します。雇用契約書の有無は関係ありません。現状がどのようになっているかで判断されます。これに該当する場合、他の条件を考慮することなく、厚生年金保険の被保険者となります。
 
一方、パートタイマー・アルバイトなどの場合は、厚生年金保険の被保険者となるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
 

●常用的に使用関係にある
 
●1週間の労働時間と1ヶ月の労働日数が、同じ会社で同じ業務をしている“通常の(常時使用されている)”労働者の4分の3以上である
 
●1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満、1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満、またはその両方の場合で、次の5要件を全て満たしている

 
1. 週の所定労働時間が20時間以上あること
2. 雇用期間が1年以上見込まれること
3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
4. 学生でないこと
5. 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めていること(国、地方公共団体に属する全ての適用事業所を含む)

 
ここから、仕事をセーブしたがために厚生年金保険の対象外になってしまうのは、パートタイマー・アルバイトなどをしている場合というのが分かります。
 

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手続きの内容

仕事をセーブしたことにより、厚生年金保険の加入要件(資格要件)を満たさなくなった場合、事業主が「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。被保険者は、原則として資格要件を満たさなくなった日の翌日に、その資格を失います。
 

提出期限・提出場所・提出方法・提出書類

提出時期は、事実発生から5日以内です。提出場所は、事業所の所在地を管轄する年金事務所です。
 
提出方法は、電子申請、郵送、窓口持参のいずれかです。媒体は、用紙のほか、電子媒体でも構いません。提出書類は、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」です。
 
これに、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者であった場合は、(1)健康保険被保険者証(2)高齢受給者証、健康保険特定疾病療養受給者証、健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証(交付されている場合のみ)を添付します。組合管掌健康保険(組合健保)の被保険者であった場合は、特に添付するものはありません。
 
ここから、協会けんぽの被保険者であった方は、(1)健康保険被保険者証(2)高齢受給者証などを事業主に提出すれば良いことが分かります。組合健保の被保険者であった方は、特に事業主に提出するものはありません。
 

まとめ

パートタイマー・アルバイトなどをしている方は、仕事をセーブしたら厚生年金保険の資格基準を満たさなくなる場合があります。その場合、基本的には事業主が手続きを行います。
 
資格を失う前に組合健保の被保険者であった方は、特に事業主に提出するものはありませんので、個人的に何かをする必要はなさそうです。一方、協会けんぽの被保険者であった方は、(1)健康保険被保険者証(2)高齢受給者証などを事業主に提出する必要があります。
 
ご自身がどちらに当てはまるかを、一度確認しておくのが良いでしょう。
 
出典
日本年金機構 「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー