確定申告に必要な書類ってどんなものがある?ケース別にみる必要書類とは
配信日: 2020.02.25 更新日: 2020.04.06
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
目次
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日)の所得税の計算をして申告し、それに基づいて納税する、もしくは還付を受ける、という一連の流れのことです。確定申告というと、会社員には関係のないものと思われがちですが、そうでもありません。
例えば、会社員であっても次に該当する人は確定申告をする必要があります。
・副業や株式投資などで給与所得や退職所得以外の所得金額が20万円を超える人
・2カ所以上から給与収入があり、その所得金額が20万円を超える人
・給与収入(税引前)が2000万円を超える人
など
その他、詳細は国税庁のホームページにまとめられています。また、いろいろな状況が考えられるので、確定申告が必要かどうかは、お近くの税務署や税理士にお問い合わせください。確定申告は申告できる期間が決められており、2020年は2月17日(月)から3月16日(月)までとなっています。ただし、所得税の還付の申告は1月1日(水)からできます。
確定申告に必要なものとは
先ほど記した通り、確定申告は所得税の計算・申告を自らが行います(申告納税方式)。そのため、その申告に伴い計算した根拠等を一緒に提出する必要があります。必要なものは以下の通りです。
(1) 本人確認書類
・マイナンバーカードがある場合
「マイナンバーカード」
・マイナンバーカードがない場合は
「マイナンバーの記載がある通知カードまたは住民票」
「身分証明書(運転免許証や公的医療保険の被保険者証など)」
(2) 印鑑
・認印(シャチハタは不可)
・口座振替の申し込みをする場合は、銀行印
※口座振替とは、納税の方法で毎年の一定の日に所得税(さらには消費税)を指定口座から引き落としてくれる制度です。
(3) 申告書
詳しくは次の項目で記します。
(4) 金融機関の口座番号(もしくは金融機関の通帳)
所得税の納付を振替納税に変更する時や、還付金を振り込んでもらうために必要です。
(5) 所得が証明できる書類
・給与や年金や報酬等がある方:源泉徴収票(原本※)、支払調書(原本※)
・事業所得や不動産所得がある方:青色申告決算書、収支内訳書(白色申告の方)
・株の取引を行っている方:年間取引計算書
・土地や建物の譲渡があった方:譲渡時の売買契約書、購入時の契約書、仲介手数料や印紙代の領収書等
※源泉徴収票・支払調書は申告書の記入時に参照しますが、添付して提出する必要はありません。
(6) 控除を受けるための証明書類
控除書類とは、所得控除や税額控除を計算する際に必要な書類のことで、必要な控除を受けるためにそれぞれ必要になります。詳しくは後述します。
確定申告書は2種類あります
確定申告書には、AとBの2種類があります。
・確定申告書A
給与所得、配当所得、一時所得、雑所得の4つの所得のみの場合に使用します。また、予定納税(前年の所得税額が15万円以上の人は一定額を事前に納付するという制度)のない人しか使えません。代表的な事例は、会社員が医療費控除や寄付金控除、初めて住宅ローン控除を受ける時に使います。
・確定申告書B
誰でも使える申告書です。主に個人事業主や不動産賃貸収入のある人、予定納税のある人が使うことが多いでしょう。譲渡所得がある人(不動産や株式等を売ったことにより収入を得た人)は、追加で「第三表(分離課税用)」を添付する必要があります。
また、所得金額が赤字の人は、繰越損失額の控除を行う場合「第四表(損失申告用)」を添付する必要があります。このように確定申告書Bは、全ての人が使える申告書です。そのため、確定申告書Aに該当する人が確定申告書Bで提出しても問題ありません。
青色申告の人が必要な書類
青色申告とは、一定レベル(正規の簿記)の記帳をするとともに、請求書や領収書を保存・管理し、その記帳に基づき申告をした人は、特典として特別控除を受けられ、結果的に税額を減らせるという制度です。この規定を受けられるのは、不動産所得・事業所得・山林所得のある人に限られます。
この制度を利用したい人は、利用したい年の3月15日まで(例外もあり)に「青色申告承認申請書」を提出している必要があります。
なお、青色申告で確定申告をする人は、以下の書類が必要です。
・確定申告書B
・青色申告決算書
・各種控除に必要な書類(控除を受ける場合)
など
白色申告の人が必要な書類
白色申告は、会計の知識はそれほど必要ありません。そのため青色申告のような特典はありません。
白色申告で確定申告をする人は、以下の書類が必要です。
・確定申告書B
・収支内訳書
・各種控除に必要な書類(控除を受ける場合)
など
会社員の確定申告におけるケース別必要書類
会社員は、原則的に年末調整で所得税の精算・申告を行うので、確定申告をする必要はありません。ところが、年末調整では処理できず、確定申告をすることにより税金が戻ってくることがあります。具体的な事例と、その際に必要な書類は下記の通りです。
●ふるさと納税をした場合
ふるさと納税をした人でも以下の内容に該当する人は、確定申告をする必要はありません。これは「ふるさと納税ワンストップ特例制度」と呼ばれ、確定申告をしなくても住民税の軽減が受けられます。
・会社員で、本来は確定申告をする必要のない人
・ふるさと納税をした納税先の自治体が年間5カ所以内であること
・ふるさと納税をした自治体にそれぞれ、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出していること
確定申告をする場合は、次の書類を準備する必要があります。
・確定申告書A
・源泉徴収票
・寄付金受領証明書
●住宅ローン控除を受ける場合
住宅をローンで購入した場合、一定の条件のもと、住宅ローン控除を受けることができます。この控除を受ける場合、初年度のみ、確定申告をする必要があります。2年目以降については、年末調整でこの控除を受けることができるので、確定申告をする必要はありません。必要な書類は以下の通りです。
・確定申告書A
・源泉徴収票
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
(税務署や国税庁ホームページから入手できます)
・金融機関等からの借入金残高証明書
(各金融機関から翌年の1月下旬ごろに送られてきます)
・住民票
・登記事項証明書(土地・建物)
・不動産(土地・建物)売買(請負)契約書のコピー
●医療費控除を受ける場合
年間に一定額以上の医療費を支払った場合、所得控除できる制度です。この制度を利用する場合、以下の資料が必要です。
・確定申告書A
・源泉徴収票
・医療費控除の明細書
(この明細書は、支払った医療費を集計したもので、税務署や国税庁のホームページから手に入れ、ご自身で集計する必要があります。つまり1年分の医療費の領収書が必要になってきます)
●副業をしていて複数の所からの給与等の収入合計が20万円を超える場合
複数の所から給与等の収入がある場合、本業以外の給与収入は年末調整ができません。そのため、確定申告が必要になり、以下の書類が必要です。
・確定申告書A
・源泉徴収票(本業)
・源泉徴収票(副業)または支払調書(副業)
●退職した場合
年末調整は、12月31日時点で雇用されていることが条件となります。そのため、年の中途で退職し再就職した場合は、再就職先で年末調整を受けることができ、確定申告は不要です。
再就職しなかった場合は、正確な所得税の計算・精算をする必要があるので、確定申告をしなければなりません。必要な書類は以下の通りです。
・確定申告書A
・源泉徴収票
・各種控除に必要な書類(控除を受ける場合)
確定申告をする場合は書類の準備がすべて
国税庁のホームページでは、24時間いつでも作成でき、申告できます。ところが、必要書類が手元にそろっていないと、確定申告を進めることはできません。さらに、その書類が提出しなければならない資料であれば、なおさら準備を急ぐ必要があります。確定申告は期限があるからです。
つまり、確定申告を早く終わらせるコツは、必要書類をいち早く準備することです。自分に必要な書類を早々に集め、正しい申告をしましょう。
【参考文献】
国税庁「確定申告が必要な方」
国税庁「青色申告制度」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士