更新日: 2021.03.11 確定申告
競輪・競馬・宝くじは確定申告が必要?
所得の種類は、(1)利子、(2)配当、(3)不動産、(4)事業、(5)給与、(6)退職、(7)山林、(8)譲渡、(9)一時のほか、そのいずれにも該当しない場の(10)雑所得と、計10種類あります。よって、社会政策やその他、非課税になるものを除き、儲けはいずれかの所得になります。
ところで、遊びで儲けた競輪や競馬、そして宝くじ、どこに該当するのでしょうか。一時所得? それとも、雑所得?
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
一時所得とは
「一時所得」とは、どのような所得でしょうか。どのような場合、ここに分類されるのでしょうか。
国税庁ホームページには、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得」とあります。利益を上げるための行動を続けて得た所得ではなく、労務や譲渡資産の対価でもない、一時的な所得です。次のようなものが該当するとあります。
●懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除く)
●競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く)
●生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や、損害保険の満期返戻金
●法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除く)
●遺失物取得者や埋蔵金発見者の受ける慰労金
一方、雑所得は、どの所得にも該当しないものですが、例えば、公的年金等、業務ではない貸金の利子、原稿料などの副業にかかる所得が該当します。
競輪や競馬での所得が一時所得か雑所得かは、馬券購入の期間、回数、頻度等の態様や、利益の規模、期間、その他の状況により、総合的に考慮され区分がされます。よって、原則、一時所得に区分されますが、営利を目的とする継続的行為である場合(最高裁平成29年12月15日判例)は雑所得とされることもあります。
一時所得の計算は? 雑所得とどう違う?
一時所得の金額は、以下のように計算します。
総収入―収入を得るための金額―特別控除額(最高50万円)
そのため、返戻金を受けた場合は、下記の項目をノート等に控えておきます。
(1)開催日、開催場、レース
(2)返戻金にかかる受取額
(3)払戻金にかかる投票額
(インターネット投票の場合、上記が表示された画面の写しでも代用可)
この控えを基に、年間払戻額から払い戻しに関わった年間投票額を引き、50万円を差し引き、一時所得の金額を計算します。算出された一時所得の1/2と、その他の所得金額を合計して総所得を出し、税額を計算します。
雑所得は、総収入額から必要経費を差し引いて算出します。算出された所得と、その他の所得と合計して総所得を出し、税額を計算します。
一時所得の場合、経費として差し引けるのは返戻金があった券の購入額のみですが、雑所得と認められる場合は、収入を得るための金額に「ハズレ券」の購入金額も含まれます。
宝くじは非課税
では、宝くじの場合はどうなのでしょう。
宝くじは、当せん金付証票法に基づき発行される当せん金付き証票です。当せん金付証票法第13条に、「当せん金付き商標の当選金品については、所得税を課さない」とあります。よって、宝くじで1億円のような高額当選でも、当せん金に所得税はかからないのです。
また、当選した場合の換金できる権利は、1年で時効によって消滅します。
ところで、宝くじはどこが発行しているのでしょうか。
発行は地方自治体(都道府県と指定都市)です。地方財政法第32条に明記されています。また、当せん金付証票法第1条に「この法律は、経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票の発売により、浮動購買力を吸収し、もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする」とあります。収益金は地方自治体の公共事業に使われます。
地方自治体は、公共事業の財源に必要な場合、都道府県および特定市の議会が議決した金額の範囲内で総務大臣の許可を受けて、当せん金付証票を発売することができます。
(参考・引用)
国税庁「No.1490 一時所得」
国税庁「第1章 総説 第1節 所得税の意義と特色」
国税庁「払戻金の支払を受けた方へ」
国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得」
総務省「宝くじ」
総務省「宝くじ関係法令」
国税庁競馬の馬券の払戻金に係る課税について」
国税庁「最高裁平成29年12月15日判決の概要」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者