会社員の副業にはどんな税金がかかる?確定申告をしたほうがよい場合とは
配信日: 2021.03.27
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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副業の主な税金
所得税は、個人の所得(収入-経費)に対してかかる税金で、1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。
所得は、その性質によって10種類に分かれ、それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲あるいは所得の計算方法などが定められています。したがって、副業がどの所得に区分されるのか確認することが大切です。
例えば、会社員の場合、勤務時間外などにアルバイトを行い、アルバイト先からアルバイト代を受けた場合などは「給与所得」、原稿料や講演料などは「雑所得」、不動産賃貸の家賃収入などは「不動産所得」、商品・サービスの販売やFXの投資の売却益などは「雑所得」または「事業所得」、株式や不動産の売買で利益が出たときは「譲渡所得」になります。
所得税のほかは、事業税や消費税が課される場合もあります。副業による収入がどの所得区分になるのかわからない場合は、支払先や税務署に確認しましょう。
確定申告との関係
会社員の場合には、会社が年末調整により所得税等を精算してくれるので、一般的に所得税の確定申告は不要です。ただし、副業による収入がある場合には原則として確定申告が必要です。
ただし、副業から得た総収入金額から必要経費を差し引いた所得金額が、20万円以下の場合には確定申告は不要です(住民税については、市区町村への申告は必要です)。
例えば、原稿料が22万円として、原稿を書くための資料代などの必要経費が3万円かかった場合、所得金額は19万円になるので、確定申告は不要です。必要経費を証明する領収証やレシートなどはきっちり保管しておきましょう。
確定申告をしたほうがよい場合
確定申告が必要ない場合でも、確定申告をしたほうが有利になるケースもあります。
例えば、副業としてアルバイトをして給与を支払われている場合、アルバイト代から「源泉徴収」が行われています。
副業の場合は、通常は源泉徴収税額表の「乙欄」の税額が源泉徴収されますが、本業の勤務先からの給与に対する源泉徴収税額(「甲欄」)に比べて高額になる場合もあるため、確定申告をすることで源泉徴収税額の還付を受けられる可能性があります。
確定申告をしたほうが得か計算してみるとよいでしょう。
雑所得の計算等の改正
一般的には、会社員が副業で得た収入の多くは「雑所得」に区分されるケースが多いと思われます。雑所得の計算等に関する改正がありますので、知っておきましょう。雑所得とは給与所得や事業所得、不動産所得等の他の9種類の所得のどれにも当てはまらない所得のことをいいます。
「令和2年度所得税の改正のあらまし」によると、2022年1月以降次のような改正が行われます。簡単にまとめて説明すると、以下のようになります。
(1) 前々年分の雑所得の収入金額が300万以下であれば、現金主義による収入・費用の計上ができる。
(2) 前々年分の雑所得の収入金額が300万円を超える場合は「現金預金取引等関係書類」を5年間保存しなければならない。
(3) 前々年分の雑所得の収入金額が1000万円を超える場合は、収入金額と必要経費の内容を記載した書類を、確定申告書に添付して提出しなければならない。
なお、現金主義とは現金の収入・支出があったときに、売上・費用を計上する考え方です。基準となるのは2020年分の収入額(所得ではありません)となるため、今から準備を進めておきましょう。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。