更新日: 2019.01.10 確定申告

副業で後悔しないために、知っておきたい税金の注意点

副業で後悔しないために、知っておきたい税金の注意点
昨年から、にわかに副業解禁の話題が目につくようになりました。

厚生労働省は、企業が就業規則を制定する際のひな型となる「モデル就業規則」を原則副業可能とする方針を打ち出しました。また、経済産業省の有識者研究会が検討してきた望ましい社会人キャリア像についても、副業を推進する方向で提言案がまとめられています。

少子高齢化による労働力不足への危機感を背景とした副業解禁の方針は、サラリーマン諸氏の生活にも今後大きく影響を及ぼすと思われます。今回は、そんな副業について税金の面で注意すべき点をまとめました。
清水裕久

Text:清水裕久(しみず ひろひさ)

税理士

税理士法人での(主に外資系企業に対する)税務・管理部門アウトソーシングサービス、事業会社2社での上場準備・上場後の管理系業務全般に従事したのち、2017年12月にエス・タックス・コンサルティング/清水裕久税理士事務所を設立。個人・法人に対する税務顧問業務はもとより、事業会社における上場準備の初期段階から上場後までの豊富な実務経験に基づく、主に上場を目指す企業の管理系業務全般をサポートする上場支援サービス(オーナー経営者に対する、事業承継をはじめとした資産税対策を含む)を提供している。
ホームページ:http://stconsul.com/

経費を引いても20万円以上儲かったら、確定申告が必要

まず、税金を考えるうえでは、その収入がどの所得区分になるのか正しく把握する必要があります。
 
例えば平日はサラリーマン、土日で知人の飲食店の経営アドバイスをしていたとすると、サラリーマンの給料は給与所得、経営アドバイスによる報酬は雑所得。雑所得ではなくメリットのある事業所得としたいと思うかもしれませんが、給与所得があるうえで副業を事業所得とするのは、認められる可能性は低いと考えられます。
 
その副業による収入金額から必要経費(例えば経営アドバイスをするための参考書籍の購入など)を差し引いた金額が20万円以内であれば確定申告は不要、20万円を超えるようであれば確定申告をしなければなりません。
 

手渡しで報酬を受け取る場合は源泉所得税に注意

報酬を手渡しでもらう場合、その受け取った金額が源泉徴収(=所得税の天引き)された後の金額なのかどうかをきちんと把握しておくべきです。
 
本来、源泉徴収すべき報酬から天引きするのは支払う側の義務なのですが、支払う方が税金に詳しくないと源泉徴収をせずに全額支払われてしまうこともよくあります。受け取った金額が天引き前なのか後なのかによって確定申告の収入金額や税額も変わってきますので、手渡しで報酬を受け取る際にはそれが源泉徴収されているかどうか確認しておくと良いでしょう。
 

住民税で副業が会社にバレる!?のカラクリ

さて、副業をしているときの話題でよくあるのが、住民税で会社に副業がバレるのではないかというお話。
 
まず、2017年分の確定申告を2018年3月15日までに済ませると、その確定申告の内容が税務署から市区町村に通知されます。市区町村はその内容に基づいて2018年5月頃に住民税の通知書を会社に送付し、会社はその通知書に基づいて2018年6月からの住民税の天引きを始めることになります。
 
この通知書に所得区分ごとの所得金額が記載されているので、自社の給与水準に比べて給与所得の金額が多かったり、給与以外の所得があったりすると会社から怪しまれることになるのです。
 
これは、確定申告書の第二表「住民税に関する事項」で、「自分で納付」欄にマルをつけることで防げます。これにより給与所得以外の所得から発生する住民税は自宅宛てに通知書と納付書が届くので、会社は把握しようがないという仕組みです。
 
ただし、この方法は副業でも本業と同じ給与所得(アルバイトなど)の場合には原則として使えません。また、給与所得以外の所得が赤字で給与所得と相殺(損益通算)されている場合なども、すべての所得を合算した情報が会社に通知されてしまうのでご注意ください。
 

おわりに

副業が開花すれば、ひとつの会社に依存しなくて良くなる可能性もあります。一方で、会社を離れて自分で稼ぐとなると、それまで意識してこなかった税金の問題は必ずついて回ります。「そんなの知らなかったよ…」と後悔する前に、正しい知識を携えて、ぜひ新たな可能性にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
 
TEXT:清水 裕久(しみず ひろひさ)
税理士

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