更新日: 2022.02.26 控除
セルフメディケーション税制についておさらい。医療費控除との違いとは?
今回は、セルフメディケーション税制についておさらいします。
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
医療費控除とセルフメディケーション税制
会社員やパート社員など給与所得者の方は、年末調整で納税額が確定するため、確定申告を行う必要はありません。
しかし、令和3年1月1日から12月31日までの期間、入通院などにかかった費用のほか、セルフメディケーション税制対象の医薬品の購入費として一定以上の金額を支払った場合、医療費控除の適用対象となります。
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例制度であり、入通院や手術などで医療費がかかった場合の医療費控除と併用することができません。
確定申告をする際には、医療費控除か、セルフメディケーション税制による特例のいずれか一方のみの選択適用となります。
医療費控除とは
1月1日から12月31日までの期間に、自分、または自分と生計を一にする配偶者やその他親族のために医療費を支払った場合、年間の医療費の合計から健康保険や生命保険により補てんされる金額を差し引いた一定額(所得の合計額が200万円以上の方は10万円)を超えた部分について、200万円を上限に医療費控除の申告ができます。
その年の所得金額から医療費控除額が差し引けるため、結果的に納める税金が少なくなり、すでに年末調整で所得税を納めている方は税金が還付されます。
医療費控除額=(その年に支払った医療費の総額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(※)
(※)総所得額が200万円未満の方は、所得額の5%
セルフメディケーション税制とは
一方、セルフメディケーション税制は健康の保持増進、および疾病の予防として、以下の一定の取り組みを行っている方が適用できる医療費控除の特例です。
(1)保険者(健康保険組合など)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診など)
(2)市区町村が健康増進事業として行う健康診査
(3)予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
(4)勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
(5)特定健康診査(メタボ検診)、特定保健指導
(6)市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
セルフメディケーション税制では、上記に挙げた一定の取り組みを行っていることを要件に、自分や自分と生計を一にする親族のためにセルフメディケーション税制対象の医薬品を購入した場合、年間の合計金額から1万2000円を差し引いた部分について最大8万8000円までの控除を受けられます。
セルフメディケーション税制の控除額=セルフメディケーション税制対象の医薬品を購入するために支払った総額-1万2000円
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品とは、医師によって処方される医療用医薬品のほか、ドラッグストアで購入可能な転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)です。
一部の対象医薬品は、パッケージに掲載されている識別マークで確認することが可能です。また、購入した方が確定申告を行う場合など後からでも分かるように、領収書(レシート)にはセルフメディケーション税制の対象であることの記載(★印など)がされています。
確定申告時の提出書類にレシートの添付は不要ですが、申告後5年間については、税務署による確認のため提示や提出が求められるケースもあります。確定申告を行うためにも、セルフメディケーション税制の対象医薬品を購入した場合のレシートは保管しておきましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント