ウクライナへの寄付は控除対象になる? 寄附金控除の仕組み
配信日: 2022.05.10
今回は、寄付で受けられる控除やウクライナに寄付をする方法について解説します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
寄附金控除とは?
納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などにお金(特定寄附金)を寄付した場合、寄附金控除という所得控除を受けられます。
また、政治活動に関する寄付金、認定NPO法人や公益社団法人などに対する寄付金のうち、一定のものについては所得控除の適用に代えて、税額控除を選択できます。
ただし、学校の入学に関して行う寄付のほか、寄付をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの、政治資金規正法に違反するものなどは特定寄附金に該当しないため、寄附金控除の対象とはなりません。
また、現在のウクライナ問題に関連して、在日ウクライナ大使館へ直接行う寄付や、民間企業を経由した寄付は、寄附金控除の対象外となります。
このように、寄附金控除を受けるためには、特定寄附金に該当する範囲で決められた団体へ寄付をする必要があることを覚えておきましょう。
寄附金控除を受ける方法
寄附金控除を受ける場合には、確定申告を行う必要があります。会社員の場合、勤務先で行う年末調整では、寄附金控除を受けることができないので注意しましょう。
確定申告の際には、寄付した団体などから交付される「寄附金の受領証(領収書)」が必要となります。この受領証は、電子的に交付されたものを自分で印刷しても大丈夫です。
また、寄付した団体の証明書・認定書の写しも必要なことがあるため、国税庁のホームページで事前に確認しておくといいでしょう。
寄附金控除の適用を考えている場合、確定申告時に慌てないように、寄付の際に受け取った書類などはきちんと保管しておいてください。
ウクライナへ寄付する方法
最後に、ウクライナへの寄付ができる団体についてご紹介します。
<公益財団法人 日本ユニセフ協会>
寄附によって医薬品、救急キット、手術器具、子どもへのレクリエーションキットなど、ウクライナへ人道支援物資を届けることができます。
公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金の控除としては、所得控除か税額控除のどちらかを選択することができます。年間寄附金額や所得税率によって異なりますが、一般的に税額控除のほうが所得控除に比べて所得税額が少なくなります。
<日本赤十字社>
日本赤十字社を通じた寄付の場合も、シェルターに避難している人たちへ緊急支援物資を届けるなど、ウクライナへの直接的な支援のほか、ポーランドなどの周辺国での支援活動に寄付金が使われています。
日本赤十字社への寄附金も特定寄附金となるため、所得控除か税額控除のどちらかを選択することができます。ただし、税額控除については住んでいる都道府県支部への寄付に限られるなどの注意点もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
まとめ
現在のウクライナ問題について、私たちが支援できることとしては、ウクライナへの寄付が最もシンプルな方法です。今回紹介した内容を参考に寄附金控除について理解し、ぜひ寄附を行ってみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 N0.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
公益財団法人日本ユニセフ協会 ウクライナ緊急募金
日本赤十字社 ウクライナ人道危機救援金
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者