更新日: 2022.06.02 控除

通勤のための交通費も課税される!? 課税と非課税の基準は?

通勤のための交通費も課税される!? 課税と非課税の基準は?
通常の給与に加算して支給される交通費(通勤手当)には、一定額までは課税されません。その基準は交通手段によって異なります。では、課税となる基準(※1)はどのように決められているのでしょうか。詳しく解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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交通手段が公共交通機関のみの場合

通勤手当とは、通常、自宅から会社までの通勤の際に発生する費用を指します。そして、その移動手段がバスや電車などの公共交通機関のみの場合、その定期券などの金額がひと月あたり15万円以下であれば非課税です。
 
ただし、この金額については「経済的かつ合理的な金額」でなければなりません。経済的かつ合理的とは、その運賃や通勤にかかる所要時間、さらには距離などの事情を考慮して最も経済的かつ合理的な方法で通勤した場合をいいます。そのため、新幹線を利用した通勤の場合でも、その運賃は「経済的かつ合理的な金額」とみなされますが、グリーン車を利用する際のグリーン料金については、「経済的かつ合理的な金額」とはみなされません。
 

交通手段が自家用車や自転車のみの場合

通勤の際、公共交通機関ではなく自家用車や自転車を利用している場合は、非課税もしくは課税となる基準を片道の通勤距離によって判断します。自家用車や自転車を利用して通勤している場合のひと月あたりの限度額は表1のとおりです。
 
【表1】


 
ひと月あたりの限度額を超える金額については、給与とみなされ課税対象です。ただし、片道2km未満であっても、足が不自由などの障害者が自家用車で通勤している場合は、非課税として取り扱います。
 
(出典:国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当(※2))
 

交通手段が公共交通機関と自家用車および自転車の場合

なかには最寄り駅までの交通手段として、自家用車もしくは自転車を利用し、そこから公共交通機関を利用して通勤する人もいるでしょう。その際の非課税限度額は以下のとおりです。

非課税限度額:以下の2つの合計額(ただし、ひと月あたり15万円を限度とする)

1.公共交通機関を利用する場合のひと月の定期券などの金額
2.自家用車や自転車などを利用して通勤する際の片道の距離に応じたひと月あたりの限度額

 

交通費についてよくある質問

交通費についてよくある質問とその回答について、以下にまとめましたので参考にしてください。
 

短期間雇用者の場合は?

パートやアルバイトなど、短期間に雇用される場合であっても、支払われる交通費(通勤手当)の非課税限度額は月単位で計算します。
 

2ヶ所以上に勤務する場合の非課税限度額は?

ひと月のうち、2ヶ所以上の勤務先に勤務する場合、各勤務先への交通費を計算し、その額が15万円以下であれば非課税です(※3)。
 

非常勤役員の交通費はどう取り扱う?

2ヶ所以上の法人の役員を兼務しており、常勤ではない場合、それぞれの法人から支払われる通勤のための費用は、いずれか1つの法人から受け取るものについては通勤手当、もう1つの法人から受け取るものについては、旅費として取り扱われます。従って所得税の課税対象とはなりません(※4)。
 

旅費交通費の取り扱いはどうなる?

一般的に、出張旅費や宿泊費、日当などは旅費交通費となり、通勤手当とは別で会計処理を行います。
 

公共交通機関が利用できなかった場合の取り扱いは?

ストライキなどで公共交通機関が利用できず、自家用車やタクシーを利用した際の実費相当額については、会社が負担すべき費用を立て替えたとして取り扱います。緊急業務などでタクシーを使って出社した場合も同様です(※5)。
 

まとめ

交通費は、大きく分けて通勤手当と旅費交通費に分けられます。旅費交通費については通勤手当とは異なり、会社が負担すべき費用ですので、立て替えた分については会社に請求し、精算します。
 
通勤手当については、利用する交通手段によってひと月あたり一定額までの非課税枠が設けられています。それを超えた分は、給与として取り扱われ所得税(復興特別所得税含む)の源泉徴収が行われることを覚えておきましょう。
 
また、自家用車や自転車で通勤している場合で、月の途中で片道の距離が変更となった場合には、会社で規定されていれば、変更前そして変更後のいずれか長い距離に応じた金額が非課税限度額です。
 
新型コロナウイルスなどの影響により在宅勤務が増え、通勤手当の取り扱いを見直す企業も増えています。通勤手当をどのように支給するかは、会社の就業規則のなかで定められることから、規則の内容変更についても注意しておく必要があるといえそうです。
 

出典

(※1)国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
(※2)国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
(※3)国税庁 数か所に通勤する者に支給する通勤費
(※4)国税庁 2以上の使用者から支払を受ける役員の出勤費用
(※5)国税庁 緊急業務のために出社する従業員に支給するタクシー代等
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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