更新日: 2022.06.08 確定申告

確定申告を忘れたらどうなる!? 無申告課税の恐ろしさとは?

確定申告を忘れたらどうなる!? 無申告課税の恐ろしさとは?
会社員の場合、所得税は原則として給与から天引きされ、最終的に年末調整を行うことで納税が完了しますが、給与収入以外に所得がある場合や自営業者などは、1年間(1月1日~12月31日)の所得に応じて、翌年の定められた時期に確定申告を行い、所得税を納付しなければなりません。
 
確定申告を忘れてしまった場合は、どのような措置がとられるのでしょうか? その場合の取り扱いについて解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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確定申告後でも申告は可能

確定申告期間に申告できなかったとしても、後日それに気づいたときに申告することができます。これを期限後申告といい、本来納める所得税に加えて「無申告加算税」が加算されます。
 

■無申告加算税とは?

無申告加算税とは、本来納めるはずの所得税に加え、原則として以下の金額を乗じて計算した額です。

1.納付すべき税額の50万円まで:納付すべき税額に対して15%を乗じた額
2.納付すべき税額の50万円を超える部分:納付すべき税額に対して20%を乗じた額

ただし、期限後申告だった場合であっても、以下の要件をすべて満たす場合には無申告加算税は加算されないことになっています。

<要件>

・その期限後申告が、法定で定められた申告期限から1ヶ月以内に自主的に行われていること
・期限後申告を行う意思があったと認められる一定の条件に該当すること

そして、その一定の条件とは以下のいずれにも該当する場合をいいます。

(1)その期限後申告に関わる納付すべき税額の全額を法定納付期限(口座振替にて納付手続きを行った場合においては、期限後申告書の提出日)までに納付している
 
(2)その期限後申告申請書を提出した日の前日から起算して5年間までの間に、「無申告加算税」もしくは「重加算税」を課されたことがなく、かつ、期限内申告を行う意思があったと認められる場合における「無申告加算税の不適切」処置を受けていない

(出典:国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき ※1)
 

期限後申告の場合は延滞税も加算される

期限後申告によって納める税金については、その申告書を提出した日が納付期限となります。
 
そのため、期限後申告を行う場合は、提出日に所得税を納付しなければなりません。そして、その納付額には、延滞税が加算されることを覚えておきましょう。
 

■延滞税とは?

定められた期限までに税金を納付しない場合においては、原則として法定納付期限の翌日より、実際の納付日までの日数に応じた延滞税が課されることになっています。ちなみに延滞税がかかるケースは、以下のとおりです。

1.申告などによって確定した税額を法定納付期限までに完納しない場合
2.期限後申告書もしくは修正申告書を提出したことにより、納付しなければならない税額が存在する場合
3.更生または決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額が発生した場合

これらのケースに該当する場合は、法定納付期限の翌日から実際の納付日までの、日数に応じた延滞税を納付する必要があります。なお、延滞税は加算税などに対しては課されることはありません。
 

■延滞税の割合

<納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:原則として年7.3%>

ただし、令和3年1月1日以降の期間については、以下のとおりです。
 
1.令和3年1月1日から令和3年12月31日:年2.5%
2.令和4年1月1日から令和4年12月31日:年2.4%

 

<納付期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降:原則として年14.6%>

ただし、令和3年1月1日以降の期間については、以下のとおりです。
 
1.令和3年1月1日から令和3年12月31日:年8.8%
2.令和4年1月1日から令和4年12月31日:年8.7%

また、ここでいう納付期限とは、以下のことを指します。

・期限内に申告した場合:法定納付期限
・期限後申告もしくは修正申告:申告書提出日
・更生および決定の場合:更正通知書を発行した日から1カ月後の日

 

■延滞税の計算期間の特例

虚偽や不正行為によって税金を支払わなかった場合を除き、以下の場合には、一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。詳細は以下のとおりです。

1.期限内申告書が提出されており、法定申告期限後1年を経過した後、修正申告もしくは更生があった場合
2.期限後申告書が提出されており、その申告書を提出して1年を経過した後に、修正申告もしくは更生があった場合
3.確定申告書を提出した後に減額更正がなされ、その後さらに修正申告もしくは更生があった場合

(出典:国税庁 No.9205 延滞税について ※2)
 

まとめ

仮に令和3年度分として申告する所得税額が60万円だったとして、期限後申告を令和4年4月1日に行った場合、延滞税はかかりません。
 
しかし令和4年5月2日に期限後申告を行った場合、1800円の延滞税が発生する(※3)ほか、無申告加算税「(50万円×15%)+(10万円×20%)」9万5000円をあわせて支払わなければならず、最終的な納付金額は69万6800円と、本税に対して1割以上増えることになってしまいます。
 
期限後申告日が遅くなればなるほどその額は多くなるため、確定申告を忘れたことに気づいた場合は、素早く対応することが大切です。
 

出典

(※1)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2024 確定申告を忘れたとき
(※2)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.9205 延滞税について
(※3)国税庁 延滞税の計算方法
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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