更新日: 2022.06.11 控除

子どものアルバイト収入が「月10万円超え」でマイナス影響に!? 親として知っておきたい「税金知識」

子どものアルバイト収入が「月10万円超え」でマイナス影響に!? 親として知っておきたい「税金知識」
4月から子どもが高校や大学に進学をして、新たにアルバイトを始めたという家庭もあるでしょう。そこで考えたいのが、子どものアルバイト収入です。
 
アルバイト収入が月10万円を超えるようなことが続きますと、親の税金においてマイナスの影響が生じる可能性があります。今だから知っておきたい、子どものアルバイト収入について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

扶養控除について

納税者が所得税法上で対象となる親族を扶養している場合は、その親族(控除対象扶養親族)の年齢や人数により、一定の所得控除を受けられます。この仕組みを扶養控除といいます。
 
扶養親族に該当するには、その年の12月31日時点で下記の全ての要件を満たしている必要があります。


・配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)、都道府県知事や市町村長から養育・養護を委託された児童(里子)、老人であること

・納税者と生計を一にしていること

・年間の合計所得金額が48万円以下であること(所得が給与所得のみの場合、給与収入が103万円以下)

・青色申告者の事業専従者として、その年に一度も給与の支払いを受けていないこと。または白色申告者の事業専従者ではないこと

対象となる扶養親族は年齢などで下記のように区分されており、扶養している方の所得から控除される金額は38万円から63万円となります。
 


※筆者作成
 
例えば、16歳の高校生を扶養している方であれば、38万円の扶養控除が受けられます。また、19歳以上23歳未満の大学生を扶養している場合、控除額は63万円となります。
 

子どものアルバイト収入によって親の税金に及ぶ影響

子どもがアルバイトで月10万円以上の収入を得ていることが続きますと、親の税金が高くなる可能性があります。前述したとおり、扶養控除においては扶養する親族の年間の給与収入が103万円以下という要件があります。
 
例えばアルバイト収入が毎月10万円の場合は年間の給与収入が120万円となり、103万円以下という要件を満たさず、控除の対象となる扶養親族ではなくなります。その結果、親の税金の計算上で38万円または63万円の扶養控除がなくなり、その分、税金が高くなってしまいます。
 
仮に年収600万円で、所得税率と住民税率が10%という方で、19歳の子どもが扶養控除の対象から外れてしまった場合、課税対象となる所得金額が63万円分増えることになり、所得税と住民税がそれぞれ6万3000円、合計で12万6000円増加します。
 
ただし、アルバイトの収入が一時的に多くなっただけでは、その時点で直ちに親の税金にマイナスの影響が及ぶわけではないため、年間で103万円を超えないように調整すれば問題はないでしょう。
 

個人事業扱いの収入がある場合は要注意

子どもの年間の収入が103万円以下なら扶養親族となれるというのは、あくまでも給与所得がアルバイトでの給与収入のみの場合です。
 
最近流行のフードデリバリーや動画配信・投稿といった個人事業扱いの仕事で得た収入など、給与所得以外に該当する収入がある場合、収入から経費を引いた金額が48万円を超えたときには扶養親族から外れることになります。
 
子どもの収入が103万円以下でも、働き方によっては親の税金が高くなる可能性があることにご注意ください。
 

子どものアルバイト収入は定期的に確認をしておく

子どものアルバイト収入が年間で103万円を超えてしまうと、親は扶養控除が受けられなくなり、税金が高くなってしまいます。
 
子どもがアルバイトを通じて働くことを学び、収入を得るのは良いことでもありますが、税金面を考えると親は子どもの収入について、ある程度は定期的に把握しておく必要もあります。
 
子どもを税制上の扶養から外したくないという場合、アルバイトによる収入は年間で103万円を超えないように注意しておいてください。
 

出典

国税庁 専門用語集
国税庁 家族と税
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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