更新日: 2022.06.22 その他税金

恐ろしい追徴課税。自己破産してもリセットされないって本当?

執筆者 : 新井智美

恐ろしい追徴課税。自己破産してもリセットされないって本当?
確定申告をしたあとに、申告した税額が少なく、新たに納税しなければならなくなるケースがあります。また、確定申告を行っていないことが判明することもあるでしょう。
 
その際には、納税額以外にも加算税や延滞税といったペナルティーを合わせて支払わなければなりません。これらのペナルティーは、場合によっては非常に高額になることもあり、指定された納付期限までに支払えないことも考えられます。
 
今回は、これらのペナルティーを合わせた税金の支払いが困難な場合、どのようなことが起こるのか、またそれを回避できる制度についても解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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追徴課税とは?

確定申告後に、調査などによって新たに支払わなければならない税額が発生した場合、本来の納付期日から完納日までの日数に応じて、以下の金額がペナルティーとして加算されます。これを追徴課税といいます。
 

■延滞税

延滞税は、法定納付期限の翌日から完納する日までの日数に応じて計算されます。その額は、次の1および2で計算された金額(1円未満切り捨て)の合計額(100円未満切り捨て)です。
 

1.{納付するべき本来の税額(1万円未満切り捨て)×延滞税の割合(2022年の場合年2.4%)×法定納期限の翌日から完納の日もしくは2年を経過する日の日数}÷365日
 
2.{納付するべき本来の税額(1万円未満切り捨て)×延滞税の割合(2022年の場合年8.7%)×2年を経過する日の翌日から完納日までの日数}÷365日

 

■過少申告加算税

調査によって確定申告期限内の申告について、修正の申告もしくは更生があった場合、10~15%の過少申告加算税が加算されます。ただし、調査がある前に修正申告を行った場合は対象外です。
 

■無申告加算税

さらに、確定申告の期限までに申告しなかったことに対する無申告加算税が課せられます。調査を受ける前に修正申告を行った場合は5%ですが、それ以外の場合、50万円以下の部分に対しては15%、50万円を超える部分については20%で計算されます。
 

■重加算税

悪意を持って、本来納めるべき税額よりも少ない税額を申告していたことが判明した場合に重加算税が課せられます。過少申告加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%となっています。
 

税金を支払えない場合の流れ

税金の滞納が発生した場合、国税徴収法に規定されているとおり、催促が行われ、それでも対応しない場合は財産が差し押さえられます。具体的な流れは以下のとおりです。
 

1.催促状が送付される(電話での催促があるケースも)
2.催促状に記載されている期日までに支払いが確認されなかった場合、財産調査が開始される
3.調査によって差し押さえる財産が確定し、その財産を売却することで換金する
4.換金した金額を納付すべき税額へ充当する

 
ただし、すべての財産が差し押さえの対象となるわけではありません。基本的に3ヶ月分の生活費や教育に必要な道具などは差し押さえの対象外となります。
 
逆に、それ以外の財産については差し押さえの対象となるため、給与の一部や保有している金融資産、さらには不動産や車、生命保険などは差し押さえられ、現金化されてしまいます。
 

追徴課税は自己破産でもリセットされない?

自己破産とは、裁判所に申し立てることによって借金の返済を免除してもらう手続きのことです。
 
自己破産が認められることにより、その後の借金の返済が免除になることもありますが、すべての借金が免除の対象となるわけではありません。
 
自己破産でも対象とならない「非免責債権」というものが存在し、「税金」「罰金」「国民健康保険料」「国民年金保険料」などの支払いについては免責されず、自己破産が認められたとしても、これらは払う必要があります。
 
このように、税金の支払い(追徴課税含む)は自己破産でもリセットされないことを覚えておきましょう。
 

まとめ

税金の支払いについては、自己破産が認められたとしても払わなければなりません。そのためにも、確定申告の必要があるならば、自己破産をしても確定申告を必ず行っておくことが大切です。
 
調査の結果、追徴課税が発生した場合で、期日までに支払えないことが分かっているならば、「納税の猶予」もしくは「換価の猶予」を申請しましょう。そうすることで差し押さえられた財産の現金化を猶予してもらえるほか、追徴課税の納付を猶予してもらえます。
 
また、本来であれば一括で支払わなければならないところを、1年間にわたって分納することが認められます。納税の猶予や換価の猶予については、申請できる条件が定められていますので、その条件を確認したうえで申請するようにしてください。
 
もちろん、確定申告を正しく行い、納税することが基本ですが、調査によって追徴課税が発生し、それが一括で支払えないと判明した時点で、税務署に猶予申請を行うなどの対処をとるようにしましょう。
 

出典

(※1)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2024 確定申告を忘れたとき
(※2)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.9205 延滞税について
(※3)国税庁 滞納税の計算方法
(※4)財務省 加算税の概要
(※5)国税庁 加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし
(※6)e-GOV 法令検索
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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