意外とかかる「住民税」 どうしてこんな金額になるの?住民税の算出方法とは
配信日: 2018.04.10 更新日: 2019.08.29
では、この「住民税」はどのように計算されているかご存知でしょうか?
執筆者:浅木克眞(あさぎ かつまさ)
税理士、浅木克眞税理士事務所 所長
株式会社横浜みなとみらいマネジメント 代表取締役
横浜市出身。昭和58年税理士登録。皆様の夢の実現・永続発展・様々な「困りごと(経営課題)」に対してワンストップ・トータルサービスで応えています。
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住民税とは?
住民税とは、都道府県民税と市区町村民税を合わせたものをいい、1月1日時点で住んでいる市町村に納めます。それぞれ、所得割と均等割という二つから構成され、市町村によって、税率や金額が少しずつ異なります。
所得割とは、所得に応じて課税されるもので、都道府県民税6%+市区町村民税4%=10%、均等割は、固定額で、都道府県民税3500円+市区町村民税1500円となっている地域が多いようです。
所得税と同様に、一人一人の生活状況に応じて、各種の控除が設けられていますが、税率は、累進課税ではなく、所得が増加すれば、その10%ずつ増加します。例えば、年収600万円、専業主婦、子供2人というような世帯では、概ね年間で15万円~20万円になります。
住民税は後払いの税金です。
(源泉)所得税は、年税額の前払いですので、年度末になると差額を調整する「年末調整」が必要になります。一方、住民税は、確定した所得に基づいた後払いですので、前述の通り計算された金額を納付することになります。
具体的には、前年の1月~12月の収入をベースに、確定申告・年末調整を行い、そのデータをもとに、住民税が計算されるという流れです。
確定申告の期限が3月15日ということもあり、住民税の金額は、毎年6月に改定されます。サラリーマンの方であれば、特別徴収といって、次の年の5月まで同額が給与から天引きされるのです。
影響が大きいのはどんな人?
このように、後払いの制度ですので、収入を得る時期と税金を納める時期がズレてしまうことになります。その影響が大きいのは以下のような人です。
1.退職した人
退職して収入がなくなれば、毎月の所得税を支払う必要はなくなります。しかし、住民税は別です。
例えば、平成29年12月末に退職したとすると、平成29年度は丸々1年分収入があったはずです。そして、その分の住民税は、平成30年の6月から1年間かけて支払う必要があるのです。退職後すぐに次の仕事が見つかれば良いのですが、そうでない場合は、思わぬ出費となってしまう可能性があります。
2.毎年の収入が大きく変動する人
例えば、プロ野球選手のように、成果に応じて収入が大きく変動する人も注意が必要です。ある年は年棒1億円だったが、次の年は年棒1000万円に急落してしまったというようなケースでは、1000万円しか収入がないにも関らず、前年収入の1億円を基礎に計算された高額な住民税を支払わなければなりません。
ただでさえ、収入が減ったのに税金は増えるなんて、と思うかもしれませんが、後払いだから仕方がないのです。ここまで極端ではなくても、業績に応じた成果給の割合が多い方は、調子の良い年があったとしても、翌年の住民税の支払いも見据えてあまり使いすぎないように気を付けた方が良いでしょう。
3.新入社員(久しぶりに仕事に復帰した人)
新入社員は、通常、前年の収入がないため、入社1年目は住民税がありません。毎月のお給料から引かれ始めるのは、2年目の6月以降です。
初年度は、賞与も満額でなかったりという会社も多いですが、住民税がない分、手取りは多くなるのです。これは、1年以上仕事を休んでいて復帰した方も同様です。
ふるさと納税を活用して、賢く住民税の負担を減らしましょう。
最近、話題になることが多いふるさと納税ですが、この住民税を減らすことができます。簡単にいうと、「ふるさと納税した金額(=特産品を頼んだ金額)-2000円」が年間の住民税額から控除される仕組みです。
ただし、たくさん頼めば住民税がゼロになるかというと、残念ながらそうはなりません。本来の住民税額(所得割部分のみ)の20%が上限とされています。これがよく質問をいただく、「いくらまでふるさと納税ができますか」という話です。
サラリーマンの方であれば、5月頃に会社から住民税の明細(給与所得等に係る市民税・県民税特別徴収額の決定通知書)を渡されます。
昨年、ふるさと納税をした方は、寄付金控除として控除額が記載されているはずです。この機会に、一度じっくりと確認してみてはいかがでしょうか。
Text:浅木真輝(あさぎ・まさてる)
監修:浅木克眞(あさぎ・かつまさ)
税理士
浅木克眞税理士事務所 所長
株式会社横浜みなとみらいマネジメント 代表取締役