更新日: 2022.10.20 その他税金

税金を分割して納めたい。一括納付が厳しいときの対処法

執筆者 : 杉浦詔子

税金を分割して納めたい。一括納付が厳しいときの対処法
確定申告書は期限内に作成して提出できたものの、予定よりも納める税金の額が多く、お金をすぐに用意できないということもあります。
 
本記事では、所得税などを一括で納付することが難しい場合の対処法を紹介します。
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

税金を納められないことがある?

会社員などの給与所得者は納める予定の所得税額や住民税額について、給与や賞与からあらかじめ差し引かれており、多くの方は勤務先の年末調整で納税が完了します。
 
税金を納められないというケースは、例えば確定申告が必要な個人事業主などが、予想以上に利益が増えた翌年の確定申告などで起こります。納める税金が増えたときのために、日頃からお金を準備していれば問題ないのですが、納税時期に現金が不足することもあり得るでしょう。
 

税金が払えない場合の対処法

税金を一括で納付できない場合には、「振替納税制度」や「延納の届出」により納付日を遅らせたり、あらかじめ「予定納税」を利用して、納付が難しくなる前に分割するといった対処法があります。
 

振替納税制度

最も簡単な対処法は、振替納税制度の利用です。税務署、またはe-Taxで口座振替の手続きを行うことで、所得税や消費税の支払いを現金ではなく、金融機関の口座からの自動引き落としにすることができます。口座振替に変えると、税金を納めるタイミングが1ヶ月程度は遅くなります。
 
確定申告分の所得税は、対象年度の翌年の3月15日までの納付期限が4月中旬頃の引き落とし、消費税は3月31日の納期限が4月中旬から下旬の引き落としとなるため納付期限の約1ヶ月後に入金される売り上げがある場合などでは、振替納税が有効かつ便利です。
 

延納の届出

「納める税金の全額を用意するのは難しいけれど、半分なら何とかなる」という場合には、確定申告時に「延納の届出」が行えます。
 
確定申告書を作成することで、納める所得税などの税額が分かります。延納の届け出を行い、納税すべき所得税などの金額のうち、2分の1以上を納付期限(例年は3月15日)までに納付した場合、残りの額の納付について同年5月31日まで延ばすことができます。
 
延納の届け出は、確定申告書の「延納届出額」欄に「納める税金」の額の2分の1以下の金額を記入・入力して行います。
 
例えば「納める税金」が20万円の場合、「延納届出額」欄の金額を10万円以下にして、申告期限までに20万円の2分の1である10万円以上を納付する必要があります。ただし延納期間中は、年7.3%と延滞税特例基準割合(※)のいずれかの低い割合で利子税が発生します。
 
(※)各年の前々年9月から前年8月まで、各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として、各年の前年11月30日までに財務大臣が告示する割合に年1%を加算した割合。
 

予定納税

その年の5月15日現在で、前年分の所得金額や税額などを基にした予定納税基準額が15万円以上と算出された場合、その年の所得税および復興特別所得税の一部をあらかじめ納付する「予定納税」という制度があります。
 
予定納税は税金の一部を前払いするため、1年分をまとめて支払う場合と比べて納税時の負担感が減るというメリットがあります。予定納税は、予定納税基準額の3分の1の金額を第1期分として7月1日から7月31日までに納付し、第2期分を11月1日から11月30日までに納付します。
 
その年の6月30日の状況で、第1期分の所得税などの見積額が予定納税基準額よりも少なくなる場合は、7月15日までに所轄の税務署長に「予定納税額の減額申請書」を提出して承認されると予定納税額は減額となります。第2期分の予定納税額の減額の申請期限は11月15日です。
 
また、納付した予定納税の額が、実際に納める税金より多かった場合には、その差額が国から納税者へ還付されます。還付の際は、還付加算金という利息相当分が付きます。
 

まとめ

所得税などを一括で支払うことが困難な場合、延納の届出や予定納税制度を利用し、分割して納めることが可能となります。これらの制度を利用しても納付期限までに税金を納めることが難しいときは、管轄の税務署に早めに相談しましょう。
 

 

出典

国税庁 手順5 延納の届出
国税庁 延滞税の割合
国税庁 No.2040 予定納税
国税庁 No.9206 国税を期限内に納付できないとき
 
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

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