更新日: 2022.11.17 控除
パートを始めようと考えているのですが<税金・社会保険の壁>について簡単に教えてください!
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前提として、現在は夫の収入のみで生活しており、今後妻がパート勤めで収入を得ようと考えているとします。
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執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
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税金の壁
税金には、妻が払うものと、配偶者である夫の所得控除に関わるものがあります。
<103万円の壁>
103万円の壁とは、所得税が発生する年収のボーダーラインです。
パートの場合は給与所得者になるため、給与所得控除(※1)が受けられます。年収103万円の場合、給与所得控除額は55万円ですので、給与所得金額は48万円です。そして、本人の基礎控除額(※2)が48万円ですので、給与収入が103万円以下であれば103万円-55万円-48万円=0円で所得税はかかりません。
しかし、103万円を超えると所得金額が発生することになり、所得税および住民税を支払わなければならなくなります。
また妻の所得が発生することにより、夫は配偶者控除(※3)を受けられなくなります。妻の収入が103万円以下であれば38万円の所得控除が受けられますが、103万円を超えると受けられなくなるため、夫の税負担が増えることになります。
<150万円の壁>
妻に収入がある場合、配偶者控除は適用されませんが、配偶者特別控除は適用されます。
しかし、妻の収入が150万円を超えると、配偶者特別控除の額が段階的に減ってしまいます。配偶者特別控除の額は夫の年収によっても変わりますが、150万円を超えると配偶者特別控除額が減っていくため、夫の税負担がその分増えることになります。
<201.6万円の壁>
さらに妻の年収が201万6000円を超えると、夫が受けられる配偶者特別控除は0円となります。
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社会保険の壁
また、税金だけでなく社会保険の負担が発生するラインもありますので、覚えておきましょう。この社会保険の壁が、2022年10月より変更(※4)となった部分です。
<106万円の壁>
パート勤めの場合でも、2022年10月より、以下の条件にすべて当てはまる場合は、社会保険への加入が義務づけられることになりました。
・週の所定労働時間が20時間以上
・毎月の賃金が8万8000円以上
・雇用期間が見込みも含め2ヶ月を超える
・学生ではない
・パート先の企業の従業員数が101人以上である
パート先の従業員数や労働時間、毎月の賃金の要件が上の要件にすべて当てはまる場合、社会保険料の支払いが発生します。その分手取りが少なくなりますが、将来受け取れる年金額は厚生年金分増えることになります。
また、社会保険には健康保険料や雇用保険料も含まれますので、健康保険組合や雇用保険で用意されている手当などを受けることができます。
<130万円の壁>
106万円の壁に該当しなくても、年収が130万円を超えると夫の扶養から外れるため、社会保険への加入が必要になります。雇用条件や勤務先の従業員の規模などにより、勤務先の社会保険に加入するか、自分で国民年金および国民健康保険に加入するかを選ぶ必要があります。
106万円の壁はこれからも拡大する
社会保険の加入要件である106万円の壁は、2022年10月に拡大されましたが、さらに2年後の2024年10からは勤務先の従業員の要件が、現在の101人から51人以上に変更になります。
小規模の企業にパートで勤務しており、今回の要件に当てはまらなかった人も、2年後の改正時には社会保険の加入対象となる可能性があります。
扶養範囲内を意識するかどうかで働き方が変わる
パート勤めを始めることで、自分の所得税が発生するボーダーラインは103万円です。
しかし、その時点ではまだ夫の扶養でいることができるため、社会保険料の負担は発生しません。今回の改正で収入が106万円を超え、そのほかの要件が該当する場合には、社会保険への加入が必要になり、手取収入が少なくなってしまいます。
あくまでも夫の扶養範囲内で働きたいと思うなら、106万円もしくは130万円の壁を意識し、かつ、勤務先の従業員数も考慮しておく必要があります。
まとめ
社会保険の適用拡大により、これまでの収入の壁が変ることになりました。適用範囲は今後も拡大される予定ですので、社会保険加入を避けたいと考える場合は、勤務先の規模や雇用条件を意識する必要があります。
ただ、社会保険料を払うことで得られるメリットもあります。老齢厚生年金の発生や、各種手当てなどの内容を把握し、社会保険に加入した場合としない場合のどちらがよいか考えてみましょう。そのうえで自分の納得できる働き方を選ぶことをおすすめします。
出典
(※1)国税庁 No.1410 給与所得控除
(※2)国税庁 No.1199 基礎控除
(※3)国税庁 No.1191 配偶者控除
(※4)厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 厚生労働省から法律改正のお知らせ
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員