更新日: 2022.12.07 その他税金
2023年に実施されるかもしれない税制改正の内容とは?
もちろんすべての要望が通るわけではありませんが、今回の税制改正で実施される可能性が高い要望について、その内容も併せて紹介します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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目次
結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置の延長
内閣府から提出されている要望で、現在令和5年3月31日までとなっている適用期限を2年間延長し、令和7年3月31日までとする要望です。
若い世代が将来に対して展望を持てる環境の整備を重点課題としてこの制度は、現時点でまだ目標に達していませんが、利用者数が年々増加していることから、高齢者から若年層への世代間の資産移転がますます活性化することが期待されています。
NISAの抜本的拡充
金融庁から提出されている要望のなかでもニュースで度々話題になっているのが、NISA制度の拡充です。非課税期間を恒久化するなど、制度内容の拡充を行い、貯蓄から投資へのシフトを進めていく考えが読み取れます。
生命保険料控除制度の拡大
所得控除の1つである生命保険料控除の額について、生命保険・介護医療保険・個人年金保険の3つの保険料控除の上限額をそれぞれ現行の4万円から5万円に拡大し、適用される合計控除額の上限額を15万円にするというものです。
少子高齢化による社会保障制度の見直しに対応するため、国民の自助努力による生活保障を支援および促進する目的で要望が提出されています。この要望は昨年も提出されていましたが、実施が見送られています。今年の実施がどうなるかが気になるところです。
また、継続して提出されている要望に、「死亡保険金の相続税非課税限度額の引き上げ」があります。
内容としては、死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行の限度額(500万円×法定相続人の数)に「500万円×配偶者および未成年の被扶養法定相続人の数」を加算するというもので、世帯主を亡くした配偶者と未成年の子どもからなる世帯における、相続税納税後の生活資金確保の配慮を目的としています。
教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の拡充
文部科学省から提出された要望で、適用期間を現行の令和5年3月31日までを令和7年3月31日まで延長するとともに、一定割合を学校法人などに寄付することを条件として、非課税上限額を現行の1500万円から2000万円に引き上げることや、23歳以上の受贈者について、教育訓練給付の支給対象となる「資格および検定」にかかる払い出しを非課税とするといった内容です。
期間の延長も含め、制度の内容がどのように変わるのかに期待できそうです。
エコカー減税の見直しおよび延長
現行の自動車重量税のエコカー減税について、適用期限の延長を行うとともに、見直しを行う内容の要望が経済産業省から提出されています。
見直しにおいては、現状の半導体不足による影響で生産および販売が挽回できず、自動車産業全体が厳しい状況に置かれていることや、カーボンニュートラルの実現に向けて自動車分野の改革を加速する必要があることを踏まえたうえで、当面の間税率の廃止を視野に入れるとしています。
環境性能に優れた自動車のさらなる普及拡大も図るとなっており、正式に決定すれば、延長はもちろん、減税内容の見直しも合わせて行われる予定です。
そのほか、経済産業省からは、「中小企業者等の法人税率の特例の延長」として、適用期限を2年間延長する要望も提出されています。
空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充および延長
現在、全国的に問題となっている空き家の発生を抑制するために、「相続時から3年を経過する年の12月31日までに、被相続人からその所有する居住用家屋およびその敷地のように供されている土地を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震改修をした家屋に限る)、またはその除却後の土地を譲渡した場合に、当該家屋または土地の譲渡益から3000万円を特別控除する」特例措置をとっています。
国土交通省から出されている今回の要望は、この特例措置を4年間(令和6年1月1日~令和9年12月31日まで)延長するとともに、譲渡後に家屋の耐震改修もしくは除却を行った場合を対象に加える内容になっています。
まとめ
各省庁から提出されている要望には、例年提出されているけれど実現していないものや、新たに提出された要望も多くあります。
期間延長や制度の変更などについては、私たちの生活に直接影響があるものも少なくないので、どのような要望が提出されているのかについても知っておくことは大切です。
出典
(※)財務省 令和5年度税制改正要望(内閣府)
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員