更新日: 2023.02.28 確定申告
青色申告は白色申告に比べてどんなメリットがある? 対象者はそもそもどんな人?
本記事では、青色申告と白色申告について解説するとともに、青色申告の対象となる人についてもお伝えします。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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青色申告制度とは
確定申告を行う際には、1年間に生じた所得の金額を正確に計算し申告するために、収入金額やその事業を行うにあたって発生する必要経費など、日々の取引状況を取りまとめ、さらに取引の証拠となる書類を保存しておく必要があります。
そのなかで、一定水準の記帳を行っており、その記帳に基づいた正しい申告を行う人に対しては、所得金額の計算において有利な取り扱いが受けられる制度が用意されています。それが「青色申告制度」です。
<一定水準の記帳とは>
年末に賃借対照表および損益計算書を作成できるよう、正規の簿記による記帳が原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けた簡易な記帳でもよいとされています。
青色申告をすることで受けられるメリット
青色申告制度を利用することで、受けられるメリットには以下のものがあります。
<青色申告特別控除>
不動産所得もしくは事業所得を申告する青色申告者で、これらの所得に係る取引を複式簿記により記帳して、この記帳に基づき作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出する場合には、原則としてこれらの所得から最高65万円が控除されます。
また、上記以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得、山林所得の申告について、最高10万円の控除が受けられます。このことからも、所得金額の高い人ほど青色申告制度を利用する傾向が見られます。
<青色事業専従者給与>
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業にもっぱら従事している人に支払った給与は、適正な金額であれば必要経費に算入できます。
<純損失の繰越しおよび繰戻し>
事業所得などに赤字があるケースでは、損益通算の規定を適用しても控除しきれない部分の金額が生じた場合は、その金額を翌年以降3年間にわたって繰越すことができます。前年も青色申告を行っている場合は、その金額が生じた年の前年に繰戻して前年分の所得税の還付を受けることもできます。
青色申告制度を利用することのデメリット
青色申告制度を利用するにあたり、メリットばかりではありません。以下のような条件があります。
・申請をする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」の提出が必要である
・決算書の提出が必要である
・書類の保存期間が白色申告よりも長い
・記帳方法が複式簿記である
・65万円の特別控除を受けるためには、電子帳簿保存もしくはe-TAXでの申告が必要である
白色申告の記帳方法および帳簿の保存方法
白色申告者に対しては、確定申告書の提出の際に、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類である収支内訳書の添付が必要です。
また記帳に関しては、取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載するような簡易的な方法も認められています。帳簿や書類の保管期間は5年間となっており、令和4年分以後の所得税において雑所得を申告する場合で、その年の前々年分の雑所得収入金額が300万円を超える人は、現金預金取引等関係書類を保存しなければならなくなった点に注意が必要です。
青色申告と白色申告の違い
青色申告は事前に申請が必要ですが、白色申告には事前申請は必要ありません。また、白色申告には青色申告特別控除のような控除は設けられていませんが、その分記帳が簡単に済ませられるといった特徴があります。 青色申告と白色申告の違いを図表1に示してみましたので参考にしてください。
図表1
まとめ
青色申告と白色申告には、記帳方法や申告の際の添付書類などに違いがありますが、青色申告のほうが控除や損失の繰越しなどといったメリットがあります。
記帳の仕方も最近では会計ソフトを利用することで簿記の知識がなくても行えるようになっていますので、個人事業主やフリーランスで所得金額が高くなってきた人などは、青色申告制度の利用を考えてみることをおすすめします。
また、確定申告の制度や内容も今後改正される可能性がありますので、確定申告関係のリリースなどは適時チェックしておくようにしましょう。
出典
(※1)国税庁 No.2070 青色申告制度
(※2)国税庁 No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
(※3)国税庁 記帳や帳簿等保存・青色申告
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員