更新日: 2023.11.20 その他税金

高値のうちに金貨を売却したいです。税金を払う義務があるって本当ですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

高値のうちに金貨を売却したいです。税金を払う義務があるって本当ですか?
金の買取価格が上昇傾向にあることから、金貨の売却をしたいと検討する人もいるのではないでしょうか。高く売れるタイミングで金貨を買い取ってもらえれば、その分だけ利益も高くなるので、売却に魅力を感じている人もいることでしょう。
 
しかし、金貨を売却して得た利益は「譲渡所得」「雑所得」「事業所得」に分類されて、一定以上の額になると税金がかかるので注意してください。
 
本記事では、金貨を売った際にかかる税金について、売却して得た利益を計算する方法などを解説します。これから金貨を売る予定がある人をはじめ、金貨を保有する人はぜひ参考にしてください。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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金貨を売ったら税金がかかる?

金貨を売って利益を得た場合、税金を支払わなければなりません。国税庁の「No.3161 金地金の譲渡による所得」でも「金地金を売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象」という記載があります。
 
給与所得者が金貨を売却して利益を得た際の譲渡所得は、会社からの給与所得と合算して課税対象となり、確定申告を必要とするのが一般的です。確定申告とは、1年間で発生した所得に対する納税額を計算して申告、納税を行うための手続きを意味します。金貨の売却によって確定申告が必要になった場合は、期限内に申告と納税を行えるように準備を整えておきましょう。
 

譲渡所得に区分されないケース

金貨を売却して得た所得は、原則として譲渡所得に該当しますが、継続的かつ営利目的による金貨の売却となると雑所得や事業所得として取り扱われる場合があります。例えば、最初から売却する予定で金貨を購入し、反復して売却しているような状態のことです。
 
そのため、単に個人が持っている金貨を売却するケースでは雑所得や事業所得ではなく、譲渡所得に分類されると考えてよいでしょう。
 

金貨を売却して得た利益を計算する方法

金貨を売却して得た利益に対する税金は、以下のように所有期間が5年以内か、5年を超えるのかに応じて計算します。
 

【所有期間が5年以内(短期譲渡所得)】

●売却金額-(取得費用+売却費用)=金貨の譲渡益
●(金貨の譲渡益)+(その他の当年度の譲渡益)-譲渡所得の特別控除50万円=課税対象となる譲渡所得の金額

 

【所有期間が5年を超える(長期譲渡所得)】

●売却金額-(取得費用+売却費用)=金貨の譲渡益
●(金貨の譲渡益)+(その他の当年度の譲渡益)-譲渡所得の特別控除50万円=譲渡所得の金額
●(譲渡所得の金額)× 1/2= 課税される譲渡所得の金額=課税対象となる譲渡所得の金額

 
課税対象となる譲渡所得の金額を計算するには、売却金額や手数料などを確認できる領収証や明細などが必要です。捨てたり紛失したりしないように保管しておいてください。
 

年間の売却益が50万円分以内なら税金はかからない

金貨の売却は、必ず税金がかかるわけではありません。課税対象になるのは、金貨の取得と売却にかかった費用から譲渡所得の特別控除である50万円を差し引いた金額に対してです。売却時の利益との差額が50万円を超えなければ、非課税扱いになります。
 
なお、短期譲渡所得と長期譲渡所得の譲渡益がある場合、特別控除額の上限はそれぞれを合算した50万円までです(短期譲渡所得の譲渡益を優先して控除)。
 

所得区分を確認して税金がいくらかかるか把握しよう

いつか高値が付くと思った、周囲に勧められたなどの理由で金を購入したものの、そのままにしている人もいるのではないでしょうか。最近は金貨が高い値段で取引されているため、この機会に売却をするのも利益を出すために効果的です。
 
ただし、金貨を売却して大きな利益を得た場合には、税金を支払わなければなりません。その際の税額は金を所有していた期間や所得区分によっても異なるため、事前に確認しておくとスムーズです。税額について正しく理解する自信がない場合は、税務署や税理士への相談も検討してみてください。
 

出典

国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)

国税庁 No.3161 金地金の譲渡による所得

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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