返礼品は寄付額の3分の1に!ふるさと納税の見直しから考える【そもそも何の為の制度?】

配信日: 2018.09.23 更新日: 2020.08.04

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返礼品は寄付額の3分の1に!ふるさと納税の見直しから考える【そもそも何の為の制度?】
野田聖子総務大臣は9月11日の記者会見で「ふるさと納税」の抜本的な見直しを検討すると表明しました。

寄付金に対する自治体の返礼費用の割合が3割を超えたり、返礼品が地場産でなかったりする自治体への寄付を、税優遇の対象から外す方針です。

過度な返礼品の競争が収まると見込まれる一方、自治体には税偏在への不満もくすぶっています。
丸山隆平

執筆者:丸山隆平(まるやま りゅうへい)

経済産業ジャーナリスト

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「ふるさと納税」はそもそも何のための制度?

地方のふるさとで生まれ、現在は都会に住んで、そこで納税している人たちは多くいらっしゃいます。
 
こうした人たちは地元の自治体から医療や教育などのさまざまな住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場所を都会に移し、そこで納税を行っています。
 
このため、都会の自治体には税収が入りますが、自分が生まれ育ったふるさとの自治体には税収が入りません。
 
そこで「今は都会に住んでいても、自分を育ててくれた『ふるさと』に、自分の意思でいくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか?」という問題提起から生まれたのがふるさと納税制度です。
 

寄付の相手は自分のふるさとに限らない

ふるさと納税は「納税」という言葉がついていますが、実際には都道府県、市区町村への「寄付」です。
 
自治体に寄付をした場合には、確定申告をすれば、その寄付金額の一部が所得税および住民税から控除されますが、ふるさと納税では、原則として自己負担額から2000円を除いた全額が控除の対象となります。
 
ふるさと納税制度は「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」としてだけでなく、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことのできる制度」として創設されました。つまり、自分の故郷に限らず、どの自治体にもふるさと納税を行うことができます。
 
それぞれの自治体はホームページでふるさと納税に対する考え方や、集まった寄付金の使い道などを公表しています。寄付をしたい人はこれを見て、応援したい自治体を選ぶことができます。
 

「返礼品」は寄付額の3分の1に

ふるさと納税は2008年に始まりましたが、各自治体が趣向を凝らした「返礼品」を用意したこともあり、2017年度の受け入れ額は3653億円(総務省調査、平成29年度実績)※1にまで増加しています。
 
また、この人気は返礼品の選択から寄付の決済まで、Web上でワンストップで行える「さとふる」のようなふるさと納税専用のポータルサイトの存在も、一役を買っています。
 
ところで総務省は、ふるさと納税の返礼品について、「返礼品の調達価格は寄付額の3割以下にしてほしい」との通達を出しています。各自治体が他の自治体より寄付額を多く集めようとして、豪華な返礼品を用意する競争が続いていたからです。
 
自治体によっては家電品など、地元特産品とは全く関係ない返礼品を用意して寄付を集めようとするところも出ていました。
 

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総務大臣の発言に反発も

こうした返礼品をめぐる自治体間の過当競争を問題視した総務省の意向を受け、冒頭の野田総務大臣の発言につながりました。
 
総務省は現在の過当競争は、ふるさと納税制度の趣旨から外れており、見過ごすことができない状況としました。そのため、通知を守らない自治体はふるさと納税の対象から外し、寄付をしても税金が控除されないように、制度を見直す方針を固めました。早ければ来年の通常国会に必要な法案を提出する考えです。
 
しかし、これに反発する自治体も出ています。一部の自治体は通知を守る考えはないとの立場を表明し、引き続き多額の寄付金を集める姿勢を崩していません。
 
税金は生活者にとって大きなテーマです。皆さんはふるさと納税についてどのように考えますか?
 
総務省 「ふるさと納税に関する現況調査結果の概要」
 
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト

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