住民税は地域によって違うって本当? 最も安い自治体はどこ?
配信日: 2024.03.08
この記事では、個人住民税の概要や標準税率について詳しく紹介します。個人住民税が安い自治体は標準的な自治体と比べてどれぐらいお得なのでしょうか。本記事で確認しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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個人住民税の目的と標準税率
住民税とは、その地域に住む人が行政サービスにかかる費用を分担する目的で納付する地方税です。市区町村や都道府県がおこなう消防やゴミ収集・処理、教育などのサービスは、基本的に住民税でまかなわれています。
住民税には個人住民税と法人住民税があり、このうち、1月1日に住所がある市町村(都道府県)に対して個人が納付するのが個人住民税です。個人住民税は市町村民税と道府県民税をあわせたもので、一定の所得がある住民が平等に負担する「均等割」と前年の所得額に応じて負担する「所得割」にわかれており、それぞれに税率が決まっています。
個人住民税の標準税率は、均等割が市町村民税3500円と道府県民税1500円の合計5000円、所得割が市町村民税6%と道府県民税4%の合計10%です。均等割の金額は、防災施策にかかわる財源確保のために、2014年度から2023年度分まで市町村民税500円、道府県民税500円が引き上げられています。
また、全国20の指定都市に住所を有する人は所得割の内訳が異なり、道府県民税が2%、市民税が8%です。
住民税は地方団体が独自に税率を設定できる
標準税率は、あくまで基準です。財政上その他の必要があると認める場合には、地方団体が独自に税率を設定できます。例えば、宮城県では個人住民税の均等割のうち、県民税にみやぎ環境税1200円が独自に課税されています。
そのため、均等割額は市民税3500円と県民税2700円(標準税率1500円+みやぎ環境税1200円)を合わせた6200円です(2023年度以前)。
2024年度以降は、個人県民税に含まれるみやぎ環境税1200円を残して、市民税と県民税に課税されていた防災施策に関する復興財源、合計1000円分が廃止されるため、均等割の金額は5200円になります(ただし、2024年度から国税である森林環境税1000円が個人住民税として課税されるため、合計額は変わりません)。
宮城県に限らず、多くの自治体が標準税率と異なる税率を定めています。
住民税が最も安い自治体は大阪府泉南郡田尻町
住民税が最も安い自治体は大阪府泉南郡田尻町です。所得割額は町民税5.4%、府民税4%で合計9.4%、均等割額は町民税3200円、府民税1800円で合計5000円となっています。
移住・定住の促進と働く世代の応援策として、標準税率から所得割税率0.6%、町民税均等割額300円が引き下げられています。2024年度までの措置となっており、延長されるかどうかは未定です(2024年2月14日現在)。
次に住民税が安い自治体は愛知県名古屋市です。名古屋市の個人住民税のうち、均等割額は市民税3300円、県民税2000円で合計5300円、所得割額は市民税7.7%、県民税2%で合計9.7%です。
名古屋市では、将来の地域経済の発展を目的に市民税を減税しているため、市民税が均等割額で200円、所得割額で0.3%引き下げられています。この措置は期限が定められていません。
個人住民税は地域によって異なるが、大差があるわけではない
個人住民税は地域によって異なりますが、標準税率を基準に定められているため大きな差ではありません。個人住民税が安い地域として紹介した田尻町が、減税の目的を移住・定住の促進と働く世代の応援策としているように、個人住民税が高めの地域も、標準税率に上乗せした税額やその使い道をホームページなどで明記しています。
住民税率を調べた際には、自分の納めた税金が納得のいく使われ方をしているかどうか、確認することも大切です。2023年度まで防災施策にかかわる財源確保として、市町村民税500円、道府県民税500円が引き上げられているため、2024年度以降の個人住民税率は変化すると考えられます。最新の税率は居住する自治体にご確認ください。
出典
財務省 住民税について教えてください。所得税とはどう違うのですか?そもそも国税と地方税の違いはなんですか?
総務省 個人住民税
国税庁 [税のしくみ] 税の種類と分類
仙台市 個人市県民税について
総務省 地方税の仕組み
名古屋市 個人の市民税の減税について
名古屋市 市民税減税について
名古屋市 税額の計算方法
田尻町 個人住民税
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