更新日: 2024.05.01 その他税金
夫が車通勤です。子どもの送り迎えに車があると便利と思いますが、新車は予算の都合上買えそうにありません。中古車を買うと税金に違いはありますか?
とはいえ、ガソリン代や車検代などを考慮するのは難しいため、本記事では「税金」に着目していきたいと思います。「税金は、請求されたらなんとなく支払ってしまう」という方は、ぜひ最後までお読みください。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
自動車にかかる税金
自動車は、購入したときだけでなく、所有しているときにも課税されます。自動車にかかる税金は以下のとおりです。
●消費税
●自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割
●自動車税種別割・軽自動車税種別割
●自動車重量税
このうち、消費税と自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割は、自動車を購入したときにのみ課税されます。自動車税種別割・軽自動車税種別割と自動車重量税は、自動車を購入したときだけでなく所有しているときにも課税されます。
したがって、維持費を考慮するなら、自動車税種別割・軽自動車税種別割と自動車重量税について理解しておく必要があるといえます。
消費税
もはや解説不要かと思いますが、消費税は、自動車を購入したときに課税される税金です。消費税は国税・地方税であり、購入金額に対して課税されます。
消費税は、購入金額が同じであれば、新車を購入したときと中古車を購入したときとで税額に違いはありません。したがって、新車を購入するか中古車を購入するかを考慮するときに、消費税は検討の材料から抜け落ちてしまうかもしれません。ただ、購入金額が大きければ消費税の金額も無視できない額になることは、ご留意いただきたいです。
自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割
環境性能割は、2019年10月1日以降、自動車取得税が廃止されて導入された制度であり、自動車を取得したときに納める税金です。
自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割は、令和5年4月1日から令和8年3月31日までに自動車を取得した場合に、自動車の取得価額に対して環境性能に応じた税率で課税されます。例えば、自家用の登録車の場合、環境性能割の税率は0%(非課税)から3%となります。
環境性能割の税額は「取得価額×環境性能割の税率」で計算します。ただし、新車を購入したときの「取得価額」は「課税標準基準額+オプション価額」で算出するのに対し、中古車を購入したときの「取得価額」は「課税標準基準額×残価率」で算出します。なお、取得価額が50万円以下の場合は課税されません。
自動車税種別割・軽自動車税種別割
自動車税種別割・軽自動車税種別割は、自動車・軽自動車を所有している方が納める税金です。自動車税種別割・軽自動車税割は、自動車・軽自動車の種別、排気量などに応じて課税されます。
このため、新車を購入しても中古車を購入しても、税額には違いが無いように思われるかもしれません。しかし、2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自動車(軽自動車は除く)については、自動車税種別割の税率が引き下げられます。つまり、中古車であっても、初回新規登録が2019年10月1日より前か後かによって、自動車税種別割の税率は異なります。
また、新車(乗用車)を購入した場合は、自動車税種別割の「グリーン化特例」の適用を受けることができます。これは、令和5年4月1日から令和8年3月31日までに対象の自動車(電気自動車や燃料電池自動車など)について新車新規登録を行った場合に限り、翌年度分について特例措置(おおむね75%軽減)が適用されるというものです。
ただし、自動車税種別割の「グリーン化特例」には、税額を軽減する措置もあれば、加重する措置もあります。この特例は、新車新規登録などから一定期間(ガソリン車であれば13年)を経過した自動車に対して、重課(おおむね15%加重)することも規定しています。したがって、中古車を購入するときにはこの点に注意する必要がありそうです。
自動車重量税
自動車重量税は、自動車検査(車検)のときなどに課税される税金であり、自動車検査証の交付などを受ける方が納付します。自動車重量税は自動車の重量などに応じて課税されます(0.5トン当たり4100円)。
このため、新車を購入しても中古車を購入しても、税額には違いが無いように思われるかもしれません。しかし、自動車重量税も自動車税種別割・軽自動車税種別割と同様、排出ガス性能・燃費性能や経過年数に応じて、税金が軽減(軽課)されたり加重(重課)されたりします。
「エコカー減税」という言葉を聞いたことがあるかと思います。エコカー減税は自動車重量税の特例です。これは、令和5年5月1日から令和8年4月30日までに新車新規登録などを行った場合に限り、免税などの特例措置が受けられるというものです。
エコカー減税は、新車を購入したときだけでなく、継続検査や中古車の新規登録などを行う場合であっても、現行のエコカー減税の要件を満たす車両であれば「本則税率(0.5トン当たり2500円)」の適用を受けることができます。
一方、新車新規登録などから13年、または18年を経過した自動車(エコカーを除く)に対しては自動車重量税が加重されます(13年経過後は0.5トン当たり5700円、18年経過後は0.5トン当たり6300円)。中古車を購入する際には、経過年数に注意する必要がありそうです。
まとめ
本記事では、車を買うとき、所有しているときにかかる税金について解説しました。税金は、購入したときだけでなく、所有しているときにも課税されます。車の維持費を考える上で、税金も無視できない要素といえるでしょう。
税制を理解していくと、新車(特にエコカー)を購入することに対し、税制優遇措置があることが分かります。また、税制優遇措置(税率の軽減)とは反対に、税率が加重される措置があることもご理解いただけたかと思います。
特に、初回新規登録から「13年」を経過した自動車については、自動車税種別割・軽自動車税種別割や自動車重量税が重くなる措置があります。中古車を購入するとき、「年式」を気にされる方は多いかと思いますが、今後は購入時の経過年数だけでなく、「初回新規登録から13年経過するまでの年数」にも注目した方が良いかもしれません。
出典
国税庁 「消費税のしくみ」
総務省 「自動車税・軽自動車税環境性能割」
国土交通省 「環境性能割の概要」
総務省 「自動車税・軽自動車税種別割」
国土交通省 「自動車税のグリーン化特例の概要」
東京都主税局 「自動車税種別割」
国税庁 「No.7192 自動車重量税のあらまし」
国土交通省 「自動車重量税額について」
国土交通省 「エコカー減税(自動車重量税)の概要」
国土交通省 「自動車関係税制について(エコカー減税、グリーン化特例等)」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー