更新日: 2019.01.11 年末調整

年末調整、漏れはない?「しまった!」となる前に、受けられる控除についておさらいしよう

執筆者 : 前田菜緒

年末調整、漏れはない?「しまった!」となる前に、受けられる控除についておさらいしよう
年末調整の時期が来ました。
 
毎年行っている年末調整ですが、今一度、控除できる項目に漏れはないか確認しておきましょう。
 
前田菜緒

Text:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

年末調整とは

年末調整とは、所得税を精算する手続きです。
 
所得税は1月から12月に支払われた1年分の給与に対し計算されます。
 
毎月所得税は差し引かれていますが、あくまでもその金額は仮の金額。
 
そこで、1年が終わる年末に正確な所得税を確定させ、多く払いすぎた分は12月の給与に上乗せされて戻され、逆に少なかった場合は12月の給与に上乗せされて差し引かれます。
 

年末調整で受けられる控除

では、年末調整で受けられる控除についてみていきましょう。
 
1、基礎控除
 
誰でも受けられる控除です。控除額は一律38万円で手続きは不要です。
 
2、社会保険料控除
 
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料など支払った社会保険料の合計額が控除されます。手続きは不要です。
 
3、配偶者控除
 
配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入のみの場合、年収103万円以下)の場合に控除が受けられます。
 
控除額は納税者本人の合計所得、配偶者の年齢により異なります。
 
4、配偶者特別控除
 
配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下(給与収入のみの場合年収103万円超201万以下)の場合に控除が受けられます。
 
配偶者と納税者は生計が同じである必要があり、内縁の妻は対象外です。控除額は納税者本人と配偶者の所得により異なります。
 
なお、配偶者控除も配偶者特別控除も納税者本人の合計所得が1000万円以下(給与収入のみの場合年収1220万円以下)である必要があります。
 
5、扶養控除
納税者に控除対象となる扶養親族がいる場合に控除が受けられます。
 
扶養親族には生計が同じで16歳以上、年間の合計所得が38万円以下(給与収入のみの場合年収103万円以下)などの条件があります。
 
控除額は、扶養親族の年齢や同居の有無により異なります。
 
6、小規模企業共済等掛金控除
 
iDeCoの掛け金を拠出した方が拠出金全額を控除の対象とすることができます。
 
7、生命保険料控除
 
1年間に支払った保険料の額に応じて生命保険控除が受けられます。
 
2012年1月1日以降に契約した保険か、それ以前に契約したかによって控除額は異なります。
 
8、地震保険料控除
 
1年間に支払った地震保険料額に応じて控除が受けられます。5万円を上限として支払った金額の全額が控除対象です。
 
9、障害者控除
 
納税者自身、同一生計で合計所得38万円以下(給与収入のみの場合年収103万円以下)の配偶者、または扶養親族が障害者である場合に控除を受けられます。
 
控除額は障害の重さにより異なります。
 
10、寡婦控除・寡夫控除
 
寡婦にあたるか寡夫にあたるかで、控除要件や控除額が異なります。寡夫のほうが、寡婦より控除要件は厳しくなっています。
 
11、勤労学生控除
 
納税者自身が勤労学生であるとき、控除を受けられます。
 
所得要件や特定の学校の学生であることなど要件があります。
 
12、住宅ローン控除
 
住宅ローン控除を受ける最初の年は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で手続きが可能です。
 
1年目の確定申告後、税務署より残りの控除期間年数分の「住宅借入金等特別控除証明書」が送られて来ているはずですから、この書類を使って年末調整を申告します。
 

年末調整で受けられない控除は確定申告で

以下の控除は年末調整では申告できません。確定申告をしましょう。
 
・雑損控除:自然災害や家事、盗難などで被害にあった時に受けられる控除
・医療費控除
・セルフメディケーション税制:ドラッグストアや薬局で対象の医薬品を購入し合計額が12,000円以上の場合
・iDeCoの掛け金拠出が10月以降に始まり、年末調整に間に合わない場合など
 
いかがですか? 受けられる控除に漏れはありませんか? 
 
節税できるチャンスですから、控除できる制度を有効活用しましょう。
 
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者