70代の父がタンス預金「3000万円」を貯めていたことが発覚!税務署の調査対象になるでしょうか?
配信日: 2024.07.02
今回は、タンス預金を税務署が調査する可能性のあるケースや、無申告のお金をタンス預金で隠していたときに課される税金などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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タンス預金は状況によっては税務調査の対象
タンス預金があること自体に違法性はありません。税金が発生するかどうかの基準は、タンス預金に回したお金の出どころにより変わります。まず、すでに税金の申告が終わっているお金や、会社の給料で源泉徴収済みのお金からタンス預金をしている場合は基本的に追加の税金は発生しません。
しかし、源泉徴収されていなかったり所得税の申告をしていなかったりする収入や、他人から受け取ったり相続したりした財産で申告していないお金などは、税金の過少申告や無申告として税務調査をされる可能性があります。
もし税務調査が入り、無申告の税金が判明すると、本来納付するはずだった金額よりも多くの税金の納付が必要です。申告期間が遅くなればなるほど追加で払う税金も増えるため、こういったケースに該当する場合はタンス預金が分かった時点で修正申告をしましょう。
もし申告方法や計算が分からなければ、専門家や税務署へ相談することをおすすめします。
税務調査の対象になる可能性のある税金
税務調査の対象になる可能性のある税金としては「所得税」「贈与税」「相続税」が挙げられます。国税庁によると、個人事業主の場合所得金額の合計が2400万円以下であれば48万円以上、給与所得者の場合副業などで20万円以上の収入があった場合は、確定申告が必要です(年金受給者など一部例外を除く)。
また、1年で110万円以上の財産を受け取っていれば贈与税が発生します。贈与税の対象は、受け取った合計額です。例えば、1年間で3人から40万円ずつ受け取っていたとすると、1人から受け取った金額だけなら贈与税はかかりません。しかし、3人から受け取った合計額は120万円となり110万円を超えるため、贈与税の申告が必要です。
相続税は基礎控除額が「3000万円+法定相続人の数×600万円」で求められます。基礎控除額を超えて相続財産があれば、タンス預金も含めた金額で税金を計算して納付が必要です。タンス預金の3000万円以外に相続した財産がなければ、基本的に相続税はかかりません。
もしこれらの税金を納付しないようにするため、タンス預金に回していれば税務調査の対象になる可能性があるでしょう。
税金の無申告により課される税金
タンス預金による税金の申告忘れがあった場合は、気づいた時点ですぐに所轄税務署へ修正申告をしましょう。申告が遅れるほど加算税や延滞税の金額が増額します。もし納付できない場合は隠すのではなく、税務署へ相談が必要です。
加算税は無申告期間や隠ぺい行為といった悪質な所得隠しであるかなどによって、課される種類が変わります。財務省によると、加算税の種類と概要は以下の通りです。
・過少申告加算税:期限内申告で税額の修正や更正をした
・無申告加算税:期限後申告や決定をした、もしくは期限後申告や決定について修正申告や更正をした
・不納付加算税:源泉徴収などによる国税について、法定納期限後に納付や納税の告知があった
・重加算税:税金の仮装隠ぺい行為があった
特に、重加算税は意図的に得た収入を隠した場合などに適用され、ほかの加算税に代わる形で計算されます。もしタンス預金が意図的でなかった場合でも、気づいた時点で申告をしなければ意図的に隠したとみなされるリスクもあるので、必ず申告しましょう。
また、重加算税以外の加算税は、正当な理由があれば適用されないケースがあります。正当な理由があって申告できていなかったときは、なぜできなかったかを伝えて加算税が免除されないか確認しておきましょう。
タンス預金に申告していないお金があれば税務署に指摘される可能性も
タンス預金をしていることが原因で税務署に調査はされませんが、申告しなければいけない税金を申告せずにタンス預金をしていると指摘を受ける可能性があります。タンス預金をしているときは、所得税や贈与税、相続税の申告漏れがないかを確認しておきましょう。
もし税金の申告忘れがあると、延滞税に加えて税金の納付が遅れた期間や、意図的に隠ぺいしていたかなどによって加算税が課される場合があります。申告が遅れるほど追加で支払う税金も増えるので、無申告のタンス預金が見つかった時点ですぐに税金の修正申告をしましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1199 基礎控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和5年度版) 財産を相続したとき
財務省 納税環境整備に関する基本的な資料 加算税の概要
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