タンス預金が違法になるのはどんな時? 金額が大きいだけなら問題ないの?
配信日: 2024.08.21
日本銀行調査統計局の調査結果「2024年第1四半期の資金循環」(2024年3月末速報値)によれば、家庭内で保蔵されている現金は100兆円を超えているとのことです。家庭内で現金を保蔵するケースは意外に多いといえるでしょう。
ただし、現金を自宅に保蔵する場合、ケースによっては違法となる場合があります。どういった場合に違法となるかも含め、タンス預金について総合的に調査を行いました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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タンス預金とは
タンス預金とは、「銀行等の金融機関に預けず、自宅で保管している現金」のことを指します。ちなみに保管場所は必ずしもタンスではなく、キッチンの床下収納や本棚なども保管場所となりうるようです。
自身の正当な財産を単にタンス預金しているだけでは、違法となることはありません。問題となるのは、本来税務署に申告すべきお金をタンス預金している場合です。具体的にどのようなケースが違法となりうるのでしょうか。
タンス預金が違法となるケース
タンス預金が違法となるケースは、故意か過失かに関わらず、申告すべきお金をタンス預金し、税務署へ申告していない場合となります。具体的なケースについて説明します。
相続したお金をタンス預金している場合
被相続者がタンス預金していたお金をそのまま相続するというケースもありうるでしょう。相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことになっています。
したがって、納税もこの申告期間内に行わなければなりません。相続を申告せず、タンス預金を続けることは違法となりうるため、注意が必要です。
贈与されたお金をタンス預金している場合
基本的に、年間110万円を超える額の贈与を受けた場合は贈与税が発生します。1月1日から12月31日までに受贈した財産の価額の合計に、基礎控除額110万円を差し引いて税率を乗じます。これが贈与税の一般的な計算方法です。
ただし直系尊属から贈与を受けた場合など、控除額や税率が変わってくる場合もあります。受贈したお金を申告せず、タンス預金を続けることも違法となりうるため、注意が必要です。
タンス預金のデメリット
無申告の相続したお金や、年間110万円を超える受贈したお金の”タンス預金”が問題となりうることがわかりました。それではやましいことがなければタンス預金は問題にならないのでしょうか。
タンス預金で大きな買い物はしづらいことがある
年間110万以下の贈与を受け続けた結果、1000万円貯まったとします。この1000万円で不動産などの大きな買い物をすると、結果として贈与税を支払わなくてはならない可能性が高いです。
タンス預金で不動産を購入すると、法務局の登記から不動産の購入が判明し、税務署から調査の依頼が来ます。
タンス預金の場合、年間110万円以下での贈与を受けて貯まったという証拠がなにもありません。真実であるとしても、証明することができないのです。結果として贈与税を支払わなければならない可能性が高いでしょう。
タンス預金がやましいお金でなくても、税務署の対応に時間をとられる場合も
タンス預金が問題となりうる2つのケースに加え、デメリットを1つ紹介しました。
タンス預金が本当に「クリーンなお金」であるにも関わらず、税務調査官の証明が終わるまでの期間、たびたびヒアリングに対応しなければならないこともあるでしょう。タンス預金はその「クリーンさ」を証明しづらいことが難点であるといえるからです。
心配な方は、銀行などの金融機関に預けることをおすすめします。タンス預金が問題となりうるのは、相続やのある種特殊なお金をタンス預金していた場合であることがわかりました。
自身の収入に関する税金を納めたうえで、全てタンス預金するケースは基本的には問題ありません。ただし税務署のヒアリングなどに対応しなければならないこともあるため、時間的コストを好まない方は金融機関に預けたほうが安心といえます。
タンス預金のデメリットを正しく認識し、タンス預金をするかどうかの判断をしてはいかがでしょうか。
出典
日本銀行 資金循環統計(速報)(2024年第1四半期)及び遡及改定について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー