妻は年収120万円、6歳の子どもを妻の扶養にすると「住民税非課税」になると言われたのですが、妻の手取りが増えるということですか?

配信日: 2025.01.03

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妻は年収120万円、6歳の子どもを妻の扶養にすると「住民税非課税」になると言われたのですが、妻の手取りが増えるということですか?
Aさんの妻は、パート勤務で年収120万円ほど。「6歳の子を妻の扶養にすると妻が“住民税非課税”になると聞いたのですが、要は妻の手取りが増えるということですか?」とのご質問です。Aさんの妻の年収と扶養の関係性とは、住民税非課税になるとどんなことが起こるのか、子どもを年収の低い親の扶養にするうえでの注意点などを紹介します。
植田周司

執筆者:植田周司(うえだ しゅうじ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)

外資系IT企業を経て、FPとして「PCとFPオフィス植田」を起業。独立系のFPとして常に相談者の利益と希望を最優先に考え、ライフプランをご提案します。
お客様に「相談して良かった」と言っていただけるよう、日々努力しています。

そもそも6歳児の扶養は住民税に影響するの?

 
扶養に関して、よくある誤解があります。それは、「16歳未満の子どもは扶養の影響がない」というものです。確かに、所得税や住民税の扶養控除額の計算では16歳未満の子どもは対象外です。しかし、住民税の非課税判定においては、16歳未満の子どもも扶養親族としてカウントされ、非課税となる所得金額の基準に影響を与えます。
 
今回の相談のように、6歳の子どもを妻の扶養に入れても、直接的には住民税の扶養控除額に影響はありません。しかし、年末調整の書類や確定申告の際に16歳未満の扶養親族として記載することにより、所得から差し引く「扶養控除」の額は0円でも、住民税の非課税判定に影響があります。特にAさんの妻のように120万円前後の給与で住民税を払っている場合は、以下の内容をじっくりご覧ください。
 
住民税が非課税となる条件は、合計所得額が以下の算式で求めた額以下の場合です。

●同一生計配偶者および扶養親族がいない場合:
35万円 + 10万円
●同一生計配偶者または扶養親族がいる場合:
35万円 × (本人 + 同一生計配偶者 + 扶養親族数)+ 21万円 + 10万円

 
(出典:横浜市 住民税の非課税基準の見直し(※))

この基準に基づき、16歳未満の子どもは非課税判定に含まれ、所得の上限が引き上げられます。したがって、Aさんが6歳のお子さんを収入の少ない妻の扶養に入れることで、住民税が非課税となる可能性があります。ただし、所得税の計算は異なるため、収入を上げると住民税が非課税でも所得税が課税される可能性があります。
 

扶養と家族手当の関係

 
ここで重要になってくるのが、「家族手当」の存在です。多くの企業では、扶養家族の人数に応じて家族手当を支給しています。このような制度がある場合、子どもの扶養を夫と妻のどちらに入れるかで、家計全体の収入が変わってきます。
 
例えば、配偶者手当が月額2万円、児童手当が子ども1人につき月額5000円(年額6万円)のように設定されている場合で試算してみましょう。
 

 

 
図表2の試算例では、子どもを妻の年少扶養家族にすることで妻の住民税は非課税となりますが、Aさんの家族手当の減少により、世帯全体の手取り収入は減少しています。
 

どちらの扶養に入れるべきか

 
判断のポイントは、以下の3点です:

●会社の家族手当制度の有無と金額
●配偶者の収入状況と社会保険の扶養範囲
●税金面での影響

一般的には、会社に家族手当がある場合は収入の多いほうの扶養に、家族手当がない場合は税金面で有利なほうの扶養にすることが推奨されます。ただし、これらは一般的な例であり、実際には個別の状況を考慮する必要があります。
特に、将来の昇給予定や社会保険の扶養限度額なども考慮に入れて検討することをお勧めします。
 
なお、扶養の変更は年の途中でも可能ですが、税金や社会保険の手続きが必要ですので、変更の際は会社の担当部署や税務署に確認することをお勧めします。
 

まとめ

 
今回の対象となるのは、年間100万円を超えて給与をもらっていて住民税が発生している方です。Aさんのケースでは、子どもを妻の年少扶養にすることで住民税非課税の恩恵を受ける可能性があります。
 
ただし、家族手当の有無によっては、世帯全体の手取りが減少する可能性もあるため注意が必要です。所得税や社会保険料についても、考慮すべきです。具体的な金額や税額の確認については、家計全体を考慮しながら、税務署や市区町村の窓口で確認をお勧めします。住民税と所得税の違いを理解し、賢くお金を管理しましょう。
 
最後に、扶養選択の判断を行う際のチェックリストを作成しましたので、ぜひ活用してください。
 
【扶養選択の判断チェックリスト】
□ 会社の家族手当制度を確認した
□ 住民税非課税の判定基準を確認した
□ 社会保険への影響を確認した
□ 世帯全体での収支を計算した
 
(注)当コラムは、2024年12月15日現在の税制をもとに作成しています。今後の税制改正により年少扶養控除の内容が変更される可能性もあるため、常に最新の情報を確認してください。
 

出典

(※)横浜市 住民税税制改正のお知らせ(令和3年度実施分) 住民税の非課税基準の見直し
 
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)

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