嫌われる人でも役には立ってる?たばこ税2兆円は貴重な税収源
配信日: 2019.03.04 更新日: 2019.06.19
そこで、今回はたばこに関する税収の推移や国と地方の税収内訳を確認し、私たちの生活に与える影響を考えてみました。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
たばこは値上げをしても税収が安定している
たばこにはたばこ税(国・地方)とたばこ特別税がかけられ、負担額は1本当たり13.244円(2019年2月現在)となっています。
1箱(20本)で考えると264.88円になり、これに消費税を加えると税負担額は約300円になります。1箱480円とすると税負担割合は62.6%にもなり、これだけ税金を払わされたら買う側としてはかなり厳しいですが、税収入になる国や地方にとっては有難い納税です。財務省の資料から国と地方の税収の推移をグラフにまとめてみました。
国と地方のたばこ税等の税収推移
資料:財務省たばこ税等に関する資料
グラフには1994年度(平成6年度)から2016年度(平成28年度)までの23年間が載っています。1994年度は、国のたばこ税等と地方のたばこ税を合わせて2.08兆円(国税・地方税共に1.04兆円)の税収になります。
23年経った2016年度は合わせて2.12兆円(国税・地方税共に1.06兆円)の税収で、400億円増えただけです。税収は前年に比べて増えた時も減った時もありますが、常に2兆円強で推移しています。たばこの販売数量の減少と、たばこ税等の増税のバランスが上手く保たれているということでしょう。
喫煙者は税収に大きく貢献している
次に国税と地方税の税収の内訳を確認してみました。喫煙者が納める税金はどのくらい貢献しているのでしょうか?
国税の税収内訳
資料:財務省平成28年度決算額調
1年間の国の税収は58兆9563億円(平成28年度決算額)となっており、内訳で大きいのは法人税(17兆6111億円)と消費税(17兆2282億円)、法人税(10兆3289億円)の3つで、これで全体の4分の3になります。その他はグラフ上では細々していますが、金額はどれも大きく大切な税収です。
たばこに関する国税は「たばこ税」と「たばこ特別税」で、合わせて1兆556億円になり、国の税収の1.8%を占めています。1兆円強を喫煙者だけで納税していることを考えると、かなりの貢献度と言えそうです。
地方税の税収内訳
資料:総務省国税・地方税の税収内訳(平成28年度決算額)
地方の税収は39兆3924億円(平成28年度決算額)となっており、内訳で大きいのは固定資産税(8兆8032億円)や個人市町村民税(7兆3651億円)です。
地方たばこ税は1兆598億円で地方税全体の2.7%を占めています。1兆598億円がどのくらいの規模感なのかイメージしづらいですが、比較として最近注目されているふるさと納税の全国での受入実績が3653億円(平成29年度)なので、地方たばこ税はふるさと納税の約3倍の規模にもなります。地方にとって1兆円を超える税収入はとても大きな存在と言えそうです。
たばこを吸う人は国と地方に1兆円を超える税金を納めています。納税することは素晴らしいことですが、普段の生活費に困ってしまっては元も子もありません。たばこを吸うことのメリットとデメリットを一度じっくり比較してみてはいかがでしょうか。
たばこを吸わない人は、たばこの煙を毛嫌いするだけでなく、沢山納税していることを改めて理解しておけば、ストレスが少しは和らぐのではないでしょうか。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者