更新日: 2019.05.17 その他暮らし
〈家庭でできるマネー教育〉 ⑥利子ってなに?銀行に預けるってどういうこと?
「お金は銀行に預けるといいのよ」
「貯金箱に入れておくだけじゃダメなの?」
「銀行に預けると利子がつくのよ」
「利子ってなあに?」
こんな会話をお子さまとしたことがある人も多いのではないでしょうか?金融用語は大人でも正しく理解しているのか不安なものです。子供に問われたとき、ちゃんと説明できますか?
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
どうして「利子」がつくのか?
金融広報中央委員会「子供のくらしとお金に関する調査(第3回)」(2015年度)によると、「銀行に預金すると利子をつけて返してくれる」と正しく理解しているのは、小学校高学年で32%です。
お金を預けると、そのお礼として利子が受け取れます。なぜお金を預けるとお礼がもらえるのでしょうか。それは銀行業務のしくみにあります。
銀行は、お金が必要な人や会社に、お金を貸すことを仕事の一つとしています。
みんなが預けたお金は、銀行にとってはお金が必要な人や会社に貸すお金の元手になります。
そしてお金を借りた人は、借りたお金より少し多く返すことで銀行にお礼をし、その元手を提供してくれたみんな(預金者)に、銀行はお礼として利子を払っているのです。
「お金を貸して、せっかくもらったお礼を、みんな(預金者)にあげてしまったら、銀行ってもうからないんだね」と息子に言われたことがありました。
大丈夫なのです。銀行は、お金を貸すときはお金を預かるときよりも金利を高くして、貸した時のお礼よりみんな(預金者)にあげるお礼の方が小さくなるようにしているのです。
「単利」「複利」ってなにがちがうの?
利子のつき方には単利と複利の2つがあります。
「100万円を年利2%で1年間預けたときの利子」を単利で計算すると、「2万円」となります。(100万円×2%=2万円)
つまり、100万円をずっと預けていたら、毎年2万円の利子がもらえるのです。
これを複利で計算すると、1年目は 同じく2万円の利子がもらえますが、2年目以降は変わってきます。複利の場合には利子も元金に組み入れられるので、2年目の利子は、2万400円となります。(102万円×2%=2万400円)
この結果からわかるように、単利よりも複利の方がお金を増やしやすく、また同じ金利でも、元金が大きいほど、運用期間が長いほどその差は大きくなります。
ちなみに、前出の調査によると、単利については、中学生31%、高校生47%が正しく理解しているものの、複利については、中学生25%、高校生35%しか正しく理解していません。
知ってますか?「72の法則」
1年複利でお金を増やす場合、「72」を金利(年利)で割ると、預けたお金の2倍になるには何年かかるかが簡単にわかります。これを「72の法則」といいます。
例えば、金利が3%の場合、
72÷3=24
となり、24年で2倍になることがわかります。
100万円を金利3%で複利運用すると、24年で200万円になるというわけです。
今は超低金利で、「預金なんて全然増えないじゃない!もったいないわよ」という方も多いでしょう。でも本当にもったいないのでしょうか?
元本割れして元のお金より減ってしまっては困るお金の場合は、期間を決めて確実に貯めておくのも一つの賢い運用方法なのです。
こんな時代だからこそ、金融教育上は大事なことがあると思います。
子供が「貯める」ことを学ぶ場合は、長い人生じっくりお金と向き合う姿勢を学ばせたいものです。