更新日: 2020.03.27 控除

シングル家庭は知っておきたい! 2020年改正予定の寡婦(夫)控除を解説

シングル家庭は知っておきたい! 2020年改正予定の寡婦(夫)控除を解説
シングル家庭に適用される所得控除として、寡婦(夫)控除があります。寡婦(夫)控除は離婚や死別により、1人で子育てをしている人の所得から一定額を差し引き、税負担を軽減する制度です。
 
2020年2月現在、寡婦(夫)控除は国会で審議中ですが、法律が成立すれば所得税は2021年分から、住民税は2022年分から新制度の内容で適用される予定です。
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

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すべてのひとり親に適用される「ひとり親控除」

現行の寡婦(夫)控除は、同じひとり親であっても、男性か女性かによって控除できる金額が異なります。また、未婚のひとり親には適用されません。
 
このような不公平感をなくすために、今回の改正案では、すべてのひとり親に対して、控除額が同額となる「ひとり親控除」が適用されることになりました。
 
ひとり親控除が適用されるのは、子どもがいる単身者です。子どもとは、生計が同じで総所得金額等が48万円以下の子のことをいいます。
 
総所得金額等が48万円以下とは、例えば子どもがアルバイトをしていて、給与収入がある場合、収入が給与のみなら、103万円以下であれば総所得金額は48万円以下になります。
 
そして、ひとり親本人の条件もあります。本人の合計所得金額が500万円以下(給与収入目安678万円)という所得制限があります。また、事実婚は対象外です。これらの条件をクリアすれば、ひとり親控除として35万円を所得から差し引くことができます。

改正案をケースごとに解説

では、改正案をケースごとに見ていきます。

■死別・離別をしたシングルマザーのケース

現行は合計所得金額が500万円を超えていても、同一生計の子がいれば、寡婦控除を受けることができます。しかし、今回の改正案では、所得制限が設けられました。改正前後での寡婦控除の違いは以下のとおりです。
 
(現行)
本人の合計所得金額が500万円以下・・・寡婦控除35万円(特別の寡婦)
本人の合計所得500万円超・・・寡婦控除27万円(一般の寡婦)
 
(改正案)
本人の合計所得金額500万円以下・・・ひとり親控除35万円

■死別・離別したシングルファーザーのケース

現行は、寡夫控除の金額が27万円ですが、改正案では、寡婦控除と同額の35万円になります。
 
(現行)
本人の合計所得金額500万円以下・・・寡夫控除27万円
 
(改正後)
本人の合計所得金額500万円以下・・・ひとり親控除35万円

■未婚のひとり親のケース

現行では、未婚のひとり親に対して、寡婦(夫)控除は認められていませんが、今回の改正案で、適用されるようになります。
 
(現行)
寡婦(夫)控除なし
 
(改正案)
本人の合計所得金額500万円以下・・・ひとり親控除35万円

■上記以外の寡婦

例えば、子ども以外の扶養親族がいる、夫と離婚・死別した女性や、扶養親族がいない夫と死別したシングル女性のケースです。
 
(現行)
寡婦控除27万円
 
(改正案)
本人の合計所得金額500万円以下・・・寡婦控除27万円

女性の場合は、増税のケースも

合計所得金額が500万円超のシングルマザーは、今回の改正で増税になります。逆に、シングルファーザーや未婚のひとり親の場合は減税です。
 
住民税についても同様の改正が行われますから、税負担額の変化額は小さくないかもしれません。ご自身のケースを確認しておきましょう。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ

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