更新日: 2021.08.29 その他税金

新入社員はもちろん、社会人の先輩も! あらためて知っておきたい給与明細の見方

執筆者 : 松木優子 / 監修 : FINANCIAL FIELD編集部

新入社員はもちろん、社会人の先輩も! あらためて知っておきたい給与明細の見方
毎月もらう給与明細。実際にいくら振り込まれるかは分かっても、なぜその金額になるのか実はよく理解できていない……という方も多いと思います。今回は給与明細の見方を詳しく解説するので、新社会人になって初めて給与明細をもらった方も、社会人として先輩の方も、ぜひ参考にしてみてください。
松木優子

執筆者:松木優子(まつき ゆうこ)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。

来店型保険ショップ元コンサルタント。首都圏郊外の地域密着店や、都市部の富裕層が多い店舗で、年間約150組のお客様のコンサルタントを担当。

FINANCIAL FIELD編集部

監修:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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給与明細の見方が分かると、こんなメリットがある!

万が一、給与明細の記載が間違っていた場合でも、自分で気付くことができれば、経理担当者に伝えて正しい金額に直してもらえるでしょう。
 
本来より残業時間が少ない、手当が加算されていないなど、誤って給与が少なく計算されている場合もあるかもしれません。間違いがないか自分の目でチェックすることが大切です。
 
そしてもう1つ。給与明細を見れば、自分が働いて得た収入のうち、いくらを社会保険料や税金として納めているのかが分かります。中には毎年料率が変わるものもあります。社会保障制度や税金の仕組みを知るきっかけにもなるでしょう。

給与明細には何が書いてある?

下の給与明細書を例に見てみましょう。レイアウトや記載項目は会社によって違いますが、このような内容になっているところが多いと思います。
 


 
A.勤怠:その月に何日間、何時間働いたかを示します。
B.支給:勤怠を基に計算した給与と、各種手当の金額が記載されます。
C.控除:支給額から天引きされる社会保険料や税金などです。
D.差引支給額:実際に振り込まれる金額で、「手取り額」ともいいます。
 
では、A〜Dの各内訳と計算方法を確認していきます。

A.勤怠

何時間働いたか、残業や遅刻早退はどのくらいあったかが記載されています。1日8時間、週40時間を超える「普通残業時間」や、午後10時〜午前5時まで働く「深夜残業時間」は、最低でも基本給の1.25倍が支払われることとなっています。労働時間がきちんと計算されているか、まずは「勤怠」欄を確認しましょう。

B.支給

「基本給」に加え、勤怠を基に計算した残業手当が記載されています。そのほか、通勤手当や役職手当、住宅手当などの各種手当も確認できます。

各種手当に税金はかかる?

基本的には、基本給と同じく課税対象になります。ただし、通勤手当は1ヶ月あたり15万円までは非課税です。転勤や出張などでかかった旅費のうち、通常必要と認められるものも非課税です。

総支給額の計算方法は?


 
(1)課税支給額+(2)非課税支給額(通勤手当など)=(3)総支給額になります。今回の例だと25万4812円です。次の「C.控除」で所得税を計算するために、課税支給額と非課税支給額を分けて記載しています。

C.控除

総支給額から天引きされる社会保険料などが記載されています。社会保険料の計算では、基本的に各種手当も含めて計算します。しかし見舞金や慶弔金など含めないものもあるため、気になる場合は勤務先に確認することをおすすめします。

まずは社会保険料を計算

■健康保険
総支給額25万4812円を基に計算します。東京都の協会けんぽの場合、下記表に当てはめると1万2831円になります。


出典:全国健康保険協会「令和2年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」
 
■厚生年金
これも健康保険と同様、総支給額25万4812円を下記表に当てはめると、2万3790円になります。

出典:日本年金機構「平成29年9月(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」
 
■雇用保険
総支給額25万4812円に雇用保険料率(令和2年度は1000分の3)をかけて、764円と算出します。
 
■介護保険
40歳以上の方が納めます。今回の例だと、総支給額25万4812円に介護保険料率(令和2年度は1.79%)をかけた4561円を会社と従業員で折半するので、2分1にあたる2281円を納めます。
 
■社会保険合計
今まで計算した、健康保険+厚生年金+雇用保険+介護保険の各保険料の合計額です。

次に所得税・住民税を計算

■課税対象額
今度は所得税を計算します。(1)課税支給額-(2)社会保険合計=(3)20万3146円が、所得税・住民税の課税対象額です。


 
■所得税
20万3146円を下記の表に当てはめます。扶養親族が0人の場合は、所得税は4910円になります。所得税は本来1年単位で計算しますが、実際にはこのように月単位で算出して納めています。12月の「年末調整」で年単位の所得税を計算して、それまで納めた金額に過不足があれば精算します。
 

出典:国税庁 「給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)」
 
■住民税
前年の1月〜12月の給与に応じて、6月から翌年5月まで徴収されます。税率は自治体によって異なります。社会人1年目の方の多くは前年に住民税の対象となる所得がないので、給与明細の住民税の欄は空欄になっているでしょう。社会人2年目の6月分から給与明細に記載されるようになります。

控除合計

今まで計算した社会保険料と所得税・住民税の合計額です。

D.差引支給額

総支給額から控除合計額を引きます。この金額が銀行口座に振り込まれます。


 
いかがでしたか? 給与明細にはさまざまな情報が記載されています。ぜひ一度、ご自身の給与明細をチェックしてみてください。
 
参考
厚生労働省「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」
全国健康保険協会「令和2年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」(東京都)
日本年金機構「平成29年9月(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」
厚生労働省「令和2年度の雇用保険料率について」
全国健康保険協会「協会けんぽの介護保険料率について」
国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)」
 
執筆者:松木優子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。
 
監修:FINANCIAL FIELD編集部


 

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