更新日: 2020.07.07 確定申告

借り入れがあると、確定申告で減税されるってホント? それってどんなとき?

執筆者 : 飯田道子

借り入れがあると、確定申告で減税されるってホント? それってどんなとき?
住宅ローンや事業資金など、何らかの借入をしている人は多いのではないでしょうか? 実は、お金を借りている場合、確定申告をすることで、本来支払わなければならない税金を減税してもらえるということをご存じでしょうか?
 
今回は、借入金がある場合の減税について迫ってみたいと思います。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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住宅ローンは税額控除の対象になる

法律に従って税金を減額してもらえる制度、それが税額控除です。税額控除とは、課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、一定の金額を控除するというものです。多くの人が利用している住宅ローンが、この税額控除の対象となります。
 
控除額の計算式は、4000万円×1%×10年。
 
この計算式は、平成26年4月~令和3年12月までに取得した場合に適用されます。
 
令和元年10月~令和2年12月までに、消費税率10%が適用される住宅の取得をした場合には控除期間は3年延長されますが、11年目~13年目の控除額は、
(1)年末残高等〔上限4000万円〕×1%
(2)(住宅取得等対価の額-消費税額〔上限4000万円〕)×2%÷3

 
上記、(1)か(2)のいずれか少ない額が控除額となります。また計算上、上限まで控除されることができても、実際にそれだけの税額を払っていなければ、税金は戻ってきません。あくまでも自分が支払った税額までです。
 
例えば、計算上では30万円の控除となっていても、支払っている税額が20万円であれば、戻ってくるのは20万円です。
 
ただし、住宅ローンがあれば自動的に控除の対象となるわけではありません。控除を受けるためには、以下の要件をクリアしている必要があります。

要件

(1)住宅の新築、取得または増改築等をした場合
一定の要件を満たしている住宅の新築、取得または増改築等をした場合、その取得等に関わる住宅ローン等の年末残高の合計額を基として計算した金額を、一定期間控除してもらえます。
 
具体的な要件としては、新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分がもっぱら自己の居住用に供するものであること等の決まりがあります(※)。
 
この控除を受けるためには、確定申告書を提出しなければなりません。ただし、給与所得者であれば、1年目に確定申告をすれば、2年目以降は年末調整でこの控除を受けることができます。
 
(2)特定の増改築等をした場合の特例
バリアフリーに改修した、省エネ住宅にしたなどの特定の増改築等をした場合には、特定の増改築等に関わる借入金等の年末残高の合計額を基として計算した金額を、5年間控除してもらうことができます。
 
ただし、これらは選択適用となっています。2つの控除を同時に受けることはできませんので、じっくりと試算して、自分の場合ならどちらが良いのかを考えてみてください。

借入金の利息は経費にできる

個人で事業を営んでおり、借入金がある場合には経費に計上できます。とはいえ、返済額のすべてが経費になるわけではありません。経費と認められるのは利息の部分のみです。
 
それで何の得があるの? と思うかもしれませんが、経費になるということは、収益から経費の部分を差し引くことができますので、確定申告をする際の『収益』の金額を少なくする効果があるのです。
 
収益が少なくなれば、必然的に支払うべき税金は減ることになりますので、減税につながります。
 
また、既出の住宅ローンですが、事務所として利用している場合も住宅ローン減税の対象です。これは、ローンを経費にできる例外のケースとなります。
 
ただし、住宅ローン控除が適用されるのは事務所兼住宅に限られます。これから起業・借入をし、事務所を手に入れようと検討している場合には、事務所兼住宅という選択肢もあります。

分からないからとそのままにしない

基本的に、借入があるからといって減税の対象となるわけではありません。とはいえ、税制は毎年見直しをされていますし、震災などがあった場合には、一時的な措置が発表されることがあります。
 
自分の場合はどうなんだろう? こんな場合は? と疑問があるのなら、できるだけ早く税務署などに相談し、どのようなものが控除できるのかを確認しておくと良いでしょう。
 
(※)国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト


 

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