更新日: 2021.05.12 控除

2020年の青色申告の注意点。最大控除を受けるにはe-Taxが必要?

監修 : FINANCIAL FIELD編集部 / 執筆者 : 松木優子

2020年の青色申告の注意点。最大控除を受けるにはe-Taxが必要?
2020年分の青色申告は、青色申告特別控除65万円の適用条件が変更になるなど、押さえておきたいポイントが複数あります。正しく申告ができるように、しっかり確認しましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

監修:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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松木優子

執筆者:松木優子(まつき ゆうこ)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。

来店型保険ショップ元コンサルタント。首都圏郊外の地域密着店や、都市部の富裕層が多い店舗で、年間約150組のお客様のコンサルタントを担当。

65万円の控除を受けるにはe-Taxで申告

青色申告特別控除額は2019年分までは10万円と65万円の2種類でした。しかし、2020年分からは10万円、55万円、65万円の3種類になります。それぞれの適用条件は下記のとおりです。
 

条件10万円55万円65万円
(1)青色申告をする
(2)事業所得または不動産所得、山林所得がある
(3)複式簿記など、正規の簿記の原則により記帳する
(4)損益計算書、賃借対照表を作成して提出する
(5)期限内に確定申告書、損益計算書、賃借対照表を提出する
(6)仕訳帳および総勘定元帳を電子帳簿保存する
(7)e-Taxを使用して確定申告書、損益計算書、賃借対照表を提出する

※国税庁「No.2072 青色申告特別控除」より筆者が作成
 
2019年分までは(1)〜(5)の条件を満たしていれば65万円の控除が受けられましたが、2020年分からは(6)または(7)も満たす必要があるので注意しましょう。
 

電子帳簿保存とe-Tax利用を行うには

電子帳簿保存については、帳簿付けを開始する日の3ヶ月前の日までに申請書を税務署に提出する必要があります。原則として、課税期間の途中からは適用できません。
 
ただし2020年分に限り、2020年9月30日までに承認申請書を提出して承認を受け、同年12月31日までに電子帳簿保存を行うことで、65万円の青色申告特別控除の条件を満たすことができます。
 
e-Taxとは、インターネットを利用して青色申告などの手続きができるシステムです。e-Taxを利用するには、マイナンバーカードのほか、ICカードリーダライタまたはスマートフォンが必要になります。
 

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基礎控除額が48万円にアップ

2019年分までの基礎控除額は、所得にかかわらず1人当たり一律38万円でしたが、2020年分からは48万円に引き上げられます。ただし、合計所得が2400万円を超える方は控除額が減ります。
 

納税者本人の合計所得金額控除額
2400万円以下48万円
2400万円超〜2450万円以下32万円
2450万円超〜2500万円以下16万円
2500万円超0円

※国税庁 「昨年と比べて変わった点」を基に筆者が作成
 

各控除の要件が緩和

配偶者控除や扶養控除を受ける際の、対象者の合計所得金額の上限が引き上げられて下記のようになりました。
 

扶養親族等の区分合計所得金額
同一生計配偶者48万円以下
扶養親族48万円以下
源泉控除対象配偶者95万円以下
配偶者特別控除の対象となる配偶者48万円超〜133万円以下
勤労学生75万円以下

※国税庁 「昨年から変わった点」を基に筆者が作成
 

「ひとり親控除」の新設

さらに、これまで配偶者と離婚・死別・生死不明となったシングルマザーやシングルファーザーの世帯しか受けられなかった「寡婦(夫)控除」が見直され、未婚のひとり親も対象となる「ひとり親控除」が設けられました。控除額は一律35万円、条件は次のとおりです。
 
・生計を一にする子がいる
・合計所得金額が500万円以下
・事実上、婚姻関係と同様の状態にある人がいない

 
ひとり親控除に該当しない女性(離婚や死別したが子がいない、子以外の扶養親族がいるなど)には、従来どおり「寡婦控除」により27万円が控除されます。男性には、寡夫控除が廃止される代わりに「ひとり親控除」が適用されます。以上をまとめると、次の表のようになります。
 

※財務省「『令和2年度税制改正』(1)未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し」より筆者が作成
 

新型コロナウイルス感染症による特例

2020年は、新型コロナウイルス感染症による措置として給付金支給などが行われました。全国民に一律10万円が支給された「特別定額給付金」は非課税になります。ただし、「持続化給付金」「雇用調整助成金」「休業協力金」などは課税対象となるため、収入として申告しましょう。
 
また、新型コロナウイルスの影響でさまざまなイベントが中止になりました。その中で文部科学大臣が指定したイベントについては、チケットを払い戻さない場合「寄付した」とみなされ、寄附金税額控除を受けられます。指定イベントは文化庁のホームページで確認できます。
 
新型コロナウイルスの影響による住宅建設の遅延などで住宅への入居が遅れた場合も、一定の条件を満たしていれば、期限内に入居したとみなして住宅ローン控除が受けられます。
 
2020年分の確定申告の期限は、2021年2月16日(火)〜3月15日(月)です。以上のポイントを押さえて申告しましょう。
 
※2021/1/28 記事を一部修正いたしました。
 
出典
国税庁 「No.2072 青色申告特別控除」
国税庁 「青色申告特別控除額 基礎控除額が変わります!!」
国税庁 「昨年と比べて変わった点」
財務省 「『令和2年度税制改正』(1)未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し」
国税庁 「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」
 
執筆者:松木優子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。