更新日: 2021.04.09 控除

主婦の働き方。130万円を超えたら損?

主婦の働き方。130万円を超えたら損?
主婦の方がパートなどで働く際に、よく耳にする「130万円の壁」という言葉。実際にこの壁を越えると、何がどうなるかご存じですか?
 
知らずに損をしないために、もう1つよく聞く「103万円の壁」とともに仕組みを確認していきましょう。
松木優子

執筆者:松木優子(まつき ゆうこ)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。

来店型保険ショップ元コンサルタント。首都圏郊外の地域密着店や、都市部の富裕層が多い店舗で、年間約150組のお客様のコンサルタントを担当。

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103万円、106万円、130万円……壁は何種類?

「130万円の壁を越える」というのは、年収が130万円を超えたら社会保険において配偶者の扶養から外れる、ということです。そもそも、この「○万円の壁」は6種類存在します。さらに税制に関するものと社会保険に関するものとに分かれます。
 
●「○万円の壁」の種類

税制上の扶養 社会保険上の扶養
100万円の壁 これを超えると住民税が発生する(自治体によっては異なる場合もある)
103万円の壁 これを超えると所得税が発生する
106万円の壁 これを超えると、自身の勤務先で保険加入の義務が発生する(従業員数や勤務日数なども加味して判断)
130万円の壁 これを超えると、配偶者の社会保険の扶養から外れる(従業員数や勤務日数なども加味して判断)
150万円の壁 配偶者特別控除の満額(38万円)が受けられる上限
(配偶者の年収によって減額されることもある)
201万円の壁 配偶者特別控除が受けられる上限

※エン派遣 「2020年版/扶養控除・扶養内について簡単にわかる!年収130万の壁って何?」より筆者作成
 

103万円を超えると所得税が発生

年収が103万円を超えると、超えた金額に対して5%〜45%の所得税を納める必要が出てきます。なぜかというと、所得税を計算するときに全ての人が適用できる基礎控除額が48万円、給与をもらっている人が適用できる給与所得控除額が55万円あるので、48万円+55万円=103万円までなら、所得税がかからないためです。
 
さらに年収103万円以下なら、配偶者が所得税を納める際に「配偶者控除」最大38万円が適用されますが、103万円を超えると適用されません。その代わり、「配偶者特別控除」が適用されます(詳しくは下記「150万円を超えると配偶者特別控除が減額される」を参照)。
 

106万円を超えると勤務先で社会保険に加入

年収が106万円を超えて、かつパートやアルバイト先の規模が一定以上の場合、勤務先で社会保険に加入する義務が生じます。次の項目をすべて満たすことが条件です。
 

・所定労働時間が週20時間以上
・収入が月8万8000円以上(年収にして約106万円以上)
・勤務期間が1年以上の見込み(2022年10月からは2ヶ月以上になる予定)
・勤務先の従業員数が501人以上(2022年10月からは101人以上、2024年10月以降は51人以上になる予定)
・学生ではない

 
例えば、上記に該当する会社で年収108万円(月収9万円)の場合、健康保険料と介護保険料が約5000円(東京都)、厚生年金保険料が約8000円で合計約1万3000円、年間にして約15万6000円が手取り額から減る計算になります。
 
※介護保険料の負担がない40歳未満の方は、健康保険料が月々約4000円なので厚生年金保険料と合わせて約1万2000円、年間にして約14万4000円が手取り額から減ります。
 
しかし、病気やけがで仕事を休んだときに健康保険から傷病手当金が支給されたり、老後の年金が厚生年金保険からも支給されたりと、メリットもあります。
 

130万円を超えると配偶者の扶養から外れる

年収が106万円を超えても、勤務先の社会保険へ加入する義務がなければ、配偶者の扶養範囲内であるため社会保険料を納める必要はありません。
 
しかし年収が130万円を超えると配偶者の扶養から外れるため、勤務先の社会保険に加入するか、自身で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。
 
国民年金の保険料は1万6540円(2020年度)で、国民健康保険の保険料は年収や居住している自治体によって異なりますが、年間で計算すると、それなりにまとまった金額になります。それでいて勤務先で社会保険に加入した場合とは違い、国民健康保険には傷病手当金がありませんし、老後に厚生年金保険から上乗せ支給されるわけでもありません。
 

150万円を超えると配偶者特別控除が減額される

年収が103万円を超えると、配偶者の所得税を計算するときに「配偶者特別控除」が適用されます。年収150万円までは満額の38万円が控除されますが、150万円を超えると年収に応じて徐々に減少し、201万円に達すると控除は適用されません。
 
最後にもう1つ、配偶者の勤務先から「家族手当」などが支給されている場合、被扶養者の年収は103万円もしくは130万円未満と所得制限を設けている会社もあるため、規定を確認することをおすすめします。
 
出典
エン派遣 「2020年版/扶養控除・扶養内について簡単にわかる!年収130万の壁って何?」
日本FP協会 「103万円、106万円、130万円、150万円の壁」
国税庁 「No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか」
国税庁 「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除を受けられるか」
国税庁 「No.1195 配偶者特別控除」
 
執筆者:松木優子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。
 
監修:FINANCIAL FIELD編集部
 

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