更新日: 2021.02.24 控除

ひとり親と寡婦(寡夫)、控除はどう違う?

ひとり親と寡婦(寡夫)、控除はどう違う?
2020年より寡婦(寡夫)控除が変わりました。寡夫控除はひとり親控除になり、寡婦控除はひとり親控除と寡婦控除に分解されました。ひとり親控除と寡婦控除、この2つの控除の違いは何でしょうか。今一度、確認をしておきましょう。
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

ひとり親控除と寡婦控除の違い

シングルマザーなら、ひとり親控除、寡婦控除、名前だけ見ると、どちらも当てはまりそうです。自分はどちらの控除を使えば良いのか、あるいは、どちらも使えるのか疑問に思ってしまいますよね。
 
しかし、違いは明確で、字のとおり、ひとり親は親である人、つまり子どもがいる人のための控除、寡婦控除はそれ以外の女性のための控除です。それぞれの控除には適用できる条件がありますから、確認していきましょう。
 

ひとり親控除

ひとり親控除とは、夫と死別、離婚し子がいる人に適用される控除です。「子」とは、生計が同じで所得が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)、他の人の扶養に入っていない子のことをいいます。子の年齢に制限はありませんから、何歳でも問題ありません。
 
また、ひとり親控除には所得制限があります。納税者本人の合計所得が500万円(給与収入のみなら年収678万円)を超えると利用できません。ひとり親控除の控除金額は、所得税35万円、住民税は30万円です。
 
2019年までは婚姻歴の有無によって、控除が受けられたり、受けられなかったり、また、男女によって控除額の差があったりしましたが、2020年からは公平な税制となるよう婚姻歴の有無や男性女性関係なく、ひとり親控除の条件は同じになりました。
 

寡婦控除

以前から寡婦控除はありましたが、今回の改正で一部がひとり親控除に、一部が寡婦控除に分かれた形になっています。寡婦控除の対象となるのは、夫と死別、離婚して子以外の扶養親族がいる女性、夫と死別した女性です。
 
扶養親族とは、生計が同じで合計所得48万円以下(給与収入のみ103万円以下)等の条件に当てはまる人のことをいいます。なお、死別の場合は、扶養親族の要件はありません。
 
控除額は、所得税27万円、住民税26万円です。ひとり親控除同様、合計所得が500万円(給与収入のみなら年収678万円)の所得制限があります。下記が、ひとり親控除と寡婦控除の違いを図に表したものです。
 

(出典)財務省「未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し(令和2年度改正)」
 

事実婚は対象外

今回の改正から、住民票に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある場合、ひとり親控除も寡婦控除も対象外となりました。この記載は、事実婚のパートナーがいることを表します。つまり、事実婚に該当すれば、これら控除を使えないということです。あくまでも「ひとり」親、「ひとり」の女性に対する控除ということですね。
 

年末調整と確定申告で申請を

今まで控除を受けられなかった未婚のひとり親は、新しく控除を受けられるようになりました。男性のひとり親も今回の改正で控除額が大きくなります。年末調整や確定申告では、忘れずに申告をしましょう。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ
 

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集