マイホームを売りたいのですが、税金面で優遇されるって本当ですか? できるだけ税金の負担を抑えたいので、適用要件や申請方法を教えてください

配信日: 2025.01.03

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マイホームを売りたいのですが、税金面で優遇されるって本当ですか? できるだけ税金の負担を抑えたいので、適用要件や申請方法を教えてください
不動産の譲渡には、5年以内の譲渡か5年を超過してからの譲渡かによって譲渡所得の税率が大きく変わることが注意点です。ただし、不動産の譲渡でも自分が住んでいる家(マイホーム)は居住用財産として税制の優遇措置が受けられます。ここでは「居住用財産の3000万円の特別控除」と「居住用財産の軽減税率の特例」の2つを見ていきたいと思います。
北山茂治

執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)

高度年金・将来設計コンサルタント

1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。

人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。

HP: https://www.kitayamafpsr.com

居住用財産の3000万円の特別控除

居住用財産を譲渡した場合で、譲渡益が生じた場合、譲渡所得の金額から最高3000万円を控除できます。譲渡益が3000万円以下なら課税されません。
 
計算式は、「課税譲渡所得金額=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-3000万円」です。
 
<ポイント>
・譲渡した居住用財産の所有期間が短期でも長期でも利用できます。
・住宅を共有している場合は、それぞれがこの特例の適用を受けられます。
  ※夫婦で共有している場合は、合計6000万円の控除を受けられます。
・後で説明する「居住用財産の軽減税率の特例」と重複して適用できます。
 
<適用要件>
(1) マイホーム(自分が住んでいる家屋)を売却するか、その敷地・借地権をマイホームとともに売ること。ただし、かつて暮らしていた家や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日が属している年の12月31日までに売却すること
 
(2) 売却した年の前年と前々年において、この特例(※)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算を受けていないこと。および、繰越控除の特例の適用を受けていないこと
(※)「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によって、この特例の適用を受けているケースを除く
 
(3) 売却した年・その前年・前々年に、マイホームの買い換えやマイホームの交換の特例を受けていないこと。つまり、この特例は3年に1回しか受けられません
 
(4) 売却したマイホームや敷地等において、収用等の場合の特別控除など、その他の特例を受けていないこと
 
(5) 災害により滅失したマイホームのケースでは、その敷地に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
 
(6) 売手と買手との関係が、夫婦や親子など特別な関係でないこと
 
(出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」)
 
<申告方法>
この特例の適用を受けるためには、一定の書類をそろえて確定申告をすることが必要です。
確定申告書に「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用] 」を添えて提出してください。
 
また、控除後の課税譲渡所得が0円となる場合でも確定申告が必要ですので、忘れないようにしましょう。
 

居住用財産の軽減税率の特例

譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合、6000万以下の部分について14.21%(所得税10%、住民税4%、復興特別所得税0.21%が加算される)の軽減税率が適用されます。6000万超の部分は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0. 315%が加算される)です。
 
なお、居住用財産の3000万控除と併用できます。
 
<適用要件>
次の5つの要件すべてに当てはまることが必要です。
 
(1) 日本国内にあるマイホーム(自分が住んでいる家屋)を売却するか、マイホームとともにその敷地も売却すること
 
(2) 売却した年の1月1日において、売ったマイホームや敷地の所有期間がいずれも10年超えであること
 
(3) 売却した年の前年・前々年に、この特例を受けていないこと
 
(4) 売却したマイホームや敷地において、マイホームの買い換えや交換の特例など、その他の特例を受けていないこと。ただし、マイホーム(居住用財産)を譲渡したケースでは、3000万円の特別控除の特例そして軽減税率の特例は、一緒に受けることが可能
 
(5)夫婦や親子など「特別の関係がある人」に売却したものでないこと
 
(出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」)
 
<申告方法>
この特例の適用を受けるためには、一定の書類をそろえて確定申告をしましょう。
確定申告書に「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用] 」・「売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書」を添えて提出してください。
 
この2つの特例をうまく活用して、税金がかからないか、少ない税金の負担で済むように工夫しましょう。
 

出典

国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

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