更新日: 2019.01.10 その他資産運用

仮想通貨は「投資」、それとも「投機」?仮想通貨への投資の仕組みと注意点

仮想通貨は「投資」、それとも「投機」?仮想通貨への投資の仕組みと注意点
現在、仮想通貨について耳にする機会が増えてきましたが、仮想通貨を個人の資産運用の一つと考える人はまだ少ないと思います。
 
しかし、近い将来、個人資産運用の一つになる可能性があります。
 
そのためにも早い段階で仮想通貨の仕組みや取り扱う方法を知ることが安定した資産運用につながります。
 
佐藤美輪 

Text:佐藤美輪 (さとう みわ)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

会計事務所勤務を経て、中小企業のFP分析を行う企業に勤務。
一般の家計にも投資を取り入れる投資コーチとして活動中。
特に、今後、無視できない金融商品となる仮想通貨への安全な投資を広めるために、仮想通貨のファンダメンタルズ分析の実現に向けて研究しています。

仮想通貨は「投資」か「投機」か?

「投資」とは、利益の可能性を予測の上、資金を投入し利益を出していきます。一方、「投機」とは、投入資金の割合を考えず、自分の勘で資金を投入することです。言うなればばくちや賭けに近いやり方です。
 
ただし、株、FX、その他の金融商品でも勘で資金を投入すれば「投機」になります。つまり、資金を投入する方法を間違えれば、「投資」が「投機」となってしまいます。
 
仮想通貨も同様で、価格の変動(ボラティリティ)が高い点では「投機」に近くなりますが、仮想通貨を購入する仕方によっては「投資」に変えることができます。
 

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仮想通貨の「投機」を「投資」へ変える方法とは?

仮想通貨の「投機」を「投資」へ変えるには、次の方法があります。
 
(1)数ある仮想通貨からいくつか選び分散投資する
 
まずは数ある仮想通貨からいくつかを選択し複数の仮想通貨を購入します。仮想通貨を選ぶ判断は、上位10位内から選ぶことがよいでしょう。
【仮想通貨取引ランキングベスト10】
 


https://coinmarketcap.com/ja/ より抜粋
 
ただ、中には匿名性の高い仮想通貨が含まれています。
 
Monero, Zcash, Dashがそれに該当します。
 
匿名性の高い仮想通貨は、資金洗浄や犯罪に利用される可能性が高い通貨となります。
 
現に、今年2月に発生したコインチェック社でハッキングされたネム(xem)は、闇サイトで匿名性の高い通貨に交換され、ネム(xem)を回収することもできず、犯人も特定することができませんでした。
 
このため、政府の指針の影響を受ける可能性が高いことから、このような匿名性の高い仮想通貨の取引についてはあまりお勧めいたしません。
 
(2)ドルコスト平均法で購入する
 
金融商品の投資の経験がある方は、ドルコスト平均法についてご存知と思いますが、実は仮想通貨投資には、このドルコスト平均法が最強の手法なのです。
 
ドルコスト平均法とは、決まった金額を決まった時期に定期的に投資する方法です。
 
ドルコスト平均法のメリットとしては、定額で購入すると商品の価格が上下したとしても、購入の総額が平均化されることで、定量で購入するよりも多く購入できます。
 
一方デメリットとしては、購入する手数料が発生するためその分のコストがかかる点です。ボラティリティの高い商品への投資は、「定量」より「定額」投資が安定した投資になります。
 
仮想通貨なら一気に利益が出そうなので、ドルコスト平均法が無駄ではないかと感じる方がいるかもしれませんが、一気に資金を投入すること自体が「投機」となってしまいます。
 
仮想通貨はボラティリティが高いことを忘れないでくさい。
 

将来的に仮想通貨への「投資」が資産運用になる理由

現在の仮想通貨は、価格の変動が高くボラティリティのリスクがあります。
 
また、拡大する仮想通貨市場のスピードに法の整備が追い付いていないことから、ハッキング被害や管理面で投資した資金を失ったとしても、個人投資家の自己責任となるため、資産運用としては難しい側面があるのが現状です。
 
現在、日本政府は仮想通貨の法整備を早急に進める努力をしています。
 
この法整備が進むことで資産を失うなどのリスクや価格のボラティリティが下がる可能性があるます。
 
また、仮想通貨の優位性の一つとして、円やドルなどの法定通貨と比べると送金にかかる手数料が非常に安く、節約にもつながってくることも見逃せない点です。
 
ただ、昨年の末頃は、ビットコイン価格が上昇したことで取引が増え、送金の手数料が高くなったことがありましたが、仮想通貨の仕組みであるブロックチェーンの作成方法を変更するテクノロジーが開発され、現時点では送金手数料は元の低料金になってきました。
 
将来的に、株やFXと同じように環境が整ってくれば、仮想通貨への投資が、個人の資産運用の一つとなってくるでしょう。
 

仮想通貨への「投資」が利益を生む理由とは

仮想通貨を運用することで価格のリスクが発生し損益が発生します。
 
これが円やドルを銀行に預けているのとは大きく異なる点です。
 
1)ICO(Initial Coin Offering)へ先行投資し利益を得る
 
ICOとは、新規仮想通貨を開発するための資金調達を目的として、不特定多数の人から資金を募ります。
 
言うなればクラウドファンディングに似た仕組みです。
 
この資金調達に参加すると、「トークン」という引換券のようなものをもらいます。開発された仮想通貨が完成し市場で価格がつく、または高騰したタイミングで売り利益を出します。
 
ただし、ICOには資金だけ集め一向に開発が進まないものや、突然連絡がつかなくなるなどの詐欺が非常に多いのが実情です。
 
2)仮想通貨の取引で利益を得る
 
仮想通貨の価格は、分足や時間足で価格が20%、30%と乱高下します。この理由は、仮想通貨市場の資金が株などと比べると市場規模が非常に少なく、俗に言う「板が薄い」状態だからです。
 
世界的にも仮想通貨市場の規模は日本円で約60兆円と言われており、例えば数億円程度のまとまった資金が特定の仮想通貨へ投入されただけでも、簡単に価格が高騰し、同額程度が売られると簡単に価格は下落します。
 
この価格差から利益を出すことができます。
 
仮想通貨を長期保持している場合は問題ありませんが、ディトレードやレバレッジをかけた信用取引の場合、価格が急激に下落すると、強制ロスカットにより資金を失う場合があります。
 
また、現在の仮想通貨の販売所のシステム環境が不安定なこともあり、売買したいときにシステムがビジー状態でログインできず、その間に価格が下落し強制ロスカットにより資金を失うこともあります。
 
その他に仮想通貨の取引で利益を得る方法としては、海外の仮想通貨の販売所や取引所で安く購入し、売値の高い販売所で売り、その差額を利益にする、アービトラージという方法があります。
 

まとめ

仮想通貨への投資は余剰資金で始めることが大切です。
 
仮想通貨の取引方法や管理方法に慣れる必要もあるため、少額から始めることをお勧めします。
 
また、仮想通貨に関する専門用語はたくさんあり、覚えるまでに時間がかかります。
 
特に技術的な専門用語などは、一度読んだだけではなかなか理解できない点もあるため、OJTのように少しずつ「投資」をしながら慣れていくことが大切です。
 
今後、多くの一般の人たちが、複数の仮想通貨を持ちながらそれらを運用し、必要に応じて仮想通貨を日常的に使い分ける日が来るかもしれません。
 
2018年は、仮想通貨元年と呼ばれています。仮想通貨に早く慣れることが新たな資産形成の一つにつながっていくでしょう。
 
Text:佐藤 美輪 (さとう みわ)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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