〈柴沼投資塾〉個別株①。まずは好き嫌いで判断。そして基本の分析手法を知る

配信日: 2017.08.03 更新日: 2019.01.08

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〈柴沼投資塾〉個別株①。まずは好き嫌いで判断。そして基本の分析手法を知る
これまで、インデクス投資、積み立て投資といったような分散投資を中心にご案内してきましたが、やっぱり株式投資の醍醐味は個別株と思われている方も多いでしょう。そもそも投資をするのにリスクを抑えることばかり優先させているのも「投資」をしている実感がわかないかもしれません。また個別株は当然、一つの銘柄に投資をするということで「一極集中」になりますが、自分の予想したシナリオのように投資した企業の業績が伸長していけば、大きなリターンが得られること、それに最近では株主優待という観点で銘柄選択をする方は必然的に個別株投資をすることになりますね。リスクを恐れるだけではなくリターンを狙う、会社を応援するきっかけになっていただければと思います。
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

3500銘柄のうち絞り込む基準は「好きかどうか」

日本の証券取引所に上場している銘柄数は3,500以上もあります。この中から、何を選ぶかということが問題ですね。インデクスファンドであれば、70なり80なりの銘柄数が投資信託の中に組み込まれていて、日経平均やTOPIXと同じような値動きをするようにあらかじめファンドマネジャーが管理しているので、中身1つ1つを細かく見ることはありませんし、その必要がない金融商品です。これに対して、個別株はモロに株価の上げ下げが皆さんの資産額を左右するので、面白い反面恐ろしくもありますね。それだけに銘柄をどれにするかは重要な問題です。

ではどのようにして絞り込めばよいのでしょうか。資産運用で重要なのは、実は投資をするときよりも、投資をした後なんですね。平たく言うと値動きを見守ることのほうが大事です。なぜなら、購入したときよりも価額が上がっているかどうかで売り時が決まる、収益(どれだけ儲かった)が決まるからです。そう考えると、ずっと値動きを見守ることが苦にならない銘柄、つまり興味がある銘柄に注目することになります。例えば、全くアルコールが飲めないのに、ビール株を買っても商品価値や他社比較などできません。機械のことが全くわからないのに、昨今の人工知能(AI)やIoTブームにのって電子部品株を買っても、その会社が力を入れている商品の市場価値や収益性がわからないので、売り時を見極めることはできません。

著名投資家ウォーレン・バフェットの有名な言葉に「わからないものには投資をしない」というのがありますが、これはすべての投資家に当てはまる格言だと思います。

ですから、もし「株主優待」が魅力だとしても、ぜひ皆さんにとって「もらったらうれしい」と思える優待を扱っている企業かどうかを見極めましょう。

初めの一歩を踏み出したら、中身を吟味。
ROE10%以上、PER20倍以下が投資妙味あり!

例えば、自分は今スイーツに興味があるので、さっと思いつくところ「森永製菓」なんてどうかなぁと、ピンポイントで候補を挙げるとします。最初のとりかかりはそれでOKです。

教科書的には、まずどんな業界があって、それぞれの業界ごとにどんな値動きの特徴があってという風に全体から落とし込んでいく(これをトップダウンと言います)のですが、これだとゴールにたどりつく(最終的にどの銘柄に絞り込むか)までに嫌気がさしてしまう恐れがありますので、いきなりゴールから全体像にさかのぼっていく手法をとりましょう(これをボトムアップと言います)。そのほうが、興味がわきます。まずは一歩踏み出すために、理屈からではなく「好き嫌い」でスタートしましょう。

次にやることは客観的な検証です。好き嫌いで目星をつけた後は、その銘柄が「投資して収益を獲得できるかどうか?」を確認します。その銘柄のどの情報を見ればいいのでしょうか?

現在の株価が高いのか安いのか?と、ある程度長期的に保有していても大丈夫かどうか?を確認しましょう。まず「銘柄名 ROE」を検索しましょう。そこに出てきた数字ROEが10%以上あるかないかで、長期的に保有していてもいいかどうかを判断し、そして次に「銘柄名 PER」で検索し、短期的に今買うタイミングかどうかを判断しましょう。

ROEというのは、自己資本利益率といって借金ではなく、自社の資本でどれだけの利益を上げられたかをみる指標です。もちろんこの値は高ければたかいほど評価されます。日本企業でこのROEが高いと評価される目安が10%、米国では20%以上です。米国のアップルは30%以上で、きわめて稼ぐ力が高い企業であると言えます。

PERというのは、「株価収益率」というもので、株価÷利益で求めます。株価は毎日変動しますから、PERは毎日変わります。株価が上昇すれば、分子が大きくなりますからPERの値も大きくなります。PERが20倍を大きく上回ると、稼ぐ力(=利益)に比べて人気が出すぎ(=買われすぎ)ということになりますから、たとえROEが10%を上回っていても、「今は」買うタイミングではないということになります。

ちなみに、2017年6月9日終値での森永製菓ではROEは10%を上回っているので、稼ぐ力が高いエクセレントカンパニーですが、PERが30倍を上回っていました。人気が出すぎているので「今」は投資するタイミングではないかもしれません。

たとえ魅力的な株主優待プログラムを提供していても、この2つの数字目標をクリアしているかどうかは要確認です。

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