〈柴沼投資塾〉少額インデクス投資入門⑥。大型・小型インデクスの使い分け

配信日: 2017.08.06 更新日: 2019.01.08

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〈柴沼投資塾〉少額インデクス投資入門⑥。大型・小型インデクスの使い分け
インデクス投資というと、日経225、TOPIXやNYダウを思い浮かべますが、最近値を飛ばしているのは、むしろ小型株指数と言われています。例えばTOPIXですが、東証一部全銘柄で構成されていて、2017年6月時点では2000銘柄以上にも及びます。これは時価総額(株価×発行済株式数)で大型のものも小型のものも含まれていますが、この大型株、小型株というのは一体何を基準にして分けられているのでしょうか? 分けることにどんな意味があるのでしょうか? これらのグループでは何か特徴的な違いはあるのでしょうか? 実はプロの投資家はグループ分けが大好きで、このグル―プの特徴で投資戦略を立てます。今回はこのサイズごとの値動きの特徴を理解して「森を見て木(個別銘柄)を見る」投資を実践しましょう。
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

指数ごとの顔ぶれや特徴

 

東証一部に上場されている全銘柄のうち、時価総額(株価×発行済株式数)と流動性の高さで上位100位までに入る銘柄は、大型株と定義づけられ、東証一部全体の時価総額の60%を構成しています。400位までが中型株で構成比としては30%、小型株は10%弱となっています。

それぞれの銘柄の顔ぶれとしては、大型株がトヨタ自動車、NTT、NTTドコモ、三菱UFJフィナンシャルグループ、ソフトバンクグループ(2017年6月23日現在)、中型株は日清食品、東洋紡、昭和電工、小型株は大林道路、第一パン、スタジオアリスなどとなっています。

 

なぜこのようなグループ分けが必要かということですが、これは機関投資家が運用の対象となるかどうかの目安とするためというのが理由の1つです。年金や投資信託などの巨額資金を運用する投資家にとっては、流動性が高いことが非常に重要になります。例えば、1,000億円の資金があったとしてこのうち構成されている銘柄が100銘柄だとします。そうすると、イコールウエイトだったとしても、1銘柄あたり10億円ですね。これがトヨタ自動車であれば株価は5,856円。17万株を売り買いしなければなりません。トヨタ自動車のように流動性が高い(取引量が多い)銘柄であれば、出来高が一日で300万株。300万株のうち17万株ですから、市場全体の売買量の約6%ということになり、この機関投資家の売買でトヨタの株価が大きく影響を受けるということはありません。

 

ここで、例えばレオパレス21のケースを考えてみましょう。株価は673円(2017年6月26日終値)で、出来高は175万株です。10億円分を買おうとすると、148万株を買付けしなければなりませんが、1日の買いをすべて1機関投資家で買いきることになります。このように無理に買おうとすると、自分たちの買いのせいで、「あっつ、大口の買い手がいるぞ」という動きを察した別の売却希望の投資家は売値(機関投資家にとっては買値)を吊り上げてくるでしょう。

これを避けるために、機関投資家は個別銘柄を売買する時は1日の市場全体の取引量の4分の1以下に抑えることが一般的です。ということは、このケースでは買切るためにはほぼ1週間かかることになります。その間にレオパレス21の株価が大きく上昇したり下落したりしますから、そのたびに買付けの株数を計算し直さなければなりません。

こういった理由で、機関投資家は、小型投資には消極的です。利益成長が期待できるからという理由だけで投資しようとすると、時間もかかります。1日当たりの投資株数を考え、自分たちの買いのせいで株価を吊り上げる事態を避けるために、余計な計算をしなければなりません。売却時にも同じ手続きを踏まなければなりません。このことから投資対象は大型株(流通量が大きく、買いたいときに1日で売り買いの取引が完結するもの)に集中しがちです。一方、個人投資家は、大量に売り買いするわけではないので、市場の取引量を気にすることなく、売り上げや収益動向だけを判断材料として投資すればいいことになります。大型株の値動きが激しいと機関投資家が本格的に動いていると判断され、小型株の価額が動いていると個人投資家が活発に売買しているととらえられます。

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今、小型株が動意づいているのは個人投資家が動いているから

 

今、2017年6月。相場に方向感が乏しいといわれていますが、これはまさに機関投資家がどのような投資スタンスで臨んだらいいのか決めかねているからということの証左になります。

私たち個人投資家は、大海原を航海している大型船ではなく、その間を縫って進む小型船舶のような位置づけです。であれば、大型船がどう動いていいかわからない間でも、本当に収益動向がよく、かつPERが割安であれば小型株指数インデクスに投資してみるのも面白いと思います。なぜなら、米国でトランプ政権が今年10月以降本格的に稼働するにあたり、公約として掲げた大型減税と大型財政出動が実施されれば、日本にもプラスの影響がもたらせるため、大型株相場(大型株中心とした機関投資家メインによる買い上がり)が想定されます。そうして相場全体が盛り上がれば、上昇・膨張したマネーは小型株指数にも波及・流入することが予想されるからです。投資信託で利益をあげた個人投資家が利益確定をしてでた資金を小型株指数に入れるかもしれませんし、同じ材料で同じ投資対象が上げ続けることを懐疑的に考えた投資家が「じゃぁ、大型株と比べてまだ出遅れている小型株に資金を一部振り向けよう」という理由で流入させるかもしれません。

 

大事なことは、90%の人が考えるより前に行動することですね。

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