〈柴沼投資塾〉個別株⑤。配当もお楽しみの一つ
配信日: 2017.09.04 更新日: 2019.01.08
今回は、個別株を購入してから保有を続けるという前提でのお話です。今までですと、例えば前回のIPOであれば、上場前に手に入れて、上場して初値が付いた時点で売却してその差額を得る、とか、株主優待であれば、期末に会社の株主名簿に名前を載せておくことで、株主優待をゲットするとか、「会社を応援する」というより「儲ける」ということに主眼を置いていました。今回は、「保有し続ける」ことでいただける「配当」に着目して個別株投資をみていきたいと思います。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
本来は、「株主=保有する会社の応援団」
世知辛い世の中、どうしても「儲ける」「収益を上げる」という自分側の利益のための手段探しに翻弄しがちですが、本来の株式投資とは、その会社の株を保有することで「その会社の経営を応援する」という意味が強いのです。例えば、証券取引所に上場していない会社の株主になったことを想像してみてください。友人が会社を興しました。その友人に「株主になってほしい」と言われて合意するのは、株価が上昇して買う時の何倍もの値段で売却して差額で大きく儲ける、と思って出資するのではないですよね。おそらく友人の会社を応援したいという気持ちからではないでしょうか。
しかし、会社が大きくなって独り歩きを始めると、会社の株が「会社を応援する応援団の印」から「収益のもと」という金融商品になって、発行した会社の「大きく成長させて社会に貢献する」という思いから遠くはなれてしまいます。ましてやパソコンやスマホで簡単に株の売り買いができるようになっているので、経営者の思いはますます見えづらくなってしまいますね。
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配当をもらうには権利確定日に株主であることが必要
株主配当というのは会社の利益を株主に配分してくれるもので、企業から「応援してくれてありがとう」のメッセージだと思ってください。会社は毎年決算期末に、業績を総括します。利益がでると、それを会社に保留して(内部留保)、新しくオフィスや工場を建設するお金に回すか、株主に還元するかを決めます。そして株主に還元する場合、保有株数に応じて配当金が分配されます。またこの配当には、記念配と呼ばれる会社の設立や上場の記念に特別に配分されるものもあり、そのときに保有していれば上乗せしてもらえることになります。
どのタイミングでもらえるか、会社がそれぞれ決めている締め切り日(権利確定日)に株主であるかどうかになります。日本の企業は3月決算が多いので、9月の最終営業日(9月30日)、3月の最終営業日(3月31日)に株主であれば中間配当および期末配当がもらえることになります。株は購入してから株主名簿に名前が載るまでには3営業日かかりますから、3営業日前までに株主になっておかなければなりません。これは営業日ベースですから土日祝は除かれることに注意が必要です。
例)3月決算の企業で中間配当をもらうために株主になる必要のある最終日
2017年9月26日(火):3営業日前(権利付き最終日)この日までに株主になっておく
2017年9月29日(金):権利確定日
このケースですと、9月27日以降であれば売却しても配当金を受け取ることはできます。
実際に受け取ることができるのは、権利確定日から3ヵ月後というのが一般的ですので、気長に待つ必要はあります。
配当利回りはかなり高い
配当利回りランキングとして検索すれば、どのような会社が配当をたくさん出しているかがわかります。直近の情報では、ある会社の配当は一株あたり40円、この会社の売買単位は100株ですから、最低売買単位の100株を購入(投資)すると、84,000円、これに対して40円×100株=4,000円がもらえることになります。すなわち保有している限り、会社の配当方針がかわらなければ、4,000円÷84,000円=4.8%の(配当利回り)が得られることになります。
この数字だけをとると、銀行の預貯金の利回りと比べてかなり高いと思われると思います。またネットでよく掲載されている「配当利回りランキング」なども参考にされるといいと思いますが、ここで一つ注意があります。配当利回りが高いということは、配当そのものが多く出ているケースもありますが、株価が下がったから(分母が小さくなったから)高くなったというケースもあります。例えば、先ほどのケースでいえば、株価が400円に急落した場合、配当の方針が変わらないならば、配当利回りは40円×100株=4,000円に対して、株価が400円×100株=40,000円となり、配当利回りは10%に上昇します。配当利回りだけを見て、「配当がたくさんもらえる!」と銘柄選びの参考にするのは早急です。
あくまでも、銘柄選びの優先順位は利益成長です。配当は株主優待と並ぶ1つの判断材料にするということを忘れないようにしましょう。