親の遺産「500万円」を相続し、住宅ローン“残り25年・3000万円”を繰り上げ返済の予定…知人は「投資で運用すべき」と言いますが、借金が減るより得ですか?「年3%・5%・7%」の運用益を試算
本記事では、住宅ローンが残り25年・残高3000万円という状況で、500万円を相続したケースを参考に、繰り上げ返済と投資のどちらに回すかを考えるポイントを解説します。
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
繰り上げ返済の金額的なメリットは?
まず、住宅ローンの繰り上げ返済に500万円をあてる場合の、返済期間や利息への影響を試算してみましょう。
住宅ローン残高3000万円、残り返済期間25年、金利年1%(変動金利型)、元利均等返済、ボーナス返済なしの事例を前提とします。
また、繰り上げ返済には、返済期間を短縮する「期間短縮型」と、毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」がありますが、今回は期間短縮型で繰り上げ返済するものとします。
この条件で繰り上げ返済しない場合、毎月の返済額は約11万3000円で、残り25年間に支払う利息は約392万円です。一方、500万円繰り上げ返済すると、返済期間は約20年5ヶ月となり、完済時期が約4年7ヶ月早まります。
また、繰り上げ返済後に支払う利息は約270万円となり、繰り上げ返済しない場合より約122万円少なくなる計算です。
なお、今回の試算では、金利年1%が今後も変わらないものと仮定しています。実際の利息軽減額や返済期間などは、金利の変動や金融機関の取り扱いなどによって異なります。
繰り上げ返済よりも投資に回したほうが良い?
次に、500万円を繰り上げ返済せず、25年間投資した場合の試算結果を見てみましょう。500万円を年3%、5%、7%で運用できた場合、25年後の資産額と、そこから元本を差し引いた税引前の運用益は、それぞれ次の通りです。
・年3%:約1047万円(運用益約547万円)
・年5%:約1693万円(運用益約1193万円)
・年7%:約2714万円(運用益約2214万円)
500万円を繰り上げ返済した場合の利息軽減額は、約122万円であるのに対し、今回の試算では、投資による運用益のほうが大きくなる結果となりました。数字だけを見ると、繰り上げ返済せずに500万円を投資に回した方が有利に思えます。
ただし、投資によるリターンは保証されておらず、元本割れする可能性もあることに注意が必要です。
一方、今回のケースでは変動金利型の住宅ローンを利用しているため、最終的な利息軽減額は確定しませんが、繰り上げ返済によって住宅ローン残高を着実に減らすことはできます。
価格変動のリスクを受け入れてより大きな利益を目指すのか、住宅ローンの負担を減らすことを優先するのかを考えることが大切です。
また、500万円全てをどちらか一方に使う必要はありません。急な収入減少や大きな支出などに備える「生活防衛資金」を確保した上で、繰り上げ返済と投資に資金を分ける方法もあります。
なお、繰り上げ返済をすると住宅ローン残高が減るため、団体信用生命保険(団信)の保障対象となる住宅ローン残高も減る点は理解しておきましょう。
自分の状況にあった配分バランスを考えよう
今回の試算では、繰り上げ返済による利息軽減額よりも、投資による運用益のほうが大きくなりました。ただし、投資には元本割れのリスクがあります。一方、繰り上げ返済は利息軽減額こそ金利次第ですが、将来の住宅ローン負担を着実に軽減することにつながります。
まずは生活防衛資金を確保した上で、今後の収入の見通しや家族構成、団信の保障内容などもふまえて、500万円をどのように配分するか検討しましょう。
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
